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No.3200 晩秋に入り

2019.11.04

 今朝はかなり冷え込みました。台風災害に多くの人々が生きる糧を奪われながらも、復興活動に興じる日々ですが、作業も厳しさを増していくことになります。各地に集結したボランティアは延で8万人を超えているそうですが、それでも足りないとのことで、災害ゴミの山やあちこちに覆いかぶさる土砂を見る限り、水害の恐怖は東日本大震災に匹敵するものがあるようです。考えてみれば、大震災も揺れが元とは言え、津波水害とも言えるものでした。
 沖縄のランドマーク的存在の首里城全焼にも驚愕させられました。人の命に関わることは無くとも、世界遺産の消失に多くの国民が悲しみに涙しています。こちらの復元も簡単ではなさそうです。コスト面というよりは、技術確保と材料調達が困難だというのですから、さすがに世界遺産だけのことはあると感じる話です。

 そうした中、11月に入るやいなや市の行事も目白押しで、消防特別点検、健康福祉まつり、文化祭と続き、どれも盛会のうちに終了しました。2日の文化祭開会式の後、客席からしばしステージを拝見させていただきましたが、老後を楽しく過ごすすべを楽器演奏に見い出したかのような姿に思わず笑みがこぼれます。続いて数組のコーラスプログラム。コーラスのライブ鑑賞は久しぶりのことですが、「見上げてごらん夜の星を」のアンサンブルハーモニーを聴いていた時、なんとも言えぬ心境に陥り、不覚にも涙が頬を伝ってしまったのです。坂本九ちゃんを思い出したことよりも、綺麗なハーモニーと歌詞に聞きほれた結果としか言いようがありません。年々涙腺が緩んでいることは確かなのですが、信じられないほどのソプラノボイスが心に沁みてしまったとしか考えられません。
 その後、展示会場でじっくり出品作品をに堪能しました。出会った数人の方から市長選の慰労言葉をいただきつつ、書の出展について問われる状況もありました。出したかったのですがねー、時間より精神にまったく余裕がなかったということでご理解ください。
 当日午後から翌3日の福祉まつりの焼きそば出店準備に追われ、明けて3日は早朝から準備にあわただしく動き、その後、市役所駐車場での消防特別点検を拝見。いつもの通り、きびきびとした団員の皆さんに頼もしい想いと感謝の気持ちとともに永年精勤やご家族支援で表彰された皆さんに敬意を表するものであります。終了後、すぐにウェルスに立ち戻り、毎年恒例となっている焼きそばを焼く作業に! 香日向ボランティアクラブとして長いこと協力しているものですが、美味しかったです!という一言に癒されるところが頑張れる要因でしょうかね。
 今朝は、これも恒例となった肩から二の腕にかけての疲労感が、今年は下半身全体にも感じるところとなり、疲労感にどっぷり見舞われた次第です。
 4日は少々おろそかになっていた家事にいそしむ?といった連休と相成った次第です。
 

No.3199 選挙の未来

2019.10.29

 最も好きな女優さんは? と聞かれて、子どもの時から「八千草薫」と答えていた、その愛すべき女優さんが亡くなられました。享年88歳。これは私事で恐縮ですが、平成22年に亡くなった母の享年と同じです。著名人の死が続きますが、驚きと同時に無念という想いでは、八千草さんに勝る記憶がみつかりません。
 慎んでご冥福をお祈り申し上げます。
 

 今年の埼玉県は随分と投票に出かけた印象がありますね。その選挙年が参議院議員補選でほぼ終了しましたが、最大のポイントは、誰が当選したとかという以前の問題として投票率の一層の低下傾向がはっきり示されたということでしょうか。
 27日の参議院議員補選は、上田前知事の圧勝が予測されたこともあって、県選管の最終発表では県内全体で20.81%と、かろうじて20%台を保つ低さでした。30%を超えたのは、県内唯一の村である東秩父村の37.25%。しかし、同村の投票者数は936人です。ちなみに、幸手市は23.38%、お隣久喜市は22.68%、杉戸町は20.82%という結果でした。この結果は、昨今の傾向に加えて、この選挙に対する関心度そのものが低かったことがあったと思います。そういう意味においては、選挙をすることにどこまで意義があるのかということを考えさせられました。
 なにしろ、この選挙にかかった費用が22億円というのですから、当初無投票とまで言われた経緯からかなり高額な税金が使われたわけです。突然、立候補を表明したN国党の候補者の思考には、いったい埼玉県をどう導きたいのかがわかりにくかったこともありますが、NHKの受信料ほどには選挙コストに頭は巡っていなかったようです。参議院選挙の時も国政とNHKを結び付けて国民生活をどう変えたいのかまでは理解できませんでした。問題を起こすことで知名度が上がり、そこに少なからず賛同者が増えていったといった感が拭えません。
 参議院選挙で当選してまもない状況で辞職し、比例で同党の次点者が繰り上げ当選するという、有権者無視かつ身勝手な選挙行動。この後は、神奈川県海老名市、奈良県桜井市、東京都八王子市か府中市、神奈川県藤沢市、大阪府大東市、さらには来夏の東京都知事選まで、自らの立候補を視野に入れているというのです。次期衆院選には比例北関東ブロックで15人の女性を含む30人を立て、比例での当選を1~2名見込んでいるとか。
 選挙制度の範囲とは言え、理解に苦しむ政治思考であると思えてなりません。もっとも、選挙のバラエティー化や劇場型選挙というのは、けっして新鮮なワードではありません。話題性が高いだけで総理候補とまでもてはやされるのですから。
 こういった政治・選挙の在り方は、時代の流れの中でとくに若者の思考変化をリードする形で、山本太郎、立花孝志といった今までにない政治屋を生んでいるものと思います。SNSでは、これらをカルト的集団と呼ぶ一面もありますが、日頃の政治不信が社会に対する不満となって、選挙で爆発することを目論んでいるというのは、あながち当たらずとも遠からじなのかもしれません。
 今、好評を博している映画に「ジョーカー」という米映画があります。女性や貧困者といった存在を無意識のうちに差別している現代社会の闇の中で、地下鉄の中で自らにふりかかる危機に堪忍袋を切らし、怒りの引き金を引くことで殺人スイッチが入ってしまう売れない道化師。自らの生い立ちに関係する虐待を知ることで実母の命に手をかけ、世の不条理に対してプライオリティーの命を奪うことをためらわないジョーカーへと変身していくストーリー。映画ではゴッサムシテイーと称するニューヨークの現代事情がいやというほどスクリーンに広がるのです。アメリカの裏事情は実際にこういう一面を持っているのではないかと感じさせる重い内容です。
 
 そこまでは考えられないにしても、奇をてらうという意味ではれいわやN国という政党は若者の心をひきつける点があるのかもしれません。
 選挙運動も資金があってのことですが、N国党の場合は、立花党首のユーチューバーとしてのスポンサー料が月額1,000万円から1,500万円に及ぶという説もあります。これも、スマホ社会がもたらした政治・選挙の新しい姿と言えるのでしょうか。
 選挙の結果に基づく政治活動なんだという点からは、深い観点から公職選挙法のみならず選挙制度の在り方を考え直す時期に来ているのかもしれません。ついつい溜息をついてしまいそうな昨今の選挙実態を見るにつけ、そんな思いにふける日々です。それは低投票率だけの問題ではないようです。
 

No.3198 垂直避難の重要性

2019.10.27

 千葉県では、またまた豪雨災害で大きな被害が出てしまいました。お亡くなりになられた方には慎んで哀悼の意を表しますと同時に、被災者の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
  
 それにしても、予報でたびたび大量の雨予報が出ているにもかかわらず、なぜ大きな被害が生じるのか! 災害の詳細から国民一人一人がしっかり災害対策を考慮する必要を教えられます。まずは、地震と豪雨対策は、まったく異なるということを自覚しなければいけません。理解はしているつもりでも、実際避難の必要性が生じるほどになると人間心理は落ち着いた判断を妨げる可能性が高いことも理解しておくべきでしょう。より具体的には、自助・共助・公助の在り方からです。命・財産を護る最大かつ最善、最速のポイントは自助にあるということを!

 千葉には数軒の親類、知人がおりますが聞くところでは、豪雨洪水被害は地形がかなり高い確率で要因になっていると言っても過言ではないようです。木更津の親類の家は、小櫃川が目の前30mほどに位置しています。つい10日ほど前に15号の見舞いで訪れた時の話はブログで紹介しましたが、今回は、一時緊急放流が報じられた亀山ダムの放流が中止になっていなかったらどうなっていたかわからなかったということです。実際に上流の小櫃川は氾濫していたのですから心理的には不安な状態が続いていたということです。道路から少し下がった地点に立つ家は、玄関前に1段しか階段のない建屋ですが、米などが入る倉庫は古い納屋で水をさえぎる状態にはありません。いうなれば、1センチたりとも高床の状態にはなっていません。女性二人の住人の安否を心配するのは当然のこととして、納屋にも影響はなかったというので一安心しました。ところが、これまでにも水に襲われたことはないというのです。科学的根拠はわからないが地形と立地という面によるとしか考えつかないと言います。
 15号の時の停電災害は予想外のことで、考えてみればこれは自助という観点からはずれる災害と考えてもいいでしょうね。いざという時のために発電機をすべての家庭に備えるべきとはとても言えません。強風が、人間社会の生活の高度化を破壊した災害は、まさに電気ショック社会を見せつけらました。

 私が先の19号でとった災害対策としては、雨戸のないガラスを養生テープで補完し、大切と思うものをわずかですが2階に運びました。地震対応においては、2階を重い状態にしておくのは良くないということは頭においています。そして車をいつもと前後逆に駐車し、エグゾーストパイプの口を厳重にカバーをしました。ガレージの地形は奥が高くなっているので、エンジンとマフラーに水が入るのを防ぐためでした。 そして、ハザードマップを確認。私が住む地域の道路標高は8mです。そこから家屋の1階天井までは約3.2m。ということは、万が一のことはあったにせよ、2階にいれば命にかかわる危険は免れるという理解でいいだろうと判断しています。これが、洪水に対する避難の基本だと思います。事実、19号時でも2階にいて難を逃れたという話は数多くありました。
 今回、死者の多くは戸外で亡くなっています。避難中の車の中、家の周りを片付ける作業中に土砂に襲われた例、畑が心配で確認に出た際、濁流に足をすくわれた例等々。実は、豪雨災害で命を奪われる例は、毎回といっていいほどこうしたパターンであり、加えて、裏山から押し流された土砂に家ごと埋まるといった例も多く見られます。
 避難指示が出たからといって、暗い中を10分も20分もかけて避難所に向かうというのは、水があふれ流れる速度を考えると危険度の高いことで、この理解をどれほどの国民がしているでしょうか。
 防災専門用語に垂直避難という言葉があります。2階が水中に沈む地形かどうかはハザードマップから判断し、平屋家屋は勿論、地すべりの可能性もある程度は事前判断が可能ですから、そういった条件下にある家ではより自主判断のタイミングを速めて、より遠くへ避難するのが適切な避難行動と言えます。その際、車を使用すべきかどうかも重要な判断材料となるでしょう。

No.3197 スポーツ芸能にひと言

2019.10.25

 死者が80名を上回る大惨事となった台風19号。あらためて亡くなられた方々に慎んで哀悼の意を表する次第です。
 それにしても、秋晴れが続かないですねー。週末になると天気が崩れる傾向は、スポーツの秋に異変をもたらしています。プロはドームタイプの球場があったり、ラグビーやサッカーは多少の雨もなんのそのですが、私たち草スポーツ好きにとっては、この台風・低気圧による秋雨の影響は大きなものがあります。順延続きで週末の予定があふれることとなり、やり繰りが大変といった状況です。
 

 さて、なんと! 19年ぶりの対決となった日本シリーズでしたが、パ高セ低という評判その通りで、あっという間に終焉を迎えてしまいました。投手力、打撃力、守備力、走塁といったベースボールの全ての基本において、まったく異なるレベルの戦いを観せられた感じです。いわゆる攻走守でソフトバンクが数枚も上というシリーズで、巨人は本来の力を発揮させてもらえなかったというのが最後に残った感想です。
 ポイントは東京ドームに戻っての第3戦にあったと、しかもたった一場面に。それは、初回先頭バッターの亀井がバンデンハークから理想的なホームランを放った後の場面です。1、2戦の敗戦直後、本拠地にもどった初回でしたから、この後の反撃の流れを予感させたホームランでした。
 ところが・・・キャプテン坂本が1球ボールの後、真ん中よりに入るツーシームを2球見逃し、次球の外角スライダーを空振り三振。このシーンが焼き付いて離れません。目もうつろに上を向いてベンチに戻る姿に、負けん気といった感じのファイティングスピリットが感じられなかったのです。この後、丸、岡本と三振で、とくに岡本の時の5球すべてがナックルカーブという大胆なサインだったことは、捕手力でもソフトバンクが勝っていたことを物語っています。坂本については、最終戦で最後のバッターとなった打席、ホームランを打てば逆転サヨナラとなる場面でしたが、前述のビデオを見せられているかのような三振で幕を閉じたのです。
 守りの破綻も多かったですが、エラーは基本的に責められることではありません。我々の草野球、草ソフトでもこれは同じことで、叱咤の対象となるプレーとしては、打った後の無気力走や見逃し三振といった怠慢プレーがそれにあたります。そういう意味では、丸の見逃し三振も多かったですね。監督の采配云々については、あれだけ実力を出し切れない選手が多ければ采配も何もありません。ガチガチのエースであったはずの菅野が第4戦に使われ、しかも好投したという皮肉な結果も今年のシリーズの全てを示しているのではなかったか。そう思うと、残念な思いがさほど残らないエンディングでした。
 メジャーも、シリーズ初出場のワシントンナショナルズが本命アストロズを破りかねない様相です。大谷選手の来年もしかり、次年度への期待感をたっぷり与えてくれた今年の日米プロ野球でした。

 徳井というお笑いタレントによる3年間に及ぶ税無申告問題。
 彼の口から「想像を絶するだらしなさ、ルーズさでした」「悪意もくそもないです!本当に申し訳ありません」といった発言が!
 なんですか、この発言は! まるで悪意はない、意図的ではないという言い訳に過ぎないじゃあありませんか。まして、経費に出来そうもないものまで経費にしようとしていた思考がある事実は、これこそが一般住民側からみて想像を絶するということです。
 近い話として、幸手市の前市長が飲酒暴行事件を起こした後に口にした「晴天の霹靂でした」という言葉も、本来、市民が感じる言葉として晴天の霹靂なのであって、本人が言う言葉ではありません。「逮捕されたことは」という前段があるにせよ、国語力が無くなっているとかいうレベルではなく、言い訳するにしても、言葉自体が主客転倒している社会なのかと情けなさを感じる次第です。
 芸能界には懲戒免職とか永久追放といった一般社会やスポーツ界にあるしきたりはありません。いつでも復帰が可能で、プロダクションとしては、あえてそれを話題に復帰をもちかけるフシもあります。仲間たちが涙ながらに復帰を訴える場面すらあります。淫行、薬物、暴力または暴力団との癒着といった事件は個人的な問題だと思いますが、意図的な申告はずしや脱税といった類は、最も許されざる行為ではないでしょうか。脱税となれば犯罪ですが、税金対策のために別会社を設立し、その社長におさまるという目的も感じられるわけです。裏を返せば、それだけお笑いタレントの皆さんは、売れれば庶民の想像を絶するギャラが待っているということのようです。
 すでに、今朝のメディアは菅原経済産業大臣の辞任でにぎやかです。政治家の場合、メディアは俄然張り切ります。意図的ではなかったと言い訳する姿はまったく同じに感じますが、政治家と芸能人に対する社会の寛容性は、まったく異なるということは間違いないようです。政治家は税金を報酬として成り立っているわけですから当然のことと思います。
 

No.3196 即位礼正殿の儀

2019.10.23

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 5月に令和の幕が開け、皇位が継承されて久しいものがあります。
 昨日は、天皇陛下「即位礼正殿の儀」が、正に、真に、厳かに執り行われました。難しいことは一切無用。この日本国の象徴である天皇陛下の即位を日本人として心からお祝い申し上げます。
 台風19号の影響で「祝賀御礼の儀」であるパレードは来月に延期されましたが、この即位式には元首クラスの賓客が191国・地域から参列することでもあったので、延期が難しかったことは深く理解するところです。
 それより、この厳粛な儀が天候の関係で皇居中庭で行う予定でしたのに、すべて屋内で行われたことが残念でした。やはり、晴天のもとでと考えると、今朝の晴天が恨めしいというか、1日早ければ良かったのにと思わずにはいられません。

 昭和33年の上皇陛下と美智子様のご成婚から、浩宮様ご生誕を迎えることとなった皇室の姿を小学生2年の時から見続けてきた私にとって、最もなじみの深い存在でもあった浩宮様が、皇太子から令和天皇へと成られた経緯は上皇天皇とはまた異なる親近感を感じます。
 昭和33年は、東京タワー竣工、長嶋さん巨人入団などがあった年で、39年の東京オリンピック、新幹線開通、さらには大阪万博へとつながる高度成長期の真只中にありました。上皇陛下即位の平成時代は幕開けまもなくバブルがはじけ、国際情勢としては米同時多発テロという驚愕な事件や、国内的には大震災や大水害に数多く見舞われるなど、政治経済や自然における苦難の時代が続きました。それも、上皇陛下御夫妻のたゆまぬ笑顔とあたたかい御心が内外に発信され、多くの国民が救われたことは間違いありません。
 令和天皇陛下御夫妻におかれましても、世界各地で不穏な政治環境が感じられ、また、自然の猛威がますます激甚化する状況の中、自らがお元気に、健やかに過ごされ、国民の生きる勇気と努力へのお力添えを賜りますようお願い申し上げる次第です。

No.3195 防災対策の総括を

2019.10.19

 台風15、19号がもたらした広範囲に及ぶ国家的災害と、停電など多岐にわたる災害の実態は、住民個々の防災意識を高めることになった。いや、そうあって当然のことと思うのだが、住民の対応だけで足りるはずもないことから、ハード・ソフト両面での行政予算と防災意識の在り方を改めて考えさせられることとなった。とにかく、幸手市に限らず緊急災害時対策の準備対応が不足していた自治体が多かったことがわかった。過去の災害の教訓どころの話でなかったということである。
 そういえば、幸手市の避難場所の一つである市役所でのことだが、「市長を出せ!」とすごんだ市民がいたという。市長に会ってどうするというのだろう。こうした認識の市民がいることも理解の上で、災害対策を練らなければならないわけで、なんとなく複雑な想いだ。人命は皆平等なのだ。

ファイル 1106-1.jpg 一昨日、木更津の親類宅に出かけた。15号の被害を、特に停電という結果で受けた家族で、9月に尋ねる予定がここまで延びた。しかも目的に見舞いという内容が伴った。途中、災害派遣という文字を張った第一空挺団習志野駐屯地からの車両を何台も見かけ、市原SAではかなりの車両がレストタイムをとっていた。
 親類は5日近くの停電で終わったそうだが、生活の不便さは進むに連れて恐怖感に近くなっていったという。事実、今も寝込んだ状態の者がいたくらいだ。一種のPTSDに近い状態になってしまうようで災害も広範囲だ。
 ついでに鋸南、君津といった地区を2時間ほど走ってみたが、ブルーシートに覆われた家屋を多く見た。大木の無残な姿や竹林が長い距離に渡って横倒しになっている光景にも出会った。写真は、南房地区の集落だがこの中にも20軒ほどのブルーシート屋根が見られるのです。

 ある学識者が「復興予算の前に防災予算を増額することを考える必要がありますね」という発言を聞いて、正にその通りだと感じた。復興予算は言ってみれば事後予算であり、そこには被災者支援予算も含まれる。今回、安倍総理が長野のホテルの借上げや公務員施設の提供を表明したことなどがそれに当たると思うが、かの学識者の論は、限りなく災害を未然に防ぐハード面での対応を説くものであった。
 近年の雨の降り様は、わずか数年前とはまったく異なるということを世界各地の実態からもあきらかであり、根本的に河川氾濫対策を講じる必要性を示唆している。例えば、今回大河川に設置してあるライブカメラの存在意義が高まった。避難すべきかどうかの判断を行政に委ねる前に自己判断できるほどであった。それが早ければより遠方に車での避難も可能ということになる。また、家屋内では1階にある大切なものを2階に移動する余裕も持てるし、避難に対する基本的準備も出来る。まさに自助である。
 ところが、このライブカメラは大河川のみの状況なので、中小河川への設置は無いのが現状だ。国と自治体の共同で暴れ川と化す中小河川のライブカメラの設置を急ぐ必要があると感ずる。そして、それ以前の問題として、堤防強化事業を速める必要もあるだろう。千曲川、阿武隈川、那珂川といった大河川は通常、観光資源としても活かされているが、人命を奪う激流に変貌しないためにも、支流との係わりをもう一度調査研究し、防災機能の向上を構築していかなければならない。大河川自体の決壊はもとより、中小支流河川の実態把握と決壊防止策はもはや時を待たない。復興予算の緊急出動が少なくなるということは、すなわち防災対策の進展を意味するものと考えれば、徹底的に事前予算を振り向けるべきである。

 国政では、与野党無く災害対策を政治的に構築するべきであるのに、大臣の発言を即批判に結び付ける立憲民主党の幹部議員や、災害混乱時に一般質問の通告を深夜まで引き延ばす議員の存在など、災害に立ち向かう精神に程遠い実態を嘆かわしく感じる。
 是非論いろいろとは思うが、八ッ場ダムは間違いなく利根川流域を守った。1,240,000㎥の東京ドームに対して107,500,000㎥の八ッ場ダム。なんとドーム86倍分の総貯水量を誇るこのダムが、12日、13日の2夜でほぼ満杯になったのだ。しかも、来年3月の竣工を目指し試験貯水を3カ月ほどかけて行う矢先のことであった。これだけの水が利根川に流れていたら、千曲川氾濫以上の規模の流域水害をもたらしていたかもしれないのだ。
 スーパー堤防の貢献度も高かった。越水近くまで水位が上がった加須栗橋地区を思うと、これがカスリン台風の再現を未然に防いだ一因だと確信出来る。
 遠く下って、首都圏外郭放水路もしかりだ。幸手以南の水引は圧倒的に早まっている。約2,500億円という事業規模のこの放水路には海外からの視察も多いという。
 こうして考えると、「コンクリートから人へ」というキャッチは、実は「コンクリートが人の命を守る」のが真実であることを悟った台風だったとは言えないだろうか。
 激流に呑み込まれる家屋や、土砂につぶされる家屋が多いことを考えると、家屋建設の建築及び立地条件を高める必要があるかもしれない。被災者の今日を生き抜く心構えに加え、先行き不安な精神状態を画面から感じるにつけ、自殺者が出ても不思議ではないと思えてならない。そんなこともふまえて、そうした法整備も迅速に進めることが求められる。それと同時に、国家予算に対する防災予算の比率を上げ、防災計画をランクアップして早めることを与野党共通認識の中で進めて欲しいと思うがいかがなものだろうか。

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