2015.10.02
前号「幸手市議会最終日は大荒れか!」の経過と結果報告が遅れたことに、まずもってお詫び申し上げます。興味をそそっておきながらと思われた方もいらっしゃるかと思います。
新聞各社が地方議会の問責や不信任の決議案の結果については、必ず取り上げると考えていたもので、その内容がどう報じられるかを確認してから私の考えを示したいと思っていた。
まさしく、新聞報道では消化不良が拭えず、報道内容の補足説明を書かざるを得ない・・・というのもおかしなものだが、少し長くはなるがわかりやすく説明申し上げたい。
確認出来ているところでは、読売、毎日、朝日、埼玉の各紙が今回の状況を取り上げている。ただし、その内容には差異があるのは当然のことか。
私は幸手市議会の傍聴席に初めて座った。皆さんに傍聴の勧めを説いたこともあって、一市民として重要な議案が上程されるとわかった議会を傍聴したことは意義深かった。
この日の審議対象になった議案で、私が興味深く感じたものを以下に示す。
断っておくが、各議員の賛否対応につては、個々に事情があると感じる面もあるが、反面、疑問に思う部分も多々あった。(敬称略)
なお、巻島議員は病欠ということで今議会を当初から欠席されているという。したがって、議長を除く13名が賛否対象ということになるので7名が可決条件を満たす過半数ということになる。
◆平成27年度一般会計補正予算(第3号)
これには、原案に問題ありということで修正案が提出された。そして、この修正案を原案に先行して採決するというルールに則った形が取られた。
原案では「街路灯(LED)設置事業補助金」の年度当初予算560万円だったのに、補正で1,000万円が追加されているというもの。委員会ではこの点に質疑が集中し否決されたが、本議会でどうなるかに興味が向けられた。
この追加分は、すでに終了している過去年度分に溯ってのものを対象としていることが疑義の対象となっており、たしかに単年度会計を原則としている自治体会計からすると正当性に欠ける点と、市長裁量の範囲という説明でなんでも進んでしまうことが、悪しき前例になる可能性を指摘されたようだ。
時は市長選の月間に入っている。いらぬ疑惑を持たれる予算増額は控える時期と判断すべきなのかもしれない。
(賛成)武藤、大平、小林順、小林啓、木村、松田、大山の7名
この結果、原案の採決は削除された。。
◆「集団的自衛権行使」に関する意見書の提出を求める件(請願第1号)
わかりやすく言えば、平和安全法制に反対の声を国政にぶつけてもらいたいという請願。
(賛成)大平、大山。
◆幸手市議会会議規則の一部を改正する提案
社会全体が女性の活用を促進しようとされつつある中、女性議員の活用と活性化も同じような対象として、出産休暇が届出制により取得できるものとする内容。
(賛成)中村他全員
◆幸手駅橋上駅舎整備事業等の見直しを求める決議
駅舎新築事業が財政事情等から、早急な必要性があるのか? 他に先行して進めるべき事業があるのではないか?といったことに言及した案。
個人的には、私も駅舎新築は現状ではやるべきではないと、同決議案に同意の思いはあるが、西口土地区画整理事業に対して街路事業に変更という主張が垣間見えるということに今ひとつ賛成には至らないといったところ。
(賛成)大平、武藤、大山
◆渡辺市長に対する問責決議案
この提案理由は前号に示した通りだが、過日、議員に対して詫びた(どこでのことか不明)にもかかわらず、さらに反省を求めるというのはどういうことかとの質疑が提案者に対してあった。
基本的に謝れば済むという問題ではないし、責任を問うというのが問責決議案の持つ意味であるから、今後の行動までにも踏み込んで自制を求める重たさがあると理解すべきである。そのためには、議会でしっかり対応し、議事録にも残し、市民に知らしめるということはあってしかるべし。
埼玉新聞は、議会後に市長が反省の弁を述べたと書いているが、議員に対してこの発言があったものではない。この時、すでに7時を回っていたと思うが、私は自宅に戻ってライブ中継を見ていたが、最後まで市長がお詫びの弁を口にしてはいない。ということは、新聞記者に感想として述べ、紙上で代弁してもらったに過ぎない。議会や市民に到底通じるものではないはずだ。
どこの社も書いてはいないが、私は次の部分に大きな疑問を感じている。
それは、議会の一般質問で公務に際しゴルフに興じていたかどうかを問われた時、「ゴルフには行ってない。今の発言は取り消していただきたい」と強弁の虚偽発言をした点である。つまり、後に行っていたことを認めるという軽薄さを露呈することになるのだが、どの道ばれる嘘を街のトップたる者が、議場で瞬時につくというのは、人格、人間性、リーダーの資質という観点で問題を感じている。
(賛成)大平、武藤、藤沼、中村、小林順、小林啓、木村、松田、大山
◆手島議長に対する問責決議案
これも前号で述べた通りの提案理由だが、驚いたのは、議長との長年の友人関係を口にしながら、提案者に対して強い怒りの感情を示して質疑をする議員がいたことである。
そして、この議員は質疑だけでなく反対討論もしたのだが、その発言の中で一市民の言葉を議場に持ち込むことに対しての異論を主張していた。
議長がとった行動が問題かどうかの判断が優先されるべき事項だと思うが・・・。
たとえば、国会でも週刊誌や月刊誌に書かれている内容を質疑の材料にすることは好ましくないといったやりとりがあるが、今回の場合、手島議長が市長が知ってか知らずか、教育委員に対して再任しない旨の伝達を、文章を手渡しして行った、言わば、市長責務の代行をやってはならない立場の人がしてしまったことが原因であり、この教育委員が市長に直接真偽を問いに訪問した事実まであるのだ。
しかも、この文章は誰が作ったのかなど真相がすべてあきらかになっていないにもかかわらず、問責決議で終わらせていいのかどうかの疑問もないではないのだ。
教育委員とは市長から任命を受けた準公務員であり、一市民とはわけが違う立場にある方。つまり市長が委嘱をした幸手市の有識者という見方をすべき人であるから、かの議員の発言はまったく的を得ていないものと解釈すべきだろう。万が一、この事件に関する議長と市長の関係がすっきりしない状況を解決する目的で、これを調査する特別委員会でも設置されたら、この方に委員会出席を求めて事実経緯を確認する可能性も有り得る話なのだ。
(賛成)中村、大平、武藤、藤沼、小林順、小林啓、木村、松田、大山
以上、可決されはしたが、私は市長と議長が揃ってその相手方当時者に対してお詫びに伺うことを附帯決議に加えるか、賛成討論において求めてもよかったのではないかと感じた。
◆公園等指定管理業務調査特別委員会設置決議案
当該指定管理者の杜撰な業務および業務報告がなされている状況に対して、5年で4億5千万円という多額な契約料の整合性等と今後の業務のあり方を問うことを目的として、地方自治法第100条に基づく特別委員会、すなわち100条委員会を設置しようというもの。
これに対して、まだ事件性にまで発展しているわけでもないので、100条委員会では厳し過ぎるのではないかという意見が多数あり、採決の結果、同案は否決となった。その後に、100条の縛りのない特別委員会設置案が緊急提出され、採決で可決となった。
私としては、100条委員会になるかならないかは、どちらでもいいと感じている。
ただ、出来ることなら全員賛成で可決できればいいのだろうが、おそらく100条がらみでは全員賛成にはならなかったと推測出来る。内容が内容だけに否決するのも難しいが、厳しい方向に向かうのも反対してあげなくてはいけないという市長派議員の考え方が推測できるからだ。とすれば、それがはっきりわかる採決を示すことを優先するのも意味があったかもしれないのだ。
100条設置賛成者3人は、否決されたことに対しての反動的対応だと思うが、追加提出の特別委員会案には賛成しなかった。可決されれば全員が委員になるのが幸手市議会ルールとなっているのだ。されば、無いよりはあったほうがいいだろうにとの考え方には及ばない・・・無益なつばぜり合いだと思うのだが、これもまた議会の持つ独特かつ不思議な点と言える。
(100条委員会賛成) 大平、武藤、大山
(特別委員会賛成) 上記3人を除く全員
ざっと以上のようなことであった。
午前11時20分に議場に入り、夕刻6時40分に退席したが4時半を回った頃から帰り始める人がポツポツ。傍聴とは時間と忍耐が求められることを再認識したが、そういう意味ではネット中継はまだ楽か、しかし、あれだけ暫時休憩が多いと、パソコンの前に座り続けているというわけにもいかないだろう。
画面を見ずに音声だけをたよりに家事も出来なくはないが、採決だけは画面を注視していないと議員個々の対応がわからないという欠点がある。
私が退席する時点では特別委員会の委員長人事等で時間がかかっていたものと思われ、職員がその旨説明にも来たので後は至急帰宅してライブ中継を見ることとした。残った傍聴者はわずか1名であった。ここに書いた問責決議の二つは中継で確認したものである。
この日の議会終結は8時を回っていた。
平成15年6月から書き綴ってはいるが、議会の実態を的確に示すのは最も骨が折れる。だからこそ、新聞がすべてを伝えるのは困難だし、読む側にとっては簡略された内容では、その意味さえ履き違えてしまいかねない場合がある。 あらためて、ネットでもかまわないので傍聴されることをお勧めしたいと思う。