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No.2810 市政30周年の不思議

2016.10.10

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 今号は地元幸手市に関する内容。いささか???と感じることがあってのことで、人によっては、また言いたいことを!と思われる内容かもしれないし、逆に同じ感覚を持たれる方もいるやもしれず・・・ただ、率直に感じるまでのことを書いているとご理解いただきたい。 

 広報さっての10月号が配布されて10日ほど経つ。この間、街中で多く耳に入るようになったことに、あの表彰はいったいなんだ?という声。やはり、ああして同じ市民である人々の名前が紙面に羅列されると、隅から隅まで目を通すのは人間の条理。別に羨望嫉妬の思いがそうさせるものではなく、自然と自分の知ってる人がいるかな程度のことで指差し確認的に目を通すことになる。 

 で、何が問題かというと市政30周年にあたり、市政の発展に貢献した人を表彰するという、その結果に対して、どうしてあの人がいないのという単純疑問や、この人がいてなぜあの人がいないのといった相対性疑問が誰の頭にも浮かんだということなのだろう。
 市役所にもそうした声が届いていると思われる。


 私も同様の思いは紙面を見て感じた。私もまあまあ知ってる範囲の議会関連で言えば、議長をされた方、5期以上議員をされた方でも名前のない方がけっこういたし、他の職性でもそこに記載がないがゆえに、かえって鮮明に名前が浮かんだ人が数人いる。
 そこで感じたことは・・・

1、選考委員会的なものを設置して、広い角度から検討したのだろうか?
2.毎年10月1日に行われている幸手市表彰式との兼ね合いはどう図ったか?
3.同じく消防特別点検行事での表彰とのバランスはどう図ったのか?
4.そもそも表彰対象の職性別に選考基準をどのように設けたのか?
5.同じ人の名前が複数記載されているのはなぜなのか?

 表彰を受けた方々は、確かに功績を認められる方なのだから私に何の思いがあるわけではない。あるのはただ、おめでとうございます! のみである。

 だが別の観点から感じるのは、例年恒例となっている表彰式と、たまたま同じ10月1日に市政のアニバーサリーイベントを企画して、その中に表彰を組み込んだ今回の手法は、はたして適切だったかどうか。中には、過去の表彰式ですでに表彰を受けた人たちが、再度選考されているが、今後も10年きざみで表彰するのだろうか?
 時の首長の判断次第ということになるのだろうが、こんな小さな街にもポピュリズムの風潮が意図されているとしたら問題を感じないではない。
 さて、幸手市民の皆さんの感覚はどういったものだろうか?
 

No.2809 見事なまでの開き直り発言

2016.10.08

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 民進党代表 蓮舫氏の二重国籍問題に関する無責任かつ白々しい発言を、今行われている国会での発言とリンクして考えると、その人間性に特有なものを感じざるを得ない。

 実は、性格は元々良くないとの評判も聞くが、瞬時の言葉のキレ、切り返しの能力が有権者の眼差しを惹きつけるのだろう。党にあってもそうしたディベート能力、演説力を認められてのことで、人間としての魅力が今につながっているとは思えない。
 口撃的に過ぎるため、過去の発言との間に矛盾を生じたり、相手を攻めている中で、いつのまにか自らへのブーメランにつながっていることが多い。
 口は禍の元の典型のようだ。

 過去と現在の発言の整合性を材料に相手を攻めるパターンは、自らのことにはおかまいなしの身勝手さを今の臨時国会で多々感じる。知力、弁力に長けているとの自信があってのことなのだろうが・・・。
 ところが、「見事なまでの変節ですね」「逃げないでください」といった言葉は、正に自分を戒めなければならない言葉だということに気がつかないようだ。
 

 つまり、国籍問題で二転三転の嘘の上塗りをし、パスポートその他で真実の盲点をつかれると記憶の曖昧さを持ち出す。さらにそれについて、維新の会に説明責任を問われると「極めて個人的な問題なので、これ以上の説明をするつもりはありませんと見事なまでの開きなおり反論。
 ならば、ここまで苦し紛れの説明を繰り返してきたのはなぜ? 最初から極めて個人的な問題として相手にしなければよかったではないか。
 

 これこそ「見事なまでの変節」であり「逃げさせていただきます」ではないか! 我田引水という四文字熟語そのものだ。
 国会、県会の議員は資産状況さえ公に示さなければならない立場にあり、極めて個人的という表現は、疑惑を突きつけられている現実に通用しない言葉である。あれだけの騒動があの一言で終止符を打つのであれば、なんのための騒動だったのか。
 こういうことを平気で実行してしまう人が、野党第一党の代表であり、総理になれる資格を有する人なのだ。
 こんなことがわからず国会発言をしているようでは、知力にも疑問を持たなくてならないし、国会議員としての資質に関わる問題だ。
 

 数号前に書いたが、富山県議会民進党の政党交付金不正受給が明るみになったときのインタビューで「政党交付金は国民の信頼の元に支給されている・・・」の発言があった。国民に配慮した物言いのつもりだったろうが、政党交付金しかり政治家の報酬についても(私もいただいていた立場ではあったが)国民の信任をはたして得ているのだろうか? 常にポピュリズム意識があるがゆえの言葉選びのミスで、オンブズマン関係者などからは眉をしかめられる発言である。
 どうもこのご仁は自信過剰ゆえか言葉に酔いすぎ、上滑りすることが多いという特徴がある。

 しかし、最後の見事なまでの開き直り発言に、マスコミはさしたる問題にはせず、自民党も追求しない様子はなぜなのか?
 国籍と議員資格の問題は、人道博愛、差別、ヘイトなどとは次元の異なる話なのだが、それに配慮したのか、それとも自民にも小野田議員が登場したことによるものなのかは不明だが、国益のための国会の在り方が、未来の日本にも関わるという観点からしっかり対処しておくべき事案であることは間違いない。
 

No.2806 ダブルTで話題持ち切り

2016.09.30

 空模様がなかなかすっきりしないが、世の中はもっとすっきりしないことだらけだ。横浜の大口病院大量死亡事件も恐ろしい事件だが、今回は政治に関わるジメジメした話題を取り上げる。

 掲題のダブルTとは東京都と富山県のことを私が勝手に指している。
 小池都知事の話題が多いこともあるが、豊洲問題はパラリンピックの注目度をかすめてしまった感がある。相変わらずのマスコミの偏重報道も影響している。しかし、この問題はいったいどこに落としどころがあるのかと感じる。
 日本一の食の台所の環境汚染問題である以上、解決策は日に日に困難をきたしつつあるように思えてならない。都議会の政党会派による我こそが正義と言わんばかりの調査活動にマスコミも対応していたが、もはやそんな領域を通り越している。自民党都議団の静寂ぶりも異様で、逆にここに至るまで大いに関係しているのではないかと勘ぐりたくなる。いや、ないはずはない!

 昨日、2020オリンピック問題で小池知事と森喜朗組織委員会会長が対峙した。知事は森氏の言葉に直接反応することはなかったが、森氏は「1兆、2兆、3兆と豆腐ではあるまいし・・・」という知事の言葉に「ああいう立場の人が(そういうことを)言うべきではない」と早速牽制した。言って欲しくないことを言われたということなのだろう。

 調査委員会のオリンピック準備委員会に対する指摘は「社長も財務管理者もいない組織」という言葉にはさもありなんとも思いながら、実は驚いている。
 いい加減な積算により、当初7340億円台で計画されていた予算が、今や2億円にのぼり、最終的には3億円にまで膨らむと予測されている。
 税金が湯水のごとく湧き出るとでも思っているのだろうか。
 税金を対象にした「壮大などんぶり勘定」が許されるはずもない。

 富山市議大量不正問題では昨日11人目の辞職議員が出た。芋づるのように出るわ出るわ!
政務活動費不正の対象は市政報告会関連のものが多かったが、架空出張というのも表面化した。つまり、多くの議員は各種のごまかしを総合的にしていたのではないかとの推測も成り立つ。自民党系議員が多いのも特徴的であり、同じ党員として残念に思う。

 富山県議会でも民進党による政党交付金1,400万円の不正受給が公になった。これに対するレンホー代表の発言がまたまた不自然だ。というのは、その出だしで「政党交付金は国民の信頼の元に支給されているもので・・・」ときた。
 揚げ足を取るつもりはないが、レンホーさんはボキャブラリー能力によほど自信があるようだが、言わなくてもいいことを言ってしまうタイプでもあるようだ。
 一般人とは違うのだから、もっとひとつひとつの言葉をじっくり吟味して口にすべきだ。過去に何度もそうした実績があるのはマスコミも報道しているのだから。

 政党交付金は国民の信頼を伴っているだろうか。その額を政治活動に必要だと理解して許容しているだろうか。そうではない。これはあくまでも制度的に国会で決められているのであって、国民が認めている実態はない。
 国民の政治不信は、政党交付金や政務活動費のあり方をはじめ、税金に対する議員の認識に源を発しているのではないか!
 このことに政党代表たる政治家が思いを馳せることがないのは驚き以外の何ものでもない。

 いずれにしても、不正発覚にあたり辞職すれば問題解決ではないし、追求の手が緩むことがあってはならない。刑事事件として取り扱うくらいでないとこの問題は無くならないだろう。
 野々村兵庫県議事件は全国の議員にとって反面教師となるだろうし、そうすべきだと過去ブログで書いたものだが、それも出来ずに「せこい議員」で有り続ける場合、鉄槌を加えるしかないではないか!

 

No.2798 女性政治家の近況異変

2016.09.13

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 台風襲来とともに猛暑が去って体感的には楽になるが、被災地のことを思うと単純に喜んでなどいられない。まして、今回の被災地はすでに冬支度にも入ろうかという地域ゆえ立ち直る時期としては辛く厳しいことだろう。
 もっとも、仮設住宅住まいの東北の被災者にとって、猛暑が去って寒い季節へと繰り返すこと5年と6ヶ月。いつまで続くことやら・・・
 熊本では地震が再発している。不安な心持ちの中での生活再建に気持ちを持続することさえ大変だろうと思うが強く生きてもらいたいとしか言えない。


 強く生きると言えば、今、3人の女性政治家がニュースへの出番が多い。いずれも戦う現状にあって辛く厳しい実情にある。

◆ヒラリークリントン米民主党大統領候補
 肺炎で9.11追悼式を退席する際のよろめく姿は世界に激震を与えたようだ。
私も見たが、膝の崩れ方は尋常ではなかった。無事回復してくれることを願わずにはいられない。共和党トランプ候補が大統領になるシナリオは政治の専門家の多くが有していないようだが、それは彼の思慮不足から出てくる暴言ぶりが、世界秩序を不安定なものにしかねない可能性が高いと目しているからだろう。
 だからこそ、利権癒着が問われてはいるものの穏健派ヒラリーさんの方が世界のリーダーとして望まれるのではないかと思うのだが、健康面は国家元首という職性だからこそ占めるポイントは高い。2ヶ月後に迫った大統領選の行方は混沌としそうな状況になったようだ。

 差別発言を安易に口にする品のない元首を選択する可能性が、自由と民主主義のアメリカで実現するとは思えないが、治安維持を担う警察組織によって黒人蔑視行為が平然と行われる悲しい実態は、マイノリティーを中心に怒りの発信度は増しているので、選挙が近くづくに連れてヒートアップすることだろう。
 ヒラリーさんには完全快復を期してもらいたいが、尋常とは言えない移動距離が長期にわたるハードな米大統領選は、70歳に近い女性にとって大変なことだろうと思う。察するに余りあるが、それがアメリカ大統領に与えられた激務のスタートと思うとなんとか乗り越えてほしいものだ。

◆小池百合子東京都知事
 この方の気の強さは相当なものだと理解していたが、築地移転先の豊洲の1件ではこれが功を奏した形となった。しかも盛り土を怠った東京都のルーズぶりには私も呆れた。問題は単に延期だけではすまない根深いことになった。
 まずは現状のままでは移転など出来ようもない。ならば立ち上がった建物の下の空洞部をどのように処理すれば事は解決するのか。専門家による調査と設計にかかる時間次第では来年の1月でも移転は難しいと思われる。

 この問題の原点は、平成15年だったと思うが、土壌汚染対策法が施行されて人の健康との拘わりで土の安全性に対する基準が設けられ、さらに平成22年に厳しい改正が行われたことにある。いたる所に見られる山と見まごう堆積土はそのままでは使用出来ないものが多い。いや永遠に使用不可なものが多いと言っても過言ではない。
 ヒ素やダイオキシンに冒された土が検査もなく使用されるなどということはあってはならないが、昔はあちこちであったようだ。
 逆に、開発で掘削された土はそのまま利用することは出来ない。そうしたことから、安全な土となるとそもそも少なく、今、造成工事真っ最中の杉戸の屏風深輪産業団地でも埋める土が足らずに計画がかなり遅延したという。
 土の安全性を確証するための検査費用はかなりの額になるという。詳しくは知らないが、おそらく安全性が認められた土の値段は高いのではないだろうか。

 あくまでも推測の域を越えないが、豊洲の関係もそういった関係で盛り土を省いたのかもしれない。
 しかし、土でもないコンクリでもない砂利敷きですませた底辺部に水が上がり、その水自体に安全性が疑われる状況になるとは都庁担当者も予測出来なかったのではないか?
 都庁職員の怠慢だけではない問題が絡んでいるとしたら、それはいったい何なのか。かのドンなら知っているのかもしれない???
 ついでの話だが、この豊洲関係の巨額な事業の入札にあたり、都が予定した金額の99.9%で落札されたという驚きの事実がある。この落札は大手ゼネコン3社のそれぞれのJVで3つに区割りされたというから官製談合の疑いも出てくる可能性があるようだ。
 小池知事のメスはどこまで深く切り込むことが出来るか興味は尽きない。
 

 マスコミの一部、とくにTBSなどはこれに関わり、共産党と民進党のイメージアップと自民党のイメージダウンに結びつけたいとする思惑の報道内容だったが、大マスコミのこうした姑息な報道姿勢はこれからの日本社会の健全性に百害あって一利もない。もっとも、TBSはあの岸井成格氏を特別コメンテーターとしていることから反自民政権メディアを自認しているも同然なのだが・・・。
 確かに、自民党議員が不正受給疑惑が多いのは残念だが、自民党のていたらくぶりへのマスコミのはしゃぎっぷりも尋常ではない。
 兵庫野々村事件を明日は我が身の教訓とせずに継続不正していた富山市議の問題は全国的なチェックはもとより、政務活動費の在り方を根本的に見直す節目に来ていることは間違いない。
 

 さて、小池さんにはここまで来たら自民党都議団ととことん戦ってもらいたい。全国から注目を浴びる東京だからこそ、今や国民を味方にしたも同然の小池都知事は思い切って断行出来る状況にある。そして、ゆるみたるんだ都庁を改革し、職務姿勢と財政管理の健全性を高めていただきたい。

◆民主党代表候補の蓮舫氏
 政治家特有の二枚舌をこの人も使ってしまった。二重国籍を当初否定していながら、今調査中と中途半端なことを口にするどっちともつかない対応がまずかった。過去の談話との整合性に齟齬が生じたこともある。やんわりシラを切る対応でやり過ごせると思ったかどうか・・・逆に彼女は、家族に対する中傷があることは悲しいと人道博愛問題へ方向転換を図ろうとする姿勢がうかがえた。
 どれほどの家族への批難があったかは分からないが、回転の速さにうなった。要するに、疑惑を追求されると瞬間「やばい」と感じ、焦りの中から言い訳にならない理屈を発してしまう典型だ。その意味では、蓮舫さんも今回のことで品格の高い政治家のイメージは外してしまったようだ。回転の早い蓮舫さんだが、最初の対応をはずすと結局は迷走することになるという見本のような例で、蓮舫さん、自らの能力に溺れてしまったということのようだ。

 言葉は重い。
 某若手俳優容疑者の突然の示談・不起訴には驚いたが、母親のお詫び会見の中にも首を傾げる表現がいくつもあった。それは結局、巷間伝わる高額な示談金になった親子愛と無関係ではないと思われても仕方ない。
 最後は合意の可能性もあるとする弁護士の強気な説明があったが、語るに落ちるとはこういうことだと思う。かの母親は記者会見時に、時間には関係なくどんな質問にも応じると言っていたのに、釈放後は無言を通しているのもどこか不整合な感じである。
 本人が女性を見て欲望が抑えられず、逮捕後は自殺しようと思ったと発言しているわけだから、こんな大逆転劇を誰が予想しただろうか。

 
 話がそれ過ぎたようで恐縮です。そのせいか、原稿用紙10枚近い量になってしまい、お付き合いくださってありがとうございます。いずれにしても、常に我が身を諌める反面教師として題材にさせてもらった次第です。
 それにしてもヒラリーさん、大丈夫だろうか。

No.2777 都知事選挙のわかりやすい分岐点

2016.07.19

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 政治不信が原因の度重なる東京都知事選。前回はたしか季節的には寒い時期だったと思うが、辞任の関係で暑いさなかに行われる。陽気だけでもうんざりといったところだが、48億円もの巨額を要すると聞くと、ため息が漏れる感もあり、しっかり対応しなければと・・・いやいや私には投票権はないのだが、そう感じてしまう都知事選である。

 21人もの立候補者が届けられる大選挙戦かと思えば、実際の報道はほとんど3候補に絞られ、ネットで在特会の桜井候補の演説姿が見られる程度である。
桜井氏の言ってることはそれなりに理解できる部分もある。つまり、総連や民団を非課税特権対象としている政府は甘い。ゆえに都知事になったらしっかり課税する。公約は7つあるとか言うのだが、主にそういった話が中心である。しかし、演説途中で必ずその筋からの野次が飛ぶ。すると彼は、その野次屋に向かって、今議論するからと言って宣車の屋根から路上に降りる。野次屋は言うだけ言って、そそくさと逃げに入る。その一連での彼のド迫力の憤りぶりがなかなかなのだ。私も野次馬的に見入っているということか。

 さて、今回の都知事選。私は究極の選択だと感じている。
まず、鳥越氏。東アジアにおける日本の立場、役割、中国、北朝鮮の驚異などまったく理解できていない。この人が当選すると東京は第二の沖縄化に向かうであろうし、すでに彼自身は第二の翁長と言ってもいい状況である。
 政権批判は個人の自由だが、都政を国政と同一視することは都民無視にも近い。沖縄には、政権と対峙する社会事情があるので政権批判が選挙に絡むのはやむを得ない。東京は首都東京として国政と協調するのならわかるが、対決姿勢を剥き出しにする必要はない。
 そんな思いの知事では職員を統制することも難しいし、職員が育たなくなる。

 13兆8千億円という巨大予算を抱える1200万人都市の隅々まで行き届く政治を舵取りするにあたって、安倍政権への敵対心で立候補するというのはいかがなものか。そのあたりの反発と批判を受けて、最近はトーンを下げてはいるが、民共連合に社民、生活、さらにはシールズの応援までとなると、なにやらイデオロギー選挙と化している。事前の段階で私は話が都知事選に及ぶと、宇都宮氏は公示日までに絶対辞退すると言っていたが、その通りになった。

 健康面ではガンに立ち向かう自らの手術キャップを被った姿がマスコミを騒がし、それにより知名度が増した経緯もある。それが激務職の都知事立候補では無責任という一面も感じないではない。本当に4年(本人は8年と言うが)の任期をまともに勤められるだろうか。職務・職制を理解せずしての立候補であるのは間違いない。
 当選の折に、ブラジル行きはファーストクラス、登庁は週に2度などということになってはと考えさせられる。前者は許せても後者は考えさせられる。なにせ、素人候補は間違いないので、政治というよりは行政をしっかり勉強してもらわねばならない。

 次に増田寛也候補。職制的には経験と資質の面で一番手だと思うが、この候補が持つリスキーな点は、外国人参政権容認論者だということである。自公とならび日本の心を大切にする党が推薦を出しているが、ご存知の通り、中山議員は拉致問題解決に向けて活動する国会議員の代表的存在の方である。おそらく増田氏の思考について、条件提示しての推薦になっていることと推測するが、はたして増田氏の本心はいかに。この問題小さくはないと思っている。鳥越氏については10年日本に住んだら誰にでも選挙権を付与するべきだという自論を持っている方なのでどうにもならない。アナウンサーやキャスターにこういったリベラルな方が多いと、電波メディアが偏向報道になるのもわかるというものである。
 増田氏は候補と噂されてからの、のらりくらりの発言がどうにも歯がゆい。後出しを意識したのかどうか・・・当初、噂に登った際は出馬はない!と言い切っていたのだから政治は本当に一寸先は闇だ。
 

 最後に小池百合子候補。この方は昔から感じていたが強気な方だ。石原伸晃都連会長に推薦願いを兼ねて会談した翌日に推薦願いを取り消して立候補宣言して国民目線を惹きつけるという驚かせ作戦に出た。石原氏も増田候補を描く過程でしまりのない話をしていたのも原因で、小池氏は石原氏を見限る決断をしたのだろう。待っても推薦は出ないのははっきりしていたのだから。
 その決断は素早く、政治家に必要なものを備えていると感じさせてくれるのだが・・・やはり強気な方だ。
 当選後の議会冒頭で議会解散するなどと、なかなか言えるものではない。

 何度かお会いもしているが、高貴な方である。これは自らがそう思っているという意味である。下から目線で言葉を発しても、心は上から目線の方だと。
 その時折に合わせた政局もしくは政治家につくというのもしたたかな面を感じさせる。人間関係の絆をいとも簡単に切るタイプに私は寛容性を持ち合わせていない。
 しかし、議員と違い知事職は本来であれば組織や特定の政治家とつるむ必要はないが、議会を敵に回すと、第二の埼玉県に・・・多数派与党と知事との政争に近いネジレはあまり歓迎できるものではない。
 上田知事が、昨年の県議選で自らがサポートする選挙用会派「選択」を設けた行為などは行き過ぎた結果で、その後も知事は参議院選で民進党参議院候補との2連3連のポスターやノボリに顔を出している。当然、最大会派の自民党県議団との友好領域外にある。そこまでやってはいけないという思いに及ばない強気な人なのだろう。小池氏が当選すると議会は修羅場と化すやもしれぬ。それはそれで仕方がないと当初割り切ってもどこまで続くぬかるみぞになると、結局は都民不在にならないとも限らない。

 というわけで、冒頭の通り、私の感想は究極の選択に近いのである。
 鳥越氏ははなから対象外なので、増田氏と小池氏の比較で言うなら、この知事選に限り、個々に感じるマイナス面で、ひとまず譲歩出来るのは小池百合子候補かなとは思うが、どうしてもという人がいない場合は白票も選挙参加の在り方のひとつではある。・・・・いやいや、あくまでも都民であったならの話です。
 政策論争が抽象的に過ぎる感じの都知事選。とにかく、癒着や利権構造、公金の私的流用といった政治とカネの良からぬ騒動に無縁の方になってもらいたいと思う。これは最低条件だ。

No.2770 大英帝国崩壊は欧州崩壊に向かう?

2016.06.26

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 政治不信もいろいろあるが、今回のようなイギリスの結果を見るに付け、ポピュリズム政治に惑わされて国家の方向性を見誤ることに、国に限らずより近い地域でも他人事ではないと感じている。

 イギリスの若者の6割を超える多くは、EU内での強調を保ち、広い共同体世界の中で自国が独仏に対等しうる中心的立場を強化してくことを望んでいた。ところが、とくにイングランドの高齢者たちは過去の栄光を引きずり・・・それを取り戻せるか如くの思いを投票に示した。
 細かな話はメディアが多く伝えているが、スコットランド、ウェールズといった連邦内国家が残留を望んだことも、今後の大英帝国の状況を暗くしている。離脱投票者の中には、すでに後悔を語る人が多く、再投票を求める署名もわずかな日数にかかわらず、すでに350万人に及んでいるという。

 労働党のファラージュ党首が、EUへの投入資金が多額だとして、それを社会保障や若者支援に当てることが出来るといったアピールを強調したが、それどころではない金融不安と帝国崩壊を感じさせる結果にかなりの離脱投票者が驚いたというのが実態としてあるようだ。投票心理に不安を重ねて煽られ、恐怖感がハロー効果となって偏った方向に導かれる住民投票の問題点が浮き彫りになった。
 それは、まさに取らぬ狸の皮算用だったとの批判がある。イギリスだから狐か・・いや失礼!
 いずれにしても、こうしたポピュリズムというより嘘に近い話は、後から出てくるのは世の習いかもしれない。

 ポピュリズム選挙と、プライドや2分の1の選択が為す感情的投票が、これほど重い結果をもたらすことを世界の有権者が学ぶべきだ。記憶が遠のいている方がいるやもしれぬが、日本でも数年前の合併騒動で「おらが街の名前が変わることはあかん!」という、なぜ合併が必要かという本線からはずれた思考が勝った結果は全国各地に見られた現象である。伝統や歴史は名前が変わったからといって失われるわけではないのに・・・。
 住民投票の危険性が今回のイギリスで示されたことは、わかりやすい反面教師としなければならない。民主主義を標榜する国民投票は、実は、その後の方向性をわずかな数値で反転させてしまう危険な賭けにもなりうるということである。
 これを選択したキャメロン首相の責任は重大である。

 そして、今回の結果で憂うべきことがいくつかある。
◆スコットランドの独立国民投票が再実施される可能性が高く、実施されれば独立は確実と思われる。本国が夢を失う選択をしたツケが生じる身近で最速な例になる可能性が高い。

◆ロンドン独立の信ぴょう性もまんざらではない。元ロンドン市長のジョンソン氏への風当たりはしばらく続くことから、彼が新たな首相に選任されると、イギリス政治の混乱は予想以上に強まることとなる。これはイギリス連邦崩壊の始まりかもしれない。

◆EU離れが加速することも・・。オランダはもとより、フィンランドなど北欧の一部にはそもそもヨーロッパのくくりから離れる国民投票をという現実がある。その動きのほとんどは、排外保護主義を念ずる極右政党が中心となっている。これは、トランプにも通じることである。あるのか欧州崩壊??

◆ロシア、中国が内心ほくそ笑んでいるのは間違いない。なぜなら、今後の国際関係の中で、米英関係にほころびが生まれかねない結果と判断していることが考えられる。それが証拠に、プーチンはやたらと冷静で、中国はイギリスに友好的なスポークスマン発表を発している。中露の野望は太平洋、大西洋の分断作戦にあると私は思っている。

◆世界の金融不安・・・これはおそらく時の経過とともに治まるものと考えるのが適切か。どんな不安でもそれがそのまま続くことは考えられない。ただ、西側のこうした不安発生が、中露の動きにどういった影響が生まれるかという点で、国際関係の大きな変動を注視していかなければならない。
 万が一、トランプが米大統領にでもなったらいったい世界はどうなるものやら・・・である。

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