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No.2833 幼い子供が自爆テロに

2016.12.22

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 日露首脳会談は結局領土問題には言及がないまま閉幕した。生まれ育った故郷を奪われたままの方たちに寄り添う思いもあって希望的観測を前号で書いたがいささか拍子抜けした感は否めない。
 しかし、今回で変換自体が実現するといった拙速なことを考えていたわけではないので今後に思いを馳せることになる。なにより、領土問題は平和条約締結という大命題と切り離して交渉するものではないので、まだまだ安倍総理には引き続き汗をかいてもらわねばならない。

 1週間ブログをかけずにいた。その間世界では大きな出来事が立て続けに発生した。中国による米潜水艇拿捕、ドイツのトラックテロ、ロシアのトルコ大使射殺テロ、シリアのアレッポ内戦などなど・・・どこまで続くテロの波。
 人の命を命と思わないテロ組織に屈することは考えられない。しかし、事前把握が全く不可能な自爆テロは、今や少年少女にまでその実行犯は低年齢化している。こうした子どもたちはいったいどんな想いで訓練を受けているのだろうか。異質な児童虐待であることは間違いない。
 

No.2831 トランプカードに中国かみつく

2016.12.12

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 トランプ発言がたびたび話題にあがる。当然と言えば当然と考えられるが、それにしても、まだ大統領就任まで40日を残している状況での外交的発言なので、あまり行き過ぎるとややこしい話になりはしないか・・・・いや、すでにややこしくなっているようだ。相手はやはりというか中国である。トランプ氏が台湾の蔡総統と電話したことが気に入らないようだ。

 私がトランプカードで最もその方向性に注目しているのは安全保障だ。これは経済分野で中国包囲網を思考するオバマ・安倍コンビが継続されずに米の脱退が現実味を帯びてきたTPP以上に関心がある。
 たとえば、対中国では台湾との関係について中国が望む方向とは逆の思考回路をトランプは持っていることがわかった。つまり、中国は台湾も含んで一つの中国だという認識ではないようだということである。これは、李登輝元台湾総統が聞いたら予期せぬ想定外の感激を持つであろうと思われる。なぜなら、親日家として日本の政治経済界から高いリスペクトを受ける李氏であれば、クリントン当選の報を待ちわびていたであろうことは容易に推測出来る。ただし、事はそんなに単純なことではない

 しかし、蔡英文氏も気骨のある政治家であることを示すこととなった。それを計算してのことかどうかは不明だが、就任待機状態の次期米大統領に祝いの電話を入れるというのは、大国でない限りそうそうはしないことかと思う。ましてや、独立国としての地位にない台湾であれば尚更のことである。
 もっとも、習近平が同様のことをしたというニュースは聞かない。背伸びする中国、自らはいやがる内政干渉を得意とする中国、責任転嫁を得意とする中国、アメリカと対等だと早とちりもいいところの中国、何にでも突っ張る中国・・・人間として素晴らしい人もいるのだが、国家としてみると大きいだけに地球で最もたちの悪い国のように思えてならない。

No.2827 気質の違いを感じる動向

2016.11.30

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 韓国政府が来年3月から、現行17種類ある歴史教科書の国定化導入を志向しているが、これまで以上に慰安婦と竹島に関する記述が先鋭化されるようだ。
 たとえば、慰安婦関連では「日本政府と日本軍によって強制的に動員された」、竹島については「韓国固有の領土」と記述されるという。

 もともと、韓国は「慰安婦に関する強制性は歴史的事実として間違いのないもの」と主張しており、今回の改定においても韓国の教育相は「日本政府の責任を明確にした」と言ってはばからない。
 韓国国内では政治イデオロギーの観点から北朝鮮への記述についてもかねてから賛否が分かれる実情があり、今回の国定化では北朝鮮との融和的記述も削減されるものの、日本への批判もさらに分量が増加する傾向だとのこと。

 慰安婦問題に対する韓国民の感情は、日本へのライバル心を超えて敵対的精神に近いものがあるが、これを結果的に煽動する形となった日本の政治家の安易な発言とそれを補填した反日マスコミの影響もあって、韓国側の強気な姿勢が見直されることはないことがあらためて理解できる。
 韓国の歴史教育が、今回の国定化によって事実の事実以上のデフォルメと捏造も含めて中高生たちに延々と教え込まれていくことになる。このことが、戦後最も互恵関係を実現し、保持してきた日韓関係の未来にどのような影響をもたらすだろうか。韓国にはそうしたことへの憂いはないように思えてならない。


 朴大統領の弾劾の可能性が高い現状にあって、父親の朴正煕元大統領に対する賞賛迎合記述への批判も高く、過去の大統領の退任後の末路を思うと弾劾が確定した場合、一族郎党にわたって過去を清算する動きが強まることも予測される。国家トップを担った政治家に対する敬意の念など皆無に近い状態になる韓国のお国柄というのは、日本では考えられないことである。
 そもそも今回の大統領周辺で起こった事件があまりにも私的な小さな人間関係の枠でのことであるのも、日本では起こり得ないことであろう。

 強気一辺倒かつ感情の高ぶりを抑制できない民族気質を原点とすることで民主主義の成熟が困難な国情と言えるのではないだろうか。それでも、どこぞの言論統制全体主義覇権国家よりはましか。

 いずれにしても世界に比類なき規範精神による知性と理性で国際協調ならびに友好関係を示す日本なのだが、大戦中の人道人権問題で未来永劫常に後手に回るような感もする。
 歪められた事実を真実にいつかは置き変えなければと思うが、感情論に打ち勝つのは容易いことではない。

No.2823 トランプ主義

2016.11.16

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 長女イバンカさんの駐日大使というのはまだ噂の段階だと思うがトランプ人事が徐々に示されてきた。

 私がトランプ氏に問題を感じる点で最大のものは人種差別に類する発言が多いことにある。
 トランプ氏の存在を知ったのはかなり前のことだが、その時に彼のイメージはKKK、いわゆるクークラックスクランという白人至上主義を標榜する秘密組織のメンバーかもしれないと感じたことである。
 歴史的に古い活動実態を持つこの団体は、中学生の時にその存在を知ったが、三角頭巾の白装束という不気味な姿をして悪魔の儀式を行う組織で、これはアメリカの秘部なんだろうなあと少年ながらに感じたものだ。
 もちろん、トランプ氏がこのメンバーであるかどうかは定かではなく、あくまでもイメージということでご理解いただきたい。

 最新の報道によると、首席戦略官兼上級顧問への起用が決まったスティーブン・バノン氏は共和党内においても批判の多い保守本流派の人種差別主義者との評判しきりの人物だという。さらには反ユダヤ主義でもあるというから、いったいこの関連でどういったトランプカードが切られることになるのか興味深い。
 この問題は、すなわち白人以外の国々に対する外交問題にも多かれ少なかれ影響を持つと思われる点においてアメリカの国内問題だと決め付けることはできないと考える。
 とくに、アメリカの動向はチベットやウィグル地区で人種差別政策を展開している中国にも影響してくるし、東欧、アフリカといった地域にも関わる。
 アメリカは自由、平等、博愛の世界の守護リーダーであることが常に求められる国でなければならない。トランプ政治の最大の不安はそこにあると私は感じている。

No.2822 トランプカード

2016.11.12

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 🃏トランプショックは間違いなく私にもあったが、およそすべてのメディアが伝える内容チェックに目まぐるしい日々だ。
 そんなところに「すぐにブログに書くだろうと思ってアクセスしても無言でいるのは枝久保さんらしくないですね」という叱咤激励?のメールをいただくはめになった。
 私如き地方政治のはしくれが、国家観以上の世界観に関わる大統領選後の分析をするのはいかがなものかと思いながらも、書き込みを期待?していただく声もあり、やはり感ずるところを書いてみようかと・・・お付き合いください。

 ♠️よくよく考えてみると、メディアの多くも、アナリストたちにも中東アフリカ問題やグローバル化の歪みが今回の選挙結果にかなりの影響をもたらす可能性を事前に察知する思考が不足していたように思う。それどころか、トランプリスクを憂うあまりのトランプ忌避報道が横行し過ぎたように思えてならない。
 と言うのは、あのイギリスのEU離脱を選択した国民投票を思い出すのだ。
 キャメロンは強固な自信の上に国民投票に訴え、まさかのどんでん返しを受けた。多くの中東アフリカの貧困移住者がイギリスを希望するほど、移民受け入れに自由度を広げていたイギリスに隠れ不満が多数いたことが示された結果だった。
 

 ギリシャ、スペインの経済破綻によるEU自体の基盤の不安定さや、数度に及ぶ爆破事件がロンドン市民を恐怖に陥れていたことなどもあって、自国を守る排外主義精神を根底とするグレイトブリテン・プライドが首をもたげた。そして、その状況をメディアも見逃していたのではないだろうか。
 つまり、巷間伝えられる世論がすべてではないことも、イギリス国民投票は教えていたわけで、それはそのまま米大統領選にも言えることだったと今なら理解出来る。

 候補者同士の中傷合戦の醜い選挙戦にあって、オバマもトランプ批判を繰り返した。聴いてる有権者は1年近くも聞かされて嫌にもなろう。うちに秘めた国民感情を軽視したキャメロンの轍をオバマも踏んだとは言えないだろうか。
 グレイトブリテンプライドによってグレイトアメリカン魂が揺り起こされたのかも?

 ♦️いずれにしても、国や地域の事情は個々にあるものの世界中どこで行われる選挙にあっても、従来の選挙通説が通用しないという事実を強く認識させられた。選挙戦術もSNSによる若者誘引など、あきらかに一昔前とは異なっている。なってはならない、なるはずがないといった選挙戦で、その候補が当選する確率がかなり高いこともわかった。なぜなら、なってほしい、なるはずだとする必然性の思いが、逆に安心感に結びつき、投票行動を鈍らせることもあるだろうから。

 見たくもないと言っていたトランプが今後頻繁に登場することになった。日本に向けた外交発言は厳しいものがあり、いくら選挙戦用とはいえ、思考の範囲にあるのは間違いない。
 しかし、世界最高の権力者が暴言独裁を貫くことがまかり通る世界情勢ではない。冷静沈着に国際協調を進めるために、これから選任する外交、軍事、通商といったいわゆるトランプチームの要人がイエスマンでないことを願いたい。

 ♣️共和党の経済政策顧問のウィルソン・ロス氏はトランプはTPPに完全反対ではないとしている。
 また、ジェリー・マルティネス在日米軍司令官は、誰が大統領でも日米同盟は不変と説いている。
 さらに、仏の科学者エマニュエル・トッド氏は、親露反中の外交で実利を得る舵取りをするのではないかと予測する。
 反面、元中央情報局長官のジェームズ・ウールジー氏のように、中国主導のAIIBに参加しなかったのは誤りだったという声もある。これによりアメリカが万が一参加をほのめかすとなれば、中国は諸手をあげて歓迎するだろう。となると先進国で不参加なのは日本だけということになる。

 ♥️世界の経済還流、NATOを含む世界の安全保障に与えるアメリカの影響ははかり知れないものがあるということを、どこまで周囲が政治素人のトランプに教示できるか。
 そういう意味において、偉そうに説得することは禁物だが、安部総理がいち早く1週間後にトランプと対談するアポを取り付けたことは評価に値する。
 

 ♠️議会が上下院ともに与党多数になったからといってトランプの思うがままにはならないと推測する。共和党の中にもトランプ不支持がかなりいるし、なにより国がこぞって祝福するという大統領選のいつもの姿が見られない異常な事態もある。今、行われているデモを軽く考えると大きなしっぺ返しの可能性もある。
 
 ところが、まだヒラリーの当選の可能性を書くメディアがある。開票の違法性からだが、なんと未練たらしいことか。ことここに至って、アメリカでそのようなことが起こりうるとしたら、アメリカの権威は著しく低下することが理解出来ないのだろうか。
 トランプが弾劾裁判にでもかけられて有罪判決が下されたら大統領失脚は有り得る。あとは、トランプが生存している限り4年間は不変であり、万が一があったとしても大統領にはペンス副大統領が指名される。
 もはやクリントンの大統領は消滅したことを最低限理解するべきだろう。

  
 ♦️ここで民進党の次元の低さにふれておきたい。
 TPPは日本が批准しておくことに恥の上塗りと評しているがはたしてそうだろうか。最初の恥とは何を指すのか?
 場合によっては、アメリカ抜きで日本が主導する形への変容も視野に入れるもよし、批准は他の参加表明国の信頼にもつながる話なのだ。トランプ当選により日本はTPPをあきらめたというのは、参加国からしたら日本への信頼が揺らぎかねないし、それこそ日本はアメリカの属国なのかという国際批判につながりかねないと私は思う。
 熟慮足らずで、ハネカエリの批判が目に余る野党第一党には困ったものだ。最大の支持ブレーンである連合に対して、選挙に口出すなの意思表示を口にした。
 蓮舫の高慢さがにじみ出た発言だ。代表としていかにも軽すぎる。

 また、同党の小川敏夫参議院議員は「博多の道路陥没には驚いた。アベノミクスで日本の社会の中から壊れて、ある日突然、日本の経済も壊れるんじゃないかと、そんな連想をした。早期の政権奪回を目指して頑張る」と・・・なんと不謹慎な連想をすることか。それを口にまでするのは議員として何かが欠落しているとしか思えない。
 世の中の事件はすべて安倍政権の責任であるかのような意図がありあり。自民嫌いの有権者の皆さんも、そろそろ民進党に三下り半を突きつける時期がきたのでは・・・自民嫌いはやむを得ないとしても民進党への判官びいきはいかがなものかと思う今日この頃です。
 そもそも、トランプに日米同盟の重要性やアジア地域の安全保障問題をじっくり説明出来る能力は民進党にはないと考えるのが妥当でしょう。

 民進党は解体が近いと予測する方がトランプ政治の予測より当たる確率が高いかもしれない。
 いや、私は民進党に在籍する議員の中の素晴らしい方々に、自らの信念に基づく議員活動をしていただきたいと思っているのです。10人でも15人でもいいではないですか。今や政党政治の時代を脱皮しようとしているのだから。
 

 ♣️ともあれ、日本は憲法改正を含めて真の自立をどう実現していくか、それを日頃以上に強く認識させられた大統領選となった。
 代表的なカードゲーム🃏を名前にする新大統領だが、今後どういった外交カードを切ってくるのだろうか。世界の注目はますます高まる。
 トランプシアターの幕開けは来年1月20日だ。その後に切られるトランプカードはいったい・・・。
 ♥️まだまだ思いは募りますが、長くなりましたのでこのあたりで!
 乱文乱脈をお許しください。

No.2814 ASEAN情勢に影?

2016.10.20

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 タイのプミポン国王が崩御された。軍事政権による国家運営下にある同国ではあるが、過去の軍事革命後の混乱も落ち着いた安定的政治状況に戻すなど、その存在は絶大な国民の信頼の元に置かれていた。
 ワチラロンコン皇太子の即位が予定されていると言われているが、この皇太子はプライベートでの問題点が指摘されていることもあって、実は妹のシリトーン王女を国王にとの声も少なくないという。しかし、王位継承権は持つものの皇太子が次期国王の第一資格者とされており、シリキット王妃も皇太子即位を望んでいるらしく国民の思いは届きそうもない。


 タイはもともと親日国ではあるが、中国とも友好的な外交を進めており、中国の南シナ海問題では強い批判を控え温和な外交に徹している。2年ほど前に中国からの亡命希望者を強制送還したのも、国際協調を尊び、中国の強引な外交手法に抗うことは得策ではないとの判断によるものと思われる。

 そうしたタイの存在とは別に、フィリピン大統領による嫌オバマ、嫌アメリカ的発言が多く、中国に肩入れするような言動が目立つ状況にある。麻薬犯罪人の大量処刑に見られるように、民主主義に程遠い独裁者的感覚を持つ元検事ドゥテルテを大統領に選択したフィリピンは、ASEANにおける欧米連携国の代表的存在であったはずだが、その連携が揺らぐ可能性への疑念は拭えない。 

 本来であれば、就任後の外交で真っ先に訪問すべきはアメリカであるはずだが、ドゥテルテは中国を選んだ。中国マネーをあてにし、自国のインフラ整備を目論んでいるのは間違いないところであろう。
 何かにつけて沈思黙考熟慮型の人物でないという点でわかりやすい人物である。

 金に目がくらんで南シナ海問題で譲歩する可能性も考えられるが、国際裁判で中国を訴えたのはフィリピンであり、ハーグの仲裁裁判は中国の南シナ海開発のストップを示唆している。言ってみれば、フィリピンは中国に対して地域内最大の壁になる有資格者なのだが・・・。
 数百人の財界人を引き連れて18日に中国に着いているが、今日いよいよ首脳会談の予定となっている。今後のASEAN、東アジアの方向性に大きな影響を与える点において注目すべき他国間外交である。

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