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No.2889 政治の安定の踏み違え

2017.06.10

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 地球を俯瞰するとかつての東西冷戦時代は消滅しているものの、西側自由諸国の代表的国々の政治が不安定な状態である。
 イギリスがまさかの総選挙結果であった。氷の女と呼ばれるメイ首相の総選挙前倒し作戦が裏目に出たことになる。これはなんとなくキャメロン前首相のEU離脱か否かをの国民投票実施作戦が想定外の離脱という結果を迎えたことと通じるものがある。これによりキャメロン氏は辞任せざるを得なくなった。
 フランスは30代の若いマクロン大統領が誕生し、保護主義、移民排斥を訴えた極右のルペン氏でなく一息ついたが、ドイツの政治情勢も長期にわたりEU全体を牽引するメルケル首相の絶対的信頼度に揺るぎが生じている。
 アメリカでは「アメリカファースト」を唱えるトランプによってリーダー的立場に陰りが生じており、トランプ自身が弾劾の対象になりかねない状態にある。中露に対する姿勢も一貫性がない。アサドという殺戮の支配者への見せしめ的なシリア攻撃に世界の警察を標榜したかと思ったが、あの勢いも現在尻すぼみである。気分屋という人柄が世界のリーダーにふさわしいとは感じられない最近である。だいたいアメリカという国の重要人事をツィッターで発表するること自体異常だ。
 日本でも安倍自民党の肝いりかどうかを問う加計学園問題が政治の中心にあるが、反自民マスコミ総出で国を揺るがす問題であるかのような事態に発展していることが不思議でならない。官僚役人の内部告発という善悪に関わる社会問題が根底にあるが、そもそも政治家とは地域のために要望し、国費を地元に持ち帰ることは重要な仕事である。しかし、この獣医学部に関しては地方創世の特区に関わるテーマとして諮問会議に委ねているのは重んじるべきであろう。
 この問題、たしかに政府首脳の歯切れが悪いが野党、とくに民進党や自由党の戦略手法は苦々しく感じる。一役人の告発的腹いせ発言に政治全体が翻弄される状況も同じだ。
 前述したようにどの社会にも多種多様な政治観念を抱いた人物がいる。日本を守るという信念から遠い政治家さえいるように感じるくらいだから、役人の世界にも当然右だ左だの人物がおり、それも少なくない。そして、そうした人物の中でも極端な人は自らが支援する政党や政治家に役所の情報を流すこともあるだろうし、今回のように更迭されたことに対する意趣返しのような頭のいい?人物もいるということであろう。それをいちいち国会で取り上げていたら政治の質自体が低下することはあきらかだ。本当に今の反日マスコミは国のためになっていない。

 さて、こうしてかつての西側諸国はどこも皆不安定要素をはらみ、ヨーロッパなどは一枚岩でがっちりスクラムを組むといった状況には程遠い。
ところが、あくまでも政治的な観点での話だが、中国、ロシア、そして北朝鮮といった国々は西側諸国からみたら問題は山積みなのだが、国内の政治は安定的に推移しているように感じられる。なぜか不思議でならない。専門家によれば中国では貧富の差が顕著でいずれ暴動が起きると言われて久しいが、その兆候はわずかでしかない。ところが、この国々に共通するのは他国・他地域に対する威嚇を続けているということだ。こうした疑問は私だけが持っているわけではないと思うが、どうにもならない世界の動向に歯がゆい思いが抜け切らない。
 

No.2881 15-6:03 

2017.05.14

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 数字をタイトルにすることは滅多にないが、これは個人的にたいへん重みを持って受け止めている。北朝鮮が今日早朝弾道ミサイルを発射した。またか!と感じる向きと、えっ?と驚く向き、どちらもあろうかと思うが私はまたか!のほうだった。つまり、アメリカに対抗する形でミサイル発射を続ければ国の崩壊も有り得る緊迫状況下にあってもあの国は強気な対応をするだろうということである。案の定そうなった。

 今、ネットで話題になっていることに、このミサイル発射が午前5時56分の予定というのを事前に書き込んだ2チャンネラーがいたという。北朝鮮ラジオ通信を傍受したらしいのだが、2チャンネラーの情報操作能力は高度なものがあるということを示している。そして、その書き込みの最後が「15日6:03も」という小文で終わっている。何を意味するか? 
 日が変わって明日15日の午前6時3分に、金正恩は懲りずにまた愚行を重ねるということとしか理解できない。
 今日のミサイルは日本のEZZ県内には着弾していないが、北朝鮮北西部から発射され、2,000キロの高さまで上昇した後、800キロ先の海に着弾したと分析されている。飛行時間は約30分。高く上がって比較的短い距離に抑える飛行角度をロフテッド軌道というのを始めて知ったが、これは実際北朝鮮のミサイルが脅威を増していることを示している。ICBM大陸間弾道ミサイルを想定するのであればとにかく太平洋を横断させることを優先させなければならないが、これを実験することは愚の骨頂であろう。そこで着弾地点をグアムに設定したならば、いかに高く上昇させるかによってICBMの性能向上を図るのは欠かせない実験ということになる。今回の実験ではグアムまで届くという見方もある。
 こう考えると、アメリカに対する異常なまでの対抗心を見せつけた実験と考えるべきだろう。
 さーて、であれば日本はすでに射程範囲という理解が正しいということにもなるが、はたしてどうか。

 
 6時間30分後、実際に連チャンでの実験は強行されるだろうか。

No.2853 Divide or Diversity

2017.02.07

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 昨日の早朝からしばらくの時間テレビから目が離せなかった。
 松山英樹選手とW・シンプソン選手の4ホールにまたがるプレーオフ。そのワンショットごとにゴルフの醍醐味と難しさに魅了させられた。ともにあと1センチ転がれば優勝というパットがあったが、思わず大声をあげてしまうほどのめり込んでいた。
 その後、ニューイングランドとアトランタという東アメリカ勢によるスーパーボール。考えもしなかったペイトリオッツの大逆転優勝に「こんなことあるんだー!」と身が震えた。どちらも勝負の厳しさを超越して、むしろ爽かさを感じた。
 同じようにこの朝を過ごした方は多いことと思うが、まさにスポーツが私たちにもたらすものの大きさを実感できた日だ。
 

 このスーパーボールのハーフタイムショーで、レディーガガがこれまた超のつく圧巻のハイパフォーマンスを繰り広げた。好きなタイプのエンターテナーではないが、素晴らしいものに対する称賛を惜しむ必要はない。そして、「私たちの国はけっして分裂はしない」とトランプへの皮肉をしっかりメーッセージに残した。
 スポーツは互いにファイナルマッチには死力を尽くすが、戦い終えればノーサイドは当たり前。
 ところが、今や大統領としての経験、資質、人格に疑問を持つ人が増幅しているのが実態。ロイターやCNNなどのメディアが事あるごとにアンケト結果が発表するが、どれも1000から1200程度の抽出数によるものだ。

 トランプ大統領には、彼の大胆なアメリカファースト改革が他国にどのように影響するだろうか、そして言っていることの矛盾(たとえば為替・貿易など)が、無理強いした結果として表面化した時、どう対処するのかというところに関心をもっていた。いや、あまりにも飛んでいるというか予想のつかない人物だと理解してから、もう少し観察してるしかないとも感じていた。
 ★スティーブン・バノンの登用
 ★イエーツク司法長官代理の解任
 ★オーストラリア首相との電話会談の一方的打ち切り
 ★メキシコ国境の壁のメキシコ側への対応
 ★オバマケアの廃止・・・前政権を踏襲しない姿勢
 ★TPPからの永久脱退
 ★入国管理規制

 そのすべてが、アメリカファ-ストどころか上から目線のオンパレード。これでは8年どころか4年持つかどうか。 

 スティーブン・バノンはブライトバード・ニュースという極右メディアの会長で、悪名高い白人至上主義秘密結社KKKのメンバーではないかと言われている。もちろん彼の会社はトランプのためにあるようなもので、トランプは他の大手メディアのほとんどを「フェイクで固まったアメリカの敵だ」とツィッターで罵っている。マスコミに全面的に敵対して国民に正しい情報開示ができるだろうか。
 もっとも安倍政権も朝日、毎日、東京、TBS、テレビ朝日を始め、その関連にあるメディアの反安倍報道に立ち向かっている。これはなにより日本国民の中道保守的価値観が自民党への信頼感につながっていることが大きいこともあるだろう。
 しかし、トランプはまだ真の信頼感を得ているとは言い難い。多くの人が未知との遭遇に直面しているといった状況だ。

 今号のタイトルは前者が分裂、分断、分割を意味し、後者は世の多くの事象における多様性を意味している。歴史的にその成り立ちから多様性をもってして世界一の国となったアメリカのはずだが、今、その多様性の一部が一人の人間によって排除されようとしている。待ち受けるものは分断であり、現世の南北戦争的実態がアメリカ国内に広がりつつあるとしたらどうだろう。武器は供しないもののデモ隊による殴り合いは各所で発生している現状なのだ。 

 今のところトランプに関心する声はあるのかもしれないが耳には入ってこない。
 イギリス下院でも訪英時に議会演説はさせないと下院議長が発言している。
 連邦裁判所も敵に回すトランプに世界の信頼は集まるのだろうか。
 ガガの訴えに耳を貸すようなトランプではないだろうが「アメリカは一つ」が世界のトップリーダーの大前提にあることを理解する時が来るだろうか。

No.2848 アパホテルを守ろう!

2017.01.25

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 アパホテルというと、皆さん元谷社長というよりは社長夫人の身なり出で立ちが強烈な印象として残るのではないだろうか。しかし、全国展開を継続中のアパホテルは何度か利用したことがあるが、宿泊者に優しいホテルと感じている。
 そのアパホテルの客室備え付け書籍の南京事件の描写について中国が国をあげて大騒ぎしている。観光局、外務省、報道官、新華社、訪日中国人等々中国側の騒ぎは尋常ではない。予約をしておいて部屋に行き、本を確認すると即座にキャンセルするという常識はずれの情報員的行為をしている旅行者もいるようだ。
 最新ニュースでは韓国が本の撤去を求めたという。対日外交では中国側に立つほうが有利との考えが見えるが、なりふり構わぬ日本に対する敵視ぶりである。第三国が口を出す話ではないのだが、日本をダシにした中国外交への気遣いであることは明白だ。つくづく日本は地政学的に恵まれていない国だなあと感じる。

 中国ではアパホテルへのネット予約が出来ないようになっているというのだから中国のやることの醜悪さは徹底している。グローバル経済を唱え、アメリカの保護主義を批判した習近平の言葉が表向きの綺麗事だというのが理解できる話ではないか。中国は民への圧政抑圧の政治を重ねてきたお国柄ゆえ、異質の思考には弾圧という姿勢を打ち出す社会が形成されたままだ。
 驚くのは、他国の一民間企業の意向にまで先鋭的に口を尖らすということである。自国の民主化や人権問題に触れられると内政干渉だと忌み嫌うが、その実、敵視する矛先は国籍官民大小を問わず槍玉に上げ、内政干渉どころか営業妨害までするという理性と信義のない国である。

 これに押され気味なのがいつものように日本で、札幌アジア大会への影響を考慮した北海道知事や組織委員会などは客室から引き上げることを希望しているという。
 実際の戦争は望むべくもないが、真実を追求するという意味での歴史戦においては韓国もしかり、我が国はもっと強い姿勢で対応しなければ相手の術中にはまるばかりである。
 ことに慰安婦問題と南京問題は中韓によるロビー活動が世界に向けて実行されている現状がある。ご承知のように慰安婦は世界各地への像設置、南京は世界歴史遺産登録という強硬姿勢がそれだ。アメリカではようやく慰安婦問題について韓国の主張に対する疑惑が広がりつつあると聞くが、いろいろな意味で自由で開かれた我が日本は、相手の口撃に対して善人ブリを示すのはなんの解決にも寄与しないどころかその道は遠のくばかりである。

 今回の南京問題はユネスコに対し政府も異論を唱えている現状にあり、中国側の主張に一部民間が理解を示すようなことがあっては国家としてのまとまりが無さ過ぎるというものだ。それでなくとも、日本には中韓の味方をするマスコミや政治家があふれている。言論の自由と言論の弾圧はいったいどちらに正義があるのか!
 ここは現状押され気味の歴史戦と情報戦にしっかり取り組んでもらいたいし、一国民としてアパホテル元谷社長の信念を支えたいと思っている。

No.2846 トランプ大統領就任につき

2017.01.20

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 今夜半には南岸低気圧による雪も予想されるよどんだ空。雪は御免こうむる対象でしかないが、子どもたちには雪の世界がとてつもなく新鮮に映るようだ。
 今朝のスクールガード時には、毛糸と革の2重手袋でも指先が痛くなるほどの寒さを感じた。これで風でも吹こうものならと思いながらも子どもたちの元気な姿に接すると寒気が飛ぶのはいつもながら不思議な感覚。ここしばらく通過が遅れ気味だった班が、正規の集合時間を復活させることになったようで、いつになく歩く姿がハツラツとしていた。
 「雪が降るかもしれないぞ」と声かけたら「雪だるま作りたいな」ときた。

 さて、今日は通常国会の招集日。北朝鮮恐怖をそっちのけで対日外交を感情的に悪化させる韓国への対応に政治がどう動くのか。また内政的には黒田経済が停滞傾向にあるアベノミクスの再生向上策はどうなるのか。復興、子育て、農業、教育・・・
 その多くはアメリカの動勢に関わるというのは日本に限らず世界に共通する問題である。つまり、言ってみれば今やトランプが世界の懸案事項と言ってもよいのではないだろうか。

 そのトランプ氏の大統領就任式も今日20日(明日の午前2時)。
 大統領令を複数発布すると言われているが、それにより、およそトランプアメリカの指針が見えてくるものと思われる。今回の場合、それを推測をすること自体が無意味のようにも思えるほどトランプ氏は意外性を秘めている。もちろんそれを称えるわけではけっしてない。
 最近もっとも驚いた彼の発言に、イギリスのEU離脱を賞賛し、他にも同様の国が出ることを期待するというものがある。北大西洋条約機構を時代遅れとし、無意味な存在と化しているといった発言もある。世界のリーダーとは思えない発言だが、彼自身が世界よりアメリカだという思考であるなら各国が今後の対応をあらためて考え直さなくてはならない。

 子どもは元気ハツラツ、ちょっとくらいはヤンチャがいい。
 しかし、アメリカの新大統領にはフレッシュな感覚で世界安定を唱える感性を示してもらいたい。トランプでは無理かな?
 ヤンチャ過ぎてリスキーなイメージを与えそうな人物感しか感じないが、まずは各国首脳の反応第一声と為替相場と株式市場に多くの目が注がれることになるだろう。はたして世界はどう変わっていくのか?
 クラプトンの大ヒット曲に「Change The World」というタイトル曲がある。その歌詞は次のようなもので実際はラブソングだが、部分的に意味深な内容になっている。もっともトランプが薔薇色の希望の光を世界にもたらすことは考えにくいか。

 
 もし、きらめく星に手が届くなら 
 君のために一つ取ってきてあげるよ
 その星で僕の心を照らして欲しい
 真実が君に見えるだろうから
 それは心の中から湧き出ている君への愛さ
 全てが輝いて見えるかのようだ
 でも 僕が見つけたこの愛は夢の中でのことなんだ

 もし世界を変えることが出来るなら
 僕は君の心の太陽になり、君を支えたいんだ
 君はわかってくれるよね、僕の愛の本物さを
 僕は君の世界を変えてみせるよ

 もし僕が国王になれたら それが一日だったとしても
 君を女王として迎えるつもりさ 
 ほかには考えられないよ
 そして僕たちの愛が国をより良くしていくんだ
 その時まで僕は愚かでも構わない 
 その日を待ちわびるだけさ
 君の心に光を注ぐ太陽にだってなれるんだ

 もし変えることができる世界なら
 すべて君色に染まりながら輝きたい
 捧げる愛が薔薇色だとわかってもらえるだろう
 もし世界を変えることが出来るならね

No.2840 中国式内政干渉スタイル

2017.01.11

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 中国の「身勝手」「横暴」度合いが加速してきた。
 43000トン級低能航空母艦「遼寧」を威猛々に東南シナ海を航行させ、途中艦上発着陸訓練をし、その後は対馬海峡を空海双方で威圧進行するという騒々しさ。さらに今話題の台湾海峡を通過するというふてぶてしさも。こうした他国に対するあてつけ的示威活動は中国のお手の物とはいえ、常軌を逸したものである。
 アメリカ軍太平洋艦隊は10万1千トン級の原子力空母カール・ビンソンを送り込む予定としているが、中国の激情が爆発するかどうか、するとしたらどういった爆発かこの先いったいどういった展開が待ち受けているのだろうか。

 トランプ氏の「一つの中国にこだわらない」という発言に異常反応したかと思うと、台湾の蔡総統の中南米訪問外交にあたりアメリカに「会うな、会えば報復措置も辞さない」という指示脅迫的発言まで。これは、蔡英文総統が予定するその後の中南米諸国に対する圧力も兼ねたもので、中国マネーをアテにする国々にはある意味驚異に感じられるものかもしれない。それにしても報復とはどういったものやら、アメリカに対して喧嘩カードを切るとどうなるのか、今の日本に対する韓国と似た状況になりはしないか。アメリカは日本ほどにはお人好しではありませんぞ。

 今更言うのもなんだが中国という国気質は、自国の都合のみを平準の価値基準とし、他者への対応には平然と脅迫、恐喝、開き直り、といったマイナーな激烈姿勢をむき出しにする。これは韓国にも通じるところがあり、国家間合意すら守らない国という、とてもまともに付き合うことが出来ないとの判断も止むを得ない昨今である。

 民主化と人権問題をクリアしようとしない中国は、文革、天安門といった弾圧の歴史をひた隠し、恥じることなく軍事力高揚、ニンジン外交といういずれも中国マネーの力を駆使することによって肩で風切る暴力国家に変貌する日々だ。

 
 自国への評論については内政干渉するなと厚い防波堤で鋭い反応をするが、他国の言動についてはあれこれ異常なまでの反発対抗姿勢を見せる。まさに内政干渉が世界一得意な国である。中国には古来より人の教えを説く名言が数多くあるが、それらは全くと言ってよいほど国の姿となって生かされている感はしない。
 あと1週間ほどで世界のトップがその座に立つ。少ない文字数のトランプツィートから20日以降のトランプカードを予測するマスコミを翻弄するかのようにアメリカファーストをツィートし続けるトランプ。米中冷戦という新たな世界構図が立ち上がるのかどうか、日本にとって外交と安全保障の正念場がきたことは間違いない。
 

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