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No.2974 新冷戦時代の幕開け

2018.03.06

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 ロシアと中国。自由と民主主義を掲げて世界を牽引するアメリカに対抗せんと、この二大覇権国家は相次いで戦備増強の方針を打ち出した。これには、アメリカ・ファーストなどと身勝手な発言をし、自国の損得しか見えない国に成り下がりつつあるトランプアメリカの存在が軽くなっているのも一因にあるだろう。
 ロシアはクリミア併合、シリア・アサド政権支援、北方四島の軍事拠点化など、ユーラシア大陸各地の海洋要衝地の軍事領土化を謀っている。おりしも、近々行われる大統領選挙で国民に人気の高いナワリヌイ氏を犯罪者扱いすることで出馬を妨げるという民主主義の破壊行為を実行している。ソ連崩壊とペレストロイカにより冷戦時代に終止符を打ったかに感じられたものの、今ではバルト三国とウクライナ、ジョージア程度がロシアに抵抗するだけで、多くの旧ソ連に属した国々のみならずポーランドなどもプーチンロシアに膝着き外交をする傾向にあるという。プーチンは、つい先日もアメリカに届く小型ミサイルの開発に成功したと発言しているし、北朝鮮周辺事情でもお得意のどさくさに乗じた領土拡大を意識しているかのようだ。
 中国はと言えば、5日に始まった全人代では憲法改正が確実という。習近平の生涯主席を約束するかのような国家主席の任期廃止がそれである。毛沢東による文化大革命の反省から集団合議体制を憲法に持ち込んだのが1982年。もっとも、これをもたらしたト小平こそが天安門事件の学生大量殺戮を指示した張本人だったというのも皮肉な話である。それにしても、何をもってわずか5年程度で独裁体制を実現するだけの力が働いたのか見当がつかない。習近平という人物はそれほどの器なのだろうか。日本では言論の自由が政権転覆をはかる捏造記事を許したり、それをネタに国家の安全を無視した議論が延々と続く国会となっているが、中国ではもちろん、国家批判は許されず、ネットチェックも厳しいものがある。世界に旅する国民が多いこともあり、北朝鮮ほどではないにしても、国民には政権指導部にとって都合のよいことばかりが伝わる情報システムと言ってよいだろう。
 日本の防衛費は数年減額が続き、ようやく過去最高に並ぶ4兆9千億ほどになりはしたが、中国の軍事費は日本の3.7倍である。すでに海・空に関する戦闘個体数は5年前と比べて3倍から5倍規模と飛躍的に増加しているが、今後、さらに増強する計画である。南沙・西沙は言うに及ばずパキスタンやモルジブ、ジブチなどにも貿易港の名を借りた軍港の配備を実現もしくは画策している。数日前には、尖閣の接続水域侵入に抗議した日本に対して「日本の自衛隊が接続水域に入ったからだ」と強弁している。尖閣は我が領土と主張し続ける意味を小さく考えてはならない。嘘も百回言えば真実になりかねない。
 そもそも、日本には防衛の必要性があっても、中国やソ連に防衛の必要があるのだろうか。いや、あるとは思えない。この軍事費は防御用ではなく限りなく攻撃用としか考えられない。軍備増強にはいろいろな理屈があるが、ロシアにアメリカやNATOが攻撃を仕掛けるわけもなく、中国にも同様のことがいえる。いきつくところ、遠い先にはロシアと中国間の応酬はあるかもしれないが、今はとにかく対米意識で共通している。
 中国が日本に攻め入る可能性は大いにあり得ると考えるべきであろう。日中平和友好40年の今年だが機を見て敏な中国である。ゆえに、野党による意識的な紛糾質疑による中断、速記停止が続く今の国会議論の的外れなのんびり感がどうにもまどろっこしい。
 作り物の話で恐縮だが、英映画ジェームス・ボンド007シリーズで闇の組織スペクターを思い出す。大方のストーリーは、秘密裏に製造したプルトニウムなどから大量破壊兵器を製造し、地球戦争に持ち込み世界を手中に収めようと暗躍するスペクターという位置づけである。それに立ち向かうボンドが、その謀略を阻むという図式がシナリオの主体だったと記憶している。ドクターノオやゴールドフィンガーなどはその都度登場するスペクターの首領であった。このシリーズではスペクターがソ連や中国の共産党国とのつながりを持つ状況が作られる場面も少なくなかったが、私にはスペクターそのものが時折ロシアもしくは中国に思えるのだ。なぜなら、この2国は原子力利用を中心とする軍備増強という面から反原発、代替エネルギーという世界の流れに乗るわけもない。化石燃料で地球を大量に汚染した中国だが、軍事力アップという観点においてこれからは原発大国に向かうのは間違いない。
 そんなわけで、今でも続くシリーズ映画だがルーツは古い。その、ストーリーがなぜか現代に通用しているように感じながら私はこの両国を見つめている。
 今夜、8時からプライムニュースを見て、9時からの1973年「007死ぬのは奴らだ」は録画しておきたいと思う(笑)

No.2965 北方領土の日

2018.02.08

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 昨7日は「北方領土の日」。古く1855年「日魯通好条約」を締結した日にちなんで制定されたという。いまだ帰らぬ故郷への郷愁にかられる人が多くいる現実、そしてそういった方々も高齢化によってロシア領としての土地に踏み入ることが出来てもそこにはイエローフラッグは羽ばたいていることはない。
 そんな日本源地の返還問題が政治交渉の場にある状況(少なくとも日本人の期待感は変わらない)において、昨日、北方領土の日に2,000人規模の軍事演習を実行したロシア。
 安倍総理ははっきりと口にはしないものの、可能性を探りながらおそらくまずは歯舞・色丹の2島返還を目的にプーチンとの会談を繰り返してきたものと思われる。そして他の国後・択捉までもの経済発展に共同作業をする話まで進んでいるのだ。まるで4島をニンジンがごとく目の前にぶら下げて金を拠出させる反面、一方でミサイル配備など軍事拠点化を目論むプーチン。返還の意思などないがごとくにしか理解できない。そもそもロシアの軍事的戦略は過去にはアフガン、さらにはクリミアやシリアでもわかる通り、中国とは異質の軍事拠点獲得戦略である。世界地図上の要衝と考えられる地域に突然のように侵攻し、治めようとの思考が見える。それは、反米、反NATOに染まっているかのようで、まさに冷戦時代の再来を感じさせる。


 考えてみれば、1945年8月の終戦直前にどさくさに紛れてという表現でもいいくらいに突如「日ソ不可侵条約」を破って北方に侵攻した国である。8月15日を過ぎてもソ連の略奪的侵略は続いたのである。そうした国家気質を今でも変わりなく有していることは疑うべくもない。
 今にして思えば、沖縄返還が叶った昭和47年の同時期にソ連にも返還を強く迫る外交がなされたのだろうか。あるいは、ゴルバチョフのペレストロイカ時代により突っ込んだ返還交渉はできなかったのだろうか。今回の軍事演習によって、日本人の期待感はかなり薄らいでいくのではないかと案じる。 中国がなぜ尖閣や沖縄に目を付けるかという論理と同じく、ロシアがなぜこの4島を手放す方向にないかというのは、世界地図を見ていただければ合点がいくはずです。対米戦略における太平洋を西から北から望む位置にあります。シリアもクリミアも同様の地政学上の見地から重要視していることがよくわかります。中国も同様で太平洋に出ていくためには沖縄が壁になっているということです。ロシアも良好な軍事拠点、もっと言えば軍港が新冷戦時代に欠かせないと謀っているのは衆目が一致するところでしょう。

No.2961 経済に変化はあるか?

2018.02.01

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 雨から雪に。大地に潜む体動をキャッチする噴火予知、地震予知と違い、気象予報は適格だ。明日は通勤時間帯まで降り続くということで、見た目には美麗で風情を感じさせる雪だが不慣れな関東人には厄介な相手だ。

 今日、29年度補正予算が可決した。2兆7073億円という額で「人づくり&生産性革命」「働き方改革」「災害復興」などに対応した内容となっている。参議院予算委員会は立民に移籍した蓮舫前民進党代表が質疑に立っていたが、今一つ低調な指摘が多く自らの政治スタイルを変えようという姿勢は見られなかった。それよりも「借金が増える赤字国債の垂れ流しはやめてもらいたい」と総理に攻め入るも、「前政権時代の発行額より少ないということをご確認いただければと思う」といった答弁でまたもやブーメラン現象を受ける始末。野党の茂木大臣の線香問題もジャーナリストからの反政権スキャンダルの提供とおぼしきもので、質疑項目として適切かどうか。一昨日の質疑で「米軍基地を日本の管理権にしてはどうか」という質疑に対して河野大臣が「実現に向けて努力する」と答弁したのが印象深い。提案型の質疑は納得感を増長させる。社交辞令で終わらないようにと心で叫んだ。頼みますよ、河野大臣。

 ところで、製造業の基幹産業である鉄鋼業界が好調な決算状況を相次いで発表し大手三社は新日鉄と住金は1千億円超、昨年不正が発覚した神鋼は450億という黒字幅となった。同業界は中国をのぞき世界的に好況だということだが、中国景気の今後の動向が気になるところ。習近平の元「躍進」を掲げる中国だが、チャイナファーストに対する世界の目はアフリカを除き徐々に厳しさを増しているようにも思える。
 毎年2月は各企業による経営数値が発表されるがどんな内容となるのだろうか。為替変動の影響という本質的な経営と異なる面は別にして、デフレ脱却と賃金上昇、さらには中小企業の安定という政権の経済構想がどれほど実現するかはここにかかっている。好調な経済はトップダウン的流れで大企業から中小企業へと段階的に浸みてくる。逆に不況は中小の倒産を発生させる傾向にある。そういう意味では中小が内部留保をしっかり確保できるくらいの状況になるのが理想であり、今こそその足掛かりへのきっかけと期待する。ただ、大企業の内部留保が高額かつ優先という経済システムはいかんともし難い。
 安倍総理が要求した賃金3%アップに対応しようと名乗りを上げる企業が現状複数あるのは明かるい。これこそ大企業から率先して実現してもらいたいものだ。メディアによる経済アンケートで「景気が良くなった実感がない」と答える人がまだまだ多数派という事実は、ここに起因している。物価が着実に上昇傾向にあるというのを買い物に同行するたびに感じるが、物価上昇が先行し賃金上昇追従型という日本経済の現実は国民の不況感を持続させるマイナス要因でしかない。タンス預金は膨らんでいるというが、先が見通せない超高齢化による人生100年健康寿命社会を見越してのものだとすればそうそう簡単に消費に向けられるとも思えない。GDPや有効求人倍率の上昇は間接的には高齢者に影響があるのだが関心度から言えばけっして高いとは言えない。若者はどうかと言えば車離れ、酒離れで将来に備えて消費を手控え財テクに走る傾向が見える。話題になったコインチェックの実態はインターネット内で動くマネーゲームであって売買行為の対象となる通貨ではない。27歳の若者が巨額を管理する時代を理解するには我々昭和の頭の固い人間には難しい。
 雪で葉物野菜を中心とした相場価格は異常だ。2度目の雪でさらに高くなる可能性もある。前段で示した雪の厄介度は物価という点でも我々を苦しめる。
 国民が受ける景況感と政治動向は密接な関係あることを考えると企業責任もコンプライアンスだけではなく社員一体の家族観を強く示すべきだと思うのだがいかがなものだろうか。
 とりとめのない話で恐縮です。

No.2915 繰り返す挑発狂行

2017.08.29

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 北朝鮮ミサイル北海道上空通過! 横になってのんびりテレビをながめていたところでの、突然の騒々しいニュース速報にタオルケットをかっぱじいた。繰り返し耳にする強い抗議の声明とか圧力強化といった対応に動じることなくくり返すミサイル発射。それに対して発せられるのはこれまた抗議と圧力の上乗せである。
 タイトルの狂行は辞書にはない造語だが、愚行、蛮行、暴挙といった言葉では示しきれない想いからのもの。北海道の複数の自治体ではミサイル通過の緊急放送が流されている。これは正に異常事態そのものだろう。海ではなく陸地に着弾したらどうなるか。海への着弾が操業船や他の運航船に当たったならどうか。こうした場合の想定は果てしなく裾野は広くなる。今年になって知人が釧路に住む娘さん家族と同居するとして住み慣れた地を離れていったが釧路の名を耳にするたび想い出す。今朝の事態にどんな想いでいるだろうか。

 アメリカが日韓との軍事練習を頻繁に行う中、北朝鮮の挑発行為は強気一点張りの度を増している。中国による圧力強化をトランプは求めているが、中国に代わってロシアが北朝鮮に救いの手を差し出している現実はあまり報道されないし、トランプ政権からも語られない。これもおかしい。中国ですら見せかけの圧力から脱皮していない状況にあって、ロシアの行動は許しがたいと言えるもののはずだが・・・。 
 今年の5月のことだったか、北朝鮮との国境近くに戦車などの軍備を配備している事実や万峰号のウラジオスットク寄港を許可したり、ガソリンの供与を倍々増するなど、ロシアが北朝鮮のフィクサー的立場で暗躍していることは間違いのないところである。とくにガソリンに関しては中国に輸出削減を求め続け、ようやく重い腰を上げ始めたところなのにだ。
 ロシアも中国も覇権国家としてアメリカへの対抗心は並々ならぬものがあることから、自らが手を下すことなく北朝鮮が対アメリカへの先頭に立ってくれる現実をほくそ笑む状況にあると考えるのは過ぎたことではない。戦時勃発という観点ではなくアメリカ国内の政治基盤が揺れ動くことは中露にとって望むところと推察する。たまさか金正恩という独裁精神異常者が核という武器を保有しつつ、日韓を越えてアメリカへの対抗心に燃えているのは中露にとって誠に都合が良いということである。これらの国には距離が近いからといって基本的に核の脅威は向けられていない。北朝鮮は米中露のどこに核を向けても国家の破滅につながるのは金正恩といえどもわかっていると思いたい。国境を接していないアメリカが最大の標的にしやすいはずで、その手前の米同盟国である日韓への驚異増加を考慮したミサイル北海道通過と考えるべきだろう。いわゆる軽く見られている日本とは言えないだろうか。
 集団的自衛権では積極的な軍事対応は出来ない日本。今、行われている菅官房長官の記者会見でも「手を出すことがあってはならない日本」であるのが前提であるにもかかわらず政府はどんな対策を講じているのかといった質問が歯がゆい。抗議、圧力・・・これ以外に考えられる日本の出来ることがあるのだろうか。
 対話・・・通じると思うことがナンセンスだと考えるが。
 防衛費増強・・・また安倍倒閣の材料にして大騒ぎになるだろう。
 ただし、ネットで行われている各種アンケートで、防衛費を増加するべきであるという声は他のどの回答よりも多い。専守防衛の域を超えない範囲でそれを増強するための防衛費が500億円台で妥当かどうかの判断は難しいところだが、足りているということでないことは確かだろうと感じる。

No.2911 空虚な日韓合意

2017.08.18

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 韓国が迷える子羊と化している。これだと可愛い表現に聞こえるが、大人の分別もない狂った子羊状態といったところか。前大統領が罷免された直後の大統領選の結果から多少は予想していたが、それにしても現状の韓国は国家のていをなしていない。それは勿論、一昨年12月に交わした従軍慰安婦日韓合意に添って両国の良好な関係を再構築しようとした矢先にウィーン条約が唱える国際ルールを無視する行為を次から次へと繰り出すことに起因する。
 慰安婦像を世界中に設置せんとする感情的野望とは別に、韓国内ではソウルの日本大使館前、釜山の日本総領事館前、そして最近ではソウルの定期バスの車内の入口近くに慰安婦像を座らせる異常な事態を実行している。
 

 我田引水、身勝手な思考を前提にした感情の起伏の激しさでは中国とともに世界でも抜きん出た高慢気質を発揮する民族と理解はしているが、それにしても国が自治体や民衆による国際的非礼をやめさせることが出来ない状況も特異といえば特異。もっとも国家の質自体が文大統領に代わってかなり低下しているようで、政治はもとより経済、教育、労働といった面でも凋落傾向は否めず、その反動が日本叩きとなって示されるのかもしれない。この繰り返しである。
 さらに今度は、日本各地で駆り出された朝鮮人労働者が過酷な労働環境の中で働かされて暴動にまで発展したという軍艦島鉱山徴用工をモデルにしたシナリオの映画が若い監督によって制作され話題を呼んでいる。一部を見る限り大活劇スペクタクル映画といった内容でとても史実に基づいたものとは思えない。ところが、大統領は徴用工個人の請求権は有効と言い出す始末で新たな国家間問題に発展させようとする意図が見られる。国民感情に逆らえない韓国政治というのはパククネ時代同様だが、今の大統領は自身が反日思想に浸かった政治家であるから始末が悪い。

 将来の両国関係に影を投げているのは、釜山で慰安婦像が取り壊されないように見張り役をかって出たり、徴用工映画を支持する人々に若者が多いということである。安倍総理は日韓合意を元には戻さないという至極当然の発言をして日本のアイデンティティーを堅固に守っている国益一途の宰相だが、私はこの合意に付け足すべきことがあると思っている。それは、反日感情を持たせることが目的のような教育内容を撤廃させるということである。これがないと真の合意など永遠に有り得ないと思うのである。
 

No.2903 中国は世界一危険な国

2017.07.17

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 中国という国は改めて言うのもなんだがよくよく問題を内外に起こす国である。ここにきて中国に関するニュースを拾い読みしてみると、中国が世界を蹂躙せんとする世界征服の野望を持った国だと思わずにはいられない。そのためには自国のフリーな言論を統制し、共産思想に基づく国策に逆らう者は、それが個人であれ、国であれその権利を封じ込め、必要とあらば命をも奪う。これほどの人権無視、非民主主義国があるだろうか。人のあり方を説いた孔子も論語も祖国ではまったく無視されている状態である。しかし、世界には目の前に積まれた金に目が眩む国があるというのも現実である。

◇アフリカのジブチに中国の戦艦が寄港可能な軍港が完成した。ジブチとはアデン湾から紅海に入る際にわずか30キロ程度しかないアジアとアフリカの最接部にある国で、紅海の北端は言わずと知れた地中海に抜けるスエズ運河が位置する航海上の要衝である。
 また別の話では中国は約10年前からパナマ運河に敵対する形でニカラグア運河を計画している。ニカラグアはコスタリカを挟んでパナマより北に位置する国で、カリブ海上ではよりアメリカに近い位置関係にある。現在6兆円という巨額な資金問題で頓挫しているという話もあるが、2014年12月に着工式が行われていることから野望は着々と進んでいると思われる。
 九段線によって南シナ海を自国領海と主張するのも狂喜としか言いようがないが、セブンシーズの要衝に巨大権益と軍備を整えんと覇権国家の野心を剥き出しにしている国、それが中国なのだ。

◇尖閣周辺に連日海警局の公船が侵入、一昨日は対馬と沖ノ島沖領海への侵入、昨日は青森県竜飛岬周辺に数時間も領海侵入。いったいどんな目的でこうした違法行為を繰り返しているのか。例によって音沙汰なしだがこれに対する日本の対応は良くも悪くも紳士的である。

◇劉暁波氏の死に関する隠蔽工作は劉氏の妻や兄まで対象とし、厳しい報道統制を敷いている。劉氏の獄中記などの遺品を渡すことを拒み、劉氏の思想精神の拡散を防ぐことに躍起となっている。天安門事件のヒーローであり、ノーベル賞受賞者の劉氏は天安門事件と共に永久に蓋を閉じたい負の歴史ということなのだろう。だいたいノーベル賞受賞に不信感を持ち、本人を出国させない国が他にあるだろうか。
 私は今回の劉氏の死因自体に不信感を抱いている。獄中の食事にヒ素を入れ込むことなどこの国ならやりかねないと。ロシアでも体制批判ジャーナリストに対して同様のことがあったが、思想信仰の自由や体制批判を許さない非民主主義国家ではこうしたことはお手の物だろう。それに比べると日本のマスコミはどうだろう。
 世界からの正義正論のコメントに対し内政干渉だと開き直りの姿勢を示すのもいかにも中国らしいし、いつものことである。他国に対しては意図有りの内政干渉を平気でする国なのに。

◇「中国は一つ思想」は台湾を認めず、認める国には外交・経済上の嫌がらせを徹底し、その割に北朝鮮には甘いのも中国的だ。米韓同盟におけるTHAAD配備に関して韓国に対する観光面での経済的締めつけはかなりのものがある。そもそも香港でも中国共産党政治に対する学生を中心とする民主化運動に香港公安を使って武力を行使する始末なのだ。

 まだまだ中国の覇権主義は枚挙に暇がない。アメリカに世界のリーダーたる精神も迫力も希薄になりつつある今、米中露のせめぎ合いが地球の未来にどういった影響を与えるのだろうか。けっして大げさな話ではないはずだ。

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