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No.3657 スマホは狂気を生む

2023.01.20

 いきなりですが、暗い世相から抜け出す道はないのだろうかと思う。具体的には、人を刃物で傷つけ、果ては殺してしまう事件がなんと多いことか。
 一人暮らしの高齢者を対象とした強盗目的が殺人という凶行にまで及んでしまう事件が各地で起きている。また、付き合っている相手女性を刺し殺す事件も相次いでいる。
 人をあやめる行為は、だいたい異性関係と金のもつれが相場となっているが、つい先日、心の痛む事件が発生した。静岡県で起きた13歳の女子中学生による母親殺しには驚愕させられた。スマホが世に出回ってからまもなく、子どものスマホ依存症ということが話題となり、新語にもなった。私も議会では、起床前からスマホに夢中で、結局学校を休む事例があるといったこと等に関連して議会発言をしている。教育委員会答弁では中学3年になるとほとんどがスマホを所有している。記憶しているところでは、これが社会問題化して20年近く経っている。

 静岡の例は、スマホを注意され続けた結果、かの中学生が選択したのが注意する当事者の母親を殺すことだった。今月16日未明、つまり深夜12時過ぎに就寝中の母親の首を複数回刺して命を奪った。まさに修羅場だったことだろう。
 自分で買うことは出来ないスマホだったはずだが、親への感謝どころの話ではない。スマホ注意にうるさい親を狙って周到に行動したことがうかがえる。注意される自分をかえりみることなく、手にしたのは刃物だった。
 14歳が事件を起こすと、捜査ではなく触法調査が警察によって行われ、犯罪ではないという判断から逮捕されることは無い。警察の職制としては児童相談所に通告することが定められていて、児童相談所は職権を発動することになる。この場合、重大事件と判断されれば、通告だけでなく送致という発令をし、正式に児童相談所が取り扱う事件とされる。
 この場合、家庭裁判所の審判を受けることが妥当としても、いったんは児童相談所に送致して、保護と育成の観点から調査をすることになる。
 はたして、児童虐待問題でも対応の遅れが取りざたされる昨今の児童相談所に、かかる静岡の事件をどこまで調査することができるだろうか。たとえ13歳であるにせよ、母親殺人という大罪を犯したことへの対応は生易しいものではないはずだ。保護観察、健全な育成、という段階から更生という流れになるものと推測するが、想像を絶する心の葛藤が当事者の人生を覆うことになるのではないだろうか。

 異次元の少子化対策という言葉が躍っているが、コロナは言うに及ばずスマホが理由の実親殺しとは・・・これ自体が異次元の社会変化とは言えないだろうか。今や良くも悪くも異次元だらけの社会となり、昭和は遠くなりにけりどころか、もはや昭和は昔と化している。コミュニケーションツールとして画期的に社会を変えたスマホだが、それにより人の狂気を生み、凶器に繋がる現実がおぞましい。
 一人よがりかつ引きこもり感覚に近い状況を子ども心に発生させかなねいことを憂い、そこから派生する見ず知らずの人との急接近など、危険が渦巻くスマホ社会に警鐘は鳴らせることが出来ても、解決策が見いだせないことにいらただしさを覚える今日この頃だ。