先週の5日、6日の両日で新潟県三条市と見附市の行政視察に伺いました。
三条市では統廃合で廃校になった小学校校舎の賃貸し及び時間貸しによる有効利用の実態。見附市では新築されたゴミ焼却清掃センター、そして内水氾濫防止対策としての田んぼダムを。
行政視察の結果、その内容が自らの自治体で活用されることがなかなか無い実情において、今回は、とくに田んぼダムについて、コストが安価ということに魅力もあって、改めて職員を派遣することもあってしかるべきと思うに至りました。というのは、田んぼダムについて調査研究を深めたところ、いくつかの研究成果が論文にまとめられており、いずれも有効性を認めています。
たとえば・・・
❶新潟大学と見附市の合同による
「田んぼダム普及実証流出調査解析業務報告書」
❷農業農村工学会論文集
「田んぼダムによる内水氾濫被害軽減効果の評価モデルの開発と適用」
といったものです。
ここでは、学術論文のような小難しいものは除いて、簡単にご紹介したいと思います。
田んぼダムは、実はそれほど最新の手法ではなく、新潟県村上市で平成14年に手掛けられた手法です。その後新潟県内各地で取り組みが始まり、開発の成果が進んでいる状況です。視察においても見附市の職員さんは「実施の効果は感じるのでとても良かった」という感想を語られていました。
当初は、田んぼに水量調整板を設置する方法から始まったそうですが、その後フリードレーンというプラ成型された直径200㍉ほどのパイプ状のものを設置することになりましたが、その後フリードレーンも研究を重ね、今はフリードレーン150A型という新型が開発されており、見附市ではその新型に変更しています。積極性を感じた次第です。
以降は添付の資料をご覧いただければと思います。
そして、論文では普及事業化に向けた提言がいくつか。これは見附市の職員さんからもお聞きした内容でもありました。
1.自治体と農家をつなぐ組織の活用・・・土地改良区の参画も
2.持続的な実施の推進・・・運用及び維持管理システムと効果の見える化
3.取り組みに対する農家の協力体制(意識向上)の構築
4.行政間の垣根を越えた連携・・・流域が広い方が効果大
などがあげられています。
稲の育成途中で「中干し」という時期があります。晩夏時期の台風で稲が倒れないために根張りを強くするために水を敬遠することですが、この時期に大雨が降ると、田んぼの調整放流は農家さんにとっていいことではないので、そのあたりも含めた農家さんの理解がポイントの一つだそうです。
市街地内水氾濫に悩まされる幸手市において、この田んぼダムの有効性が図られるかどうか。今後の動向に注目といったところです。