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No.3566 議員の性善説

2022.05.21

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 前号に関して、いくつかご意見をいただきました。ありがとうございました。
「選挙は民主主義の根幹であり、それは選挙の無い中国や北朝鮮との比較で考えても明らかだ。ただし、その選挙制度が、強権独裁全体主義政権を形成する結果をもたらすのは昨今の世界情勢によく見られるが、それも民主主義の根幹である選挙制度によるものだとすれば受け入れざるを得ないという見方も出来る」
 といったまとめになるようです。
 しかし、ミャンマーのように国政の選挙結果に不正があったとして、アウンサンスーチー女史逮捕から軍事クーデターに結び付け、強権軍事政権を樹立した上、民主的に抵抗する市民の大量殺戮まで行った例もあります。選挙が非民主主義的に行われたとの非民主主義的主張がまかり通ってしまったのです。
 政治家の主張など身勝手なものだというのは歴史上の独裁者を上げればキリがないほどで、性善説など通用しないようです。

 この性善説について「性善説のもろさ露呈」という表現を用い、政治報道面で大きく取り上げたメディアがあります。立憲民主党の元参議院議員による「JR無料パス」の悪用事件です。
 2010年の落選後10年以上にわたり国会議員特権を不正に利用していたモラルハザードに関わる低次元な犯罪ですが、そもそも、議員という立場が世間の見本になるという思考は成り立たないことははっきりしていると思います。全政治家がそうだというわけではないのですが、議員による利権や既得権益や立場の利用を駆使した犯罪行為は歴史的にも繰り返されてきた事実があります。
 政治家を先生と崇める有権者の思考対応にも問題はあるのでしょうが、今回の不正事件はまったく個人的なモラル志向の欠如がもたらしたものです。ひょっとすると、他にも同様の元政治家が横行している氷山の一角かもしれないのです。それらは今回の事件発覚で静かに無料パスを返却することになるかもしれませんが、国会事務局はそれを表面化することは避けるはずです。なぜなら、返却もしくは回収という手づるをおろそかにしていた当事者だからです。返還数や返還率すら把握していない事務局を問題視する識者もいます。
 議員を引退もしくは落選した場合、特権に関わるものは返すルールになっているのに、歳費法に規定がないから返却をお願いするしかないという実態と、その見解には驚きます。ならばお願いしても返さない元議員がいるということでしょうか。
 そう考えてふと思うのは、この元議員はパスを利用する際、議員バッジも付けていたのではないかということです。JRの職員はバッジを確認出来たらパスを詳細に確認しにくいし、しないのではないかと。バッジの不正利用があったとすれば制度不備を補う必要はありますね。
 モラル度の高い議員には迷惑な話ですが、議員の性善説など持つべきではないと感じる事件でした。