ぐずつく天候が続くが、国内全域を見れば半年分の雨量だとか、128年ぶりの冷え込みという地区があり、関東平野は比較的穏便な状況と言える。
そんな状況で、全国高等学校野球選手権が行われているが、すでに3日も中止となっている。また、宮崎商が1回戦を前に、1回戦を勝利した東北学院が2回戦に進むことなく、選手に陽性者が出て出場を辞退した。そういう事前ルールがあったというが、選手たちとしては悔やんでも悔やみきれない結末となった。
今日の第一試合の8回表終了時点で、狐に包まれたかのようなゲームセットに東海大菅生が泣いた。開始早々から雨に見舞われ、3回を過ぎる頃にはグランド一面が水で覆われる最悪のグランドコンディションとなり、とてもまともな野球が出来る状況にはなかった。雨中の決戦という言葉が蘇るが、今日の場合は水上の戦いだった。それでも選手たちは懸命に雨まみれのボールを追い、東海大が7回表に1点差までにせまった。
私は同点になったら審判が中止宣言をすべきだし、そうしてあげて欲しいと思っていたが、続くチャンスで東海大は後続が続かなかった。ますますひどくなる状況で、その裏桐蔭は2点を上げ再び3点に差が広がった。いや、何が辛いかといって土砂降りの中で投げる投手ほど大変なことは無い。滑る指をコントロールするには、腕の振りが遅くなり、指使いの極端な大きな変化球などを投げるのは困難だからだ。
どうしても試合を続けたいかのように8回表に入ったが、東海大は1死2・3塁と相手投手を攻めた。と、ここで中断。
30分後にコールド宣言。主審が両キャプテンを呼びなにやら説明していたが、主審の顔にはなぜか笑みが感じられた。選手を納得させるための笑みだったと思うが、どうあっても納得できるものではなかったはずだ。
シビアさが増すスケジュールを考えると強行したいのはわかるが、結果論として純粋に戦う主人公たちに対して不誠実な最後通告となった。
この結末であるなら、7回表に1点差まで詰めた時点で中止再試合を宣言してもよかったと思う。その時は、同点、同点と思いながら見ていたが、お互いに本来の実力を出すことが不可能な事態になって、負けているチームが残すところ2イニングの攻撃を残しているところで1点差なら、互いに納得のいく中止にすることが出来たのではないだろうか。ところが、試合は続行され、差が3点に広がってしまった。皮肉なものである。
コロナ辞退も、変則コールド試合も、当事者である選手にとって、心の傷にならないものかと危惧するが、野球人生をこれで最後と考えていた選手にとっては尚更のことだろう。学問とスポーツ・・・教育の一貫として尊ばれるスポーツも自然とウィルスを相手にしては敗者とならざるを得ないのかと、悔やまれてならない。