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No.3344 一律5万円の選挙公約

2020.11.13

 先月行われた愛知県岡崎市の市長選挙のその後が揺れている。
 元立憲民主党衆議院議員の中根康浩氏が下馬評を打ち破って新市長に当選した岡崎市では、公約を実行出来ない市長に怒りの声が渦巻いているという。それもそのはず、コロナ対策に対する市独自の支援策として一人一律5万円の現金給付を選挙戦で訴えて逆転当選したにもかかわらず議会承認を得ることが叶わぬ事態になったので上程すらしないようなのだ。
 理由は、原資不足が露呈し、代わりに学校改修費等を回すなど、全体の予算組みに狂いが生じ、最大会派である自民系議員の賛成を得ることが難しくなったことにあるようで、当の本人は議会の責任に言及しているという。
 この問題、どこかおかしい!
 なぜなら、選挙戦で現金を配るなどしたら買収選挙もいいところで、公選法違反で即刻逮捕となるのは明白である。ところが、当選後に税金を使って市民に現金を配ることを公約にしてもいいらしい。公約と言うのは実現に向けて頑張るいわば目標と言うべきものであるべきだし、そうあって欲しいが諸々の事情で実現できない場合もあるのはやむを得ない。いや、その方が多いと言ってもいいくらいだが、当初から選挙のためのニンジン作戦としては何ともお粗末な公約というしかない。もはや選挙違反に近い公約であり、有権者を騙したに等しい。実現できないとなると、現金給付が戦前か戦後かの違いだけで前述の通り、選挙違反も同然。したがって、コロナ対策であれなんであれ、現金給付は公約にあらずというように公選法を改正すべきだと思っている。
 裏切りだとの声もあるようで、これをあてにして投票した市民の怒りは半端ではないと伝えられている。家族5人いれば25万円になるのだから期待感から投票した市民が下馬評を打ち負かしたことになる。もっとも、金に惹かれてという有権者心理がはびこるようでは地方自治体の政治はますます低迷することになるだろう。責任の一端は市民にもあるとは言えないだろうか。