安倍総理が武漢ウィルス対応について記者会見を開いた。長い説明の間、資料は前に置いてはいるものの、ほとんどノー原稿での話ぶりだった。内容もわかりやすいと感じつつも、これでも嫌味な質問が出るんだろうなーと思っていたら案の定だった。
「北海道知事は独自の対策に頑張っているが、政府の対応は遅れているという印象が強い。総理の見解は?」
「国民が最も知りたがっているのは、この状況はいつ終息するのかということで、その点について総理の見解は?」
終息の予測を問える状況ではないし、答えられるわけがない。なんのための質問か!その腹の内を疑われても仕方がない記者だ。社名はあえて示すことはしないが記者の質が問われる。
振り返れば、年明けに始まった通常国会は、野党による桜満開の追求倒閣戦略で幕を開け、武漢ウィルス発覚後も相も変わらず、ようやく2月の中旬になって予算委員会でこの問題が議論される状況になった。それでも維新の会を除く野党が審議に応じないまま空転が続く小委員会が今でも多いと維新の会の足立議員が語っている。森法相の発言では、全委員会の出席に応じなかったという。
言葉狩り、揚げ足取りといった稚拙な与党攻めで、国会を空回りさせる政党や議員の存在はやはり異常と言うしかない。たしかに、桜問題に関わり公文書問題が発覚したり、IRに関わり贈賄逮捕議員が出るなど自民党に驕りや疑惑の見える事態もあった。しかし、これらは国民の命に関わる問題とは思えない。
昨日の報道では、憲法論議がしぼんでいる状況だとか。ウィルス問題でそれどころではない与党首脳陣だが、国会議論も国会議員のすべても、ウィルス対応だけに追われるはずもなく、中国がこの時点でも尖閣周辺に公船を派遣している状況への対応などほとんど議論されずにいる。
12日、憲法審査会開催について与野党協議があったが、要するに野党はウィルス対応優先だと主張して応じないのだ。自民党新藤義孝議員が「憲法審は憲法審としての役割を果たすべきで、ウィル対策とは切り離すよう」と呼びかけたものの、立憲民主党山花郁夫議員は「政治的エネルギーをウィルス対策に注いでおり、憲法審には違和感がある」と断ったそうである。
政治的エネルギーをウィルス対策に注いでいるとはよく言えたものだ。
しかも、このエネルギーも結局は政府批判のための政争の具とする姿勢がすでに見える。これを党エネルギーというのでは、国民の共感を得ることは難しい。
事あるごとに想うのだが、立憲民主党という政党には理性も知性も感じられない。特措法採決で造反した議員などは、それが信念かパフォーマンスか不明だが、同党の中には目立ちたいだけの人なんだろうと冷ややかに語るベテラン議員もいるのが実態だ。普通であれば、最低でも厳重注意といった処分の対象だと思うのだが、この点は自民党もそうだが、身内には甘いのが数の論理が優先する政党体質の裏事情なのだろう。
武漢ウィルス対策はもはや国家事業だ。総理は非常事態宣言を出すまでには至らないと語っている。そうならないように、この問題を巡って野党がイクサを仕掛けている場合ではない。