東名あおり運転への判決がかなりスピーディーな経緯で出されました。求刑23年に対して横浜地裁が出した内容は18年の実刑。大方の国民は弁護士側による危険運転致死傷罪は車が停止している時には適用しないという主張に強い違和感を持っていたのではないでしょうか。見た目での判断は裁判では禁物ですが、普通の人間感情としては、被疑者の悪びれない姿から同情の余地はないし、これが罪に問われないとなると同種の狂走車が後を絶たないと考えていた人がほとんどではなかったかと。それが証拠に、裁判長は被疑者に反省の色が薄いことを論述していた。尋問に対する陳述にも嘘が露見していたというし、拘留中のマスコミからの接見依頼に30万円要求した事実も彼の人間性がわかる話で、決定的に社会モラルが欠如し、自らの立場自体を理解できない人物のようです。
今日もまたあおり運転をしていた医師が逮捕されましたが、この危険運転は実際に至る道路で見られます。大型トラックなどにピタリと後ろにつかれると得も言われぬ恐怖感に襲われます。
話は反れますが、スピルバーグ初期の作品に「激突」という映画がありました。超大型トレーラーを追い抜いただけの乗用車をそのトレーラーがしつこくしつこく、これでもかとばかりに追跡する単純ストーリー。ところが、セリフもほとんどなく、運転手の顔もわからない追跡劇にもかかわらず見る側の恐怖感は右肩上がりに増幅していくサスペンス映画でした。つい最近のことですが、車間距離をとらない軽自動車が後ろにいたので、車線をずらして前に追いやりましたが、運転していたのは若い女性でした。男女にかかわらず自己中心的な運転手は「そこ退けそこ退けるおいらが通る」の精神で車を操作していると思われますがいかがでしょうか。
この裁判は裁判官3人と裁判員6名によって判決を導く裁判員裁判でした。私も過去に裁判員の指名を受けたことがあります。その時、事件の経緯を確認し、量刑について協議をするわけですが、裁判官が過去の似た事件などを丁寧に説明してくれ、裁判員は独自の思考に基づき議論することになります。何回目かの集まりで量刑について個々の考えを示し、再度議論することになります。最終的に協議の末にまとまった量刑は求刑20年に対し15年と言う結果でした。翌日の新聞報道を見て複雑な思いがしばらくぬけませんでしたが、最終的に上告はなくそのまま結審しました。
その経験からか、今回求刑を聞いて18年を予想していたのですが、その通りになりました。判決の瞬間、首を傾げたという被告の年齢26歳・・・出所年齢44歳。はたして改心の度合いはどうか?
幼い子どもから両親の命を奪った罪にしては軽すぎるという街の声が多いように感じますが、殺人罪には問えない法の限界は、人の感情を抑制させる意味を示しているのだろうと思わざるを得ません。これが、いわゆる日本的裁判なんだろうというのが私の感想です。