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No.3059 どっちもどっちの国会審議

2018.11.27

 国会が入管法をめぐって荒れている。荒れる原因は、来年の統一地方選挙をにらんでの政権のイメージダウンをあぶり出そうとする野党の目論見があるとみられる。また、更なる根源として改憲論議に入らせたくないこともあるだろう。それが証拠に憲法調査会の招集がなかなか実現せずにいる。連立を担う公明党代表の一昨日の発言では、来年中の発議もままならないとのことであるから、この点では野党に強気かつ安心感を与えているものと思う。
 ともかく、メディアは入管法の審議時間が20時間足らずという点に疑問を投げかけ、野党同様に強行採決だとして国会運営のまずさを指摘する。例によって、国政国益論からはずれたテレビ局では、国会運営の在り方がすべて自民党安倍政権の問題であるかのような報道に撤している。26日の予算委員会での立民の山尾志桜里議員の質疑姿に疑問を発する局は皆無である。上から目線で自分は総理としか質疑応答しないといった姿勢で、法務大臣の答弁を拒み、かといって総理が発言するともういいですよと失礼極まる態度。野田委員長の発言にも応じず甲高い声で質問席からやじり、しまいには総理に対して「器が小さい」と言い放つ。こうした発言はもはや罰則対象にもなり得る発言だと思うのだが、強気な国会運営はこれまたマスコミの材料になるので、好き勝手の言いたい放題状態である。これでは本質の審議が足りなくなるのもやむを得ない。
 法務委員会での審議の実態が不明だが、本来は、外国人労働者を安上がり人材の道具的論理でしか対応しない悪質企業に対する罰則問題だとか、人材不足で倒産が相次いでいる建設業界の実態などを深堀りする質疑が無ければならない。米中貿易摩擦の影響で経済に翳りが見える状況でもあるから尚更ではないか。
 埼玉県庁前に本社のあった建設会社が東日本に広く応札をし、高額な建設契約を請け負ったものの、結局はそれらの工事を投げ出す形で倒産したのはつい最近のことである。それにより、宮城県の復興事業、東京のオリンピック関連事業、埼玉県内の学校改築事業などのゆくえが暗礁に乗り上げ、学校は予定の4月完成が不可能となり7月にずれこむことから大きな問題となっている。
 産業界からの要望が大きい法案とはいえ、それに応じる思考が優先してはならないが、現実をもっと把握した建設的議論がなされるべきなのに、野党はとにかく大臣たちの言質をとり、有権者の目が野党に向くことに躍起となっているように感じる。支持率が下がり続ける現状打破に対する国会戦略ともとれるが、敵失で支持率を上げるよりは真っ向から議論をぶつける方が国民の理解は得られるはずである。そういう点では山尾議員の以前と変わらぬエキセントリック一本やりの質疑には首を傾げざるを得ない。それが手柄としての評価につながるかどうかは有権者の判断に拘わることでもあるが、国会関連のニュースを見ていると、立民が野党第一党のせいもあるが、辻元清美や山尾志桜里といった議員が野党の顔として毎日画面いっぱいに出番があることに、一時代前の国政がなつかしく思えてならない。それは野党に大物感を漂わせる議員が少なくなったことが原因なのかもしれない。
 審議が参議院にうつると、今度は立民幹事長の福山哲郎議員が審議をストップさせる質疑手法を執拗にぶつけてくるのは間違いなく、政治を目指す人達にとって毒にはなっても薬にはならない国会運営が続く。