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No.2925 由伸采配に狂い

2017.09.30

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 シーズンも押し迫ってDNAと巨人のクライマックス進出争いに注目が集まる。そういう点では優勝決定後の消化試合にはないエネルギーがほとばしるのは選手にもファンにも良いことだと思う。
 たった今、巨人が負けた。残す3戦負けられない戦いが続くという言葉が虚しくなるような試合展開だった。今年の巨人について時折書いたが、やはり外国人と若手重視路線によってこれまでの実績から戦力と期待されたベテラン陣が満足に働く場面が少なかったように思う。投手陣ではFAで獲った山口は言うに及ばず、森福しかり、大竹、内海、山口、ケガで離脱の杉内、沢村と名前だけでも響きを持つ投手が今一つだった。打撃陣は村田を筆頭に多くのベテランを隅に追いやり、未来志向の若手起用が前半の負け試合を増やし、結局はペナント中盤にして優勝争いから遠のく結果をもたらした。
 
 
今年の巨人、負ける試合はすべてといった感じだが、チャンスをモノに出来ないことにつきる。そうこうしてるうちに投手陣が打たれるありきたりのパターンだ。今日の試合の1回裏、陽、マギーと連続ヒット、ここからが監督采配の真骨頂なのだが不調続きの坂本にキャプテンゆえかバントのサインは出さず内野ゴロで一三塁。4番阿部のセカンドゴロでゲッツーと阪神にしてみれば絵に書いたような展開。「無策」この一言だ。不調の坂本はおそらくバッターボックスに入るたびに悩み続けている日々。キャプテンとしての責任感も災いすることだろう。その責任感を楽にしてあげるのが監督の仕事と考えたら、バントをさせて成功すればベンチが拍手で湧き、坂本の胸のうちも軽くなるどころかかなり晴れるであろう。こういうサドンデスにも近い試合では打順に関係なく送るべきは送るのが積極的な采配だと私は思う。二三塁でゲッツーも無くなるバント成功の後、阿部も気楽に外野フライを狙えるのだ。いわゆるピッチャーインザホールを監督が作るのだ。一回表に1点取られた直後だったからまずは振り出しに戻しておくべきだったろう。何を考えて坂本に強行させたのだろうか。確率は通算で3割を切り、9月だけでは2割にも満たない状態の坂本にだ。
 次は4回裏。四球、三振、ヒット、三振、四球でツーアウト満塁。ここでバッターは小林。自分が社長だったら・・・とか、総理だったらとかといろいろトップになったつもりで思い膨らますことが誰でもあろうかと思うが、監督だったらというのは野球に限らず最もよくある代理思考だろう。さて、私なら迷わず代打、しかも足が速く投手の嫌がるしつこいバッターの脇谷を指名する。投手は左の岩貞だが脇谷は苦にしない。小林はどうだったか・・・2球目のストレートど真ん中をいとも簡単に見逃し、その球より外角低めに来た球に手を出しファウル。最後はまたまた真ん中の範囲に投げ込まれて見逃し三振。予測通りの見事な三振だった。捕手が他にいないわけではない。失点を防ぐための早めのマシソン登板も代わりばなに被弾。頭に血が上ったマシソンは敗戦を意識させる乱れよう。投手起用の難しさは理解しているが、問題は2度の攻撃に見た由伸采配になにがなんでものサドンデス意識が感じられなかったことだ。4連勝していることも影響したのかもしれない。
 それにしてもペナント終盤に来ての村田の活躍は監督になにやらメッセージを届けているようだ。いや訴えているようにも感じる。村田のひと振りによる1点だけだったのがなんとも印象的な今日の試合だった。