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No.2896 これが選挙の怖さ

2017.07.02

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 東京都議選の結果は予想以上の小池会派圧勝となりそうだ。逆に自民党にとっては歴史的大敗といった獲得議席数になる。民進党にとっても厳しい選挙に終わったことで、都議選の行方が今後国の政局にどういう影響をもたらすのかという点では間違いなく不確定要素が増したと言えよう。
 そもそも国政では自公政権が長く続いているわけだが、都政は自民が野党となり、小池党と公明党の連立都政になるだろうとの予測はしていた。しかし、小池都民ファーストだけで過半数を獲得しそうな勢いは都政にも微妙な空気が流れることになるだろう。小池チュルドレンと言われる若い新人議員たちの政治活動への研鑽を高めることと同時に奢りが生まれないよう指導を徹底することが求められる。

 それにしても、最終日の秋葉原では安倍総理の演説中に「アベやめろ」とか「アベ帰れ!」の野次があったという。もちろん、自民党支持者たちが短絡的に踵を返したわけでないことはあきらかだ。沖縄基地反対運動のプロ活動家やあの籠池夫婦までアジテートしていたようで、一部の反自民、反安倍の有権者たちが待ち構えていたように選挙の風を意識してのシュプレヒコールだというのは容易に理解できる。その野次があまりに執拗なことから総理はその集団に対して「憎悪や誹謗中傷からは何も生まれない。この人たちに負けるわけにはいかない」と国守・憲法改正への信念に基づく言葉を他の演説に聞き入る聴衆に向かって発したようだ。
 ところが、これを報じる朝日系スポーツ紙のタイトルは、
キレた首相「こんな人たちに負けない」国民に応酬
どうでしょう。国民という幅広い意味合いの言葉が大文字になっている。サヨク系のやじ集団が国民に替わっている。印刷物だけに刷り替わっている?洒落てる場合ではないか。これを見てまともに受けたら「なに!国民に応酬だと」と怒りの感情を持つ人もいるかもしれない。そこが狙いなのだろう。
 これほどまでに無秩序な政権批判マスコミによる報道操作によって有権者は時に風に乗った投票をさせられていることもあるはずである。
 言いたいことは、こういうことがマスコミの印象操作という類のものであって、こうした文字表現やキャスター・評論家の言い回しは特定マスコミに日常的にあふれているということである。この例はまだ醜悪性の観点ではましな方だとは思うが、この記事の最後には
「首相としては異例の行動で、自分への批判を許さないという空気も感じられ、大丈夫かと思った」との声も聞かれた、で締められている。
 誰が、何びとがこうした発言をしたかは不明だ。人の発言だとして実際にあったかどうかわからない逆批判文章が巧妙に記事の最後でデフォルメされている。自分への批判を許さないという表現を、安倍総理の演説から発想するだろうか。間違いなく独裁自己中という人間性を感じさせようとする記事の書き方である。となると記者単独の思いを載せ替えたのやもしれぬ。
 いずれにしても、自民党は今回の選挙結果を生むことになった複数の要因を猛省し、謙虚に襟を正すべきだ。自民党を蹴落としたいマスコミは間違いなく存在するのだから不祥事や失言などは、それが持つ意味合い以上に国民の怒りを呼ぶように報道操作される。そうされないためには人としての原点に戻り正義と規律を貫く政治を実行して行くしかない。