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No.2887 現職をなにがなんでも引きずり下ろす

2017.06.03

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 今日、不定期でおこなわれている政治集会があり、そこである政治家が近く行われる近隣首長選挙で新人候補をサポートすることになったとの報告があった。所属政党からすれば至極妥当な話なのだが、その当事者が挨拶で冒頭の言葉を発した。しかも、その言葉は前日にその街のある会合で発したそうで、同席していた発せられた現職側の関係者から「ダブルスコアで負かしてやる」と言われたそうだ。
 その反応に感じたのが「(こう言い返されたから)この選挙はたいへん厳しい選挙戦です」ということらしい。ゆえに、これが冒頭の言葉にリンクすることになるようだ。
 さて、私はそこでふと考えた。「昨日の友は今日の敵」という格言は政治の世界ではそのものズバリ、珍しくもなんとも無いがこの冒頭の言葉を発した彼は、自らの選挙において、なにがなんでも引きずり下ろしたい現職候補の方から熱い応援を仰いだ経緯がある。しかも、それからさほど期間は経過していない。その恩義ある相手にいくら自分の立ち位置が変わったからといって、引きずり下ろすという表現はいかがなものだろうかと思えてならない。選挙とはそういうものだとの考えは私にはない。

 政治というか・・・選挙は、全国どこでもいろいろな確執を派生する特質がある。とくに最近の選挙はそれが特徴的で、昨年の東京都知事選の流れが都議会、区議会の各議員の離党や会派替えを多くし、都民ファーストならぬ自分ファーストと評することとなった。ここに来て、「とことん都民ファーストを応援する」と発言した若狭議員、その都民ファーストの最高顧問から代表に役職を移した小池都知事本人が自民党に離党届けを出した。お二人とも進退伺いを出しているので煮るなり焼くなりお好きなようにという作戦だったのだが、いよいよ離党せざるを得なくなったようだ。何度か書いたことだが、自民党を悪役にしたてようという意味合いの進退伺いというのは見え透いていた。除名か離党かはそれほどに有権者への響きが変わると考えていたはずである。
 いずれにしても確執以上の遺恨に発展してしまった東京都議選である。/span> 

 話はずれたが、前述の若い政治家の発言は、自らがお世話になった方に対して「何がなんでも引きずり下ろしてやる」と言ったのがかえって自分の応援する候補者にマイナスにならなければいいがという思いが脳裏をよぎった。
 選挙は確かに戦いだ。だが、だからといって余計な遺恨の感情をもたらすことはないし、いくらなんでも恩義を忘れることが人の道としてどうかと私には思えるのだ。会派を渡り歩く際、別の大きな恩義を裏切った過去と今回の言葉が彼の人柄に結び付けられても仕方がない。政治はそんな甘いことを言っているようではダメだと言われても私はそう感じる。甘いのかもしれないが、やはりどんなシチュエーションであっても醜悪な攻撃言葉は慎む大人であるべきだしそうあってほしい。 「ほんの一言が相手の心を温め、たった一言が相手を傷つける」といった格言があったように記憶している。