2017.04.10
世界が目まぐるしいが、今号は球春きたりとワクワクしてはいる中、我がジャイアンツに大いなる疑問かつ不満が拭いきれず純粋に楽しめない状況となっている思いを。
どういうことかと言うと、マギー獲得によるチーム全体の歪が決して小さくないと感じる点についてである。
人間誰しも人をみる目にどこか好き嫌いがあって、とくに上下関係の場合は「えこ贔屓」が自然に出るのは世の常とも言える。通常ある程度は許せるし納得もできる。しかし、昨年から今年の巨人をみる限り少々度がすぎてはいないかと開幕以来ずっと注目している。そして、それにより昨年から一人の選手にかかる影響が半端ではないと感じる。村田修一選手である。
マギーが2013年楽天日本一に貢献したのは間違いない。しかし障害を持つ子どもの関係もあって1年のみでメジャー復活を希望し帰国した経緯がある。2014年はマーリンズで年間を通してレギュラーで活躍したが、その後の2年間は3チームを渡り歩き、その多くは3A在籍で結局レギュラーどころかメジャーの座をつかみ切ることは叶わなかった。そこへ年棒1億9300万円でのトレード話が舞い込んだ。主は日本球界の盟主巨人。そこでクリーンアップをまかされるとなれば慣れた日本でのことゆえ不安どころかひとつ返事の移籍話ではなかったかと思う。外国人選手獲得の際、近年は1軍で不調の場合は2軍で調整という条件提示があり、それを了解した上での入団が多いようだが、マギーにはその条件がないらしい。不調であっても最低限1軍ベンチ入りということになるのだろうか。前述の楽天優勝時の成績は本塁打28、打点93というもので突出した数字というわけではない。足も遅く失策率も高いという評判もある。
そこで村田選手だが、ジャイアンツにFA移籍して丸5年が経つ。移籍初年と4年目が低調な成績で安定感に欠けるという意味で首脳陣の信頼を確実に得られなかったせいかどうか、昨年のキャンプ時は将来の4番候補と騒がれている岡本がオープン戦で試され続けサードの座をおびやかされた。結局は143試合スタメンを堅持し、本塁打25、打点81はチーム最高の成績という村田にとって意地の1年だった。複数年契約のFA移籍ということもあってたしか年棒3億円のままだが、熾烈な若手との戦いに勝った翌年、今度は戦うまでもなくオープン戦絶不調だったマギーにレギュラーを奪われたのだ。村田の心中は計り知れない。由伸監督から説明を受けたというが内心は相当アドレナリンが噴出したであろう。しかも昨年村田の壁に試練を味わった岡本は、外野コンバートで今年は亀井やギャレットを脇役においやってレギュラーを張りつつある。首脳陣によほど期待されているのだろうが、起用法は日ハムに移籍したかつてのゴジラ2世の太田以上のものがある。ドラ1入団時に何らかの条件が取り交わされているのかもしれないと感じるほどである。言っておくが私は岡本には大いに期待している・・・しかし何につけてもはじき出されるのが外様の村田かという思いもあるのだ。
村田はあと230本ほどで2000本安打に手が届くところに来ている。つまり2年レギュラーでいれば問題なく達成できるはずだが、今の状況ではそれも難しくなっている。好調な成績を残した翌年にこうした待遇が待っているとは予測しなかったであろう。投手にカミネロを加え3人の外国人が登録されている影響で2軍調整となっているギャレットやクルーズの心中もいかにである。
村田に戻るが、パリーグに目を向けると楽天にウィーラー、ロッテにダフィー、日ハムにはレアードが3塁で起用されている。前2者は現状1割台、レアードは昨年活躍したが今は1割にも満たない。守備にこだわらなければ村田をDHで起用することも可能だ。ホームラン20~30本は硬いと思うが、いかがなものだろうか。あくまでも本人が希望すればの話ではある。宝の持ち腐れが昔から巨人の特徴ではあるが、今回はとくに原さんから由伸監督に変わった昨年から感じる村田はじきに思えてならない。
巨人を愛する思いに変わりはないのだが、外国人や実績のない若手によって厳しい試練に会うFA選手は哀れとしか言いようがなく、巨人の伝統ともいえる。繰り返すが村田は昨年25本81打点を上げた選手なのである。現役時代の由伸は歴代選手の中で長島さんのつぎに好感度が高かったが、今画面に映る仏頂面の由伸はどうにも明るいメージに程遠い。だがそれ以上に選手起用に対する異質なものを感じないではない。
かつて広島からきた江藤、ヤクルトからの広沢、落合も清原も・・・最近では小笠原にも言えるし、片岡に至っては昨年クルーズに押し出されて32試合の出場で今年は最初から2軍、しかもスタメンレギュラーはクルーズではなく中井が起用され期待に応えている。かように巨人で外様が生き抜くのは至難の技のようだ。由伸監督はそれらを目の当たりにしてきた生え抜きである。
外様選手の扱いには活躍度合いとは別のものがあるのは巨人というチームの球団風土なのだろう。広島から阪神移籍で今や球団イメージのトップにある金本監督を考えると巨人との違いが際立つことは否めない。