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No.2262 まっすぐに突き進めないのも政治 

2012.11.22

 日本維新の会の動きがこの二日間でせわしない。
 まず、次から次への公認発表。その内容はけっして維新の息吹、新鮮さ、そして期待感を与えてくれる布陣には感じられない。現時点では、読む限りマスコミも持ち上げる状況にはないようだ。
 東国原さんの立候補も決定的らしい。公認選挙区との関係があってどこから出るかはまだ未定。
 今日のニュースから・・・堺屋さんの勧めで30歳の元グラビアアイドルが立候補するという。別に職業を問題視するわけではないが、どれほどの経験と研鑽を踏んでいるかは見極める必要がある。これこそが私が何度も言う有権者の眼力だと思う。ただ単にルックスや話題性だけで国会議員になれるのなら3年前の民主党小沢戦略と変わりはない。小泉郵政選挙もそうだったが、前回はなにしろ数が大量すぎて政治を馬鹿にしていると感じたくらいだった。強烈なトップをいただいた政党は、その個人精神を崇拝する形でイエスマンを数多く必要とする。それこそが政治に絶対的な数の論理を意味する。

 次に、企業団体献金の廃止を高らかに唱え、既成政党のあり方に疑問を投げかける戦略を売りにしていたが、これをあっさり献金オーケーに変更した。この変更には、あえて注釈はいらないだろう。やはり信念、理念も状況変化に振り回される。結局は既成政党との違いをアピールした金看板は希薄になってしまった。選挙には金がかかるということが橋下さんがわかったということ。それまでの個人選挙では、自らの知名度でさほど金がかからなかったのだろうと推察する。

 立ちあがれ日本を主体とする太陽の党(立ち日と区別すると実質太陽とは石原さん一人を意味する)との再合流は、多くの政策矛盾を抱えることになってしまった。
 政治、とくにそれを生み出す原点とも言える選挙にあっては、政策や義理人情といったものなど、さして時間もかからず大きな矛盾が生まれ、それを有権者に隠すかのように選挙戦が展開するのは今に始まったことではない。しかし、この矛盾、今回の選挙はいかにも多過ぎると思うがいかが? 
 それは結局、自民党が割れて前回選挙がおこなわれ、民主党から多くの異分子が生まれて今回の選挙となった・・・結局はその異分子同士が権力掌握を目指して、「あんたはいいけどお前はいらない!」式の政策度外視、野合どこ吹く風のお見合い大作戦と相成ったことが原因でもあろう。これもしっかり有権者は読み解かなければならない。

 たとえば、橋下さんは外国人参政権付与に前向きであり、危険含みの人権法案成立を応援する方だ。その理由はわからないではない。私は、この二つ大反対だが、橋下さんが何故ここに理解を示すのかわからないではない。理由はあえて口にするつもりはない。
 とにかく、この二つは石原さん以上に平沼さんとの主義に隔たりが大きく、いずれは大きな摩擦になっていくはずである。平沼さんの平沼さんらしさがここにあるからだ。減税日本とは合わないとおっしゃるが、それどころの話ではないはずなのだ。
 あるいはまた、東京都知事選にいち早く立候補を表明した松村氏は維新立ち上がりの時からテレビ等で、維新の宣伝マンとして橋下さんを持ち上げていた方だ。なのに・・・維新は都知事選で猪瀬氏を応援するという。言わずもがな、石原さんが後継指名しているからだ。これも義理人情が状況次第で移ろう例だ。ハシゴをはずされた松村氏は何思う?
 ふと、面白いことに気がついた。橋下さんを取り巻く方々、この松村さん、前述の東国原さん、そして石原さん、さらには橋下さん自身も府から市への乗り換え早業を考えるならば、この四方は、皆さん府県民の期待をよそにお辞めになられた知事の面々なのだ。松村さんと石原さんは任期を満了さえしていない。

 さて、同じく石原さんにハシゴをはずされた河村氏・・・つい今しがたのニュースで、亀井、山田組と合流をはたした様子。あっちが駄目ならこっちとばかりにお見合いを繰り返す小政党とは、いったい国民の目にどう映るのやら。これで16個目の政党となる。万が一、ここに小沢党やみどりの風が合流したら、まさに魑魅魍魎の世界ではないか。政治に魑魅魍魎などという表現がふさわしく感じられるようでは地に落ちるというものだ。

 自民党も過去からの流れはけっしてピュアだとは言わないが、3年間おきゅうを据えられて、出直し政党になったことは事実だ。私も自民党政治家の一員として、落ち込み激しい日本の立て直しは自民党にしかできないと思っている。
 前号でデフレスパイラルからの脱却、つまり経済政策が最優先と書いたが、安倍発言で株価は上昇、円は82円にまで到達した。景気回復には欠かせないバロメーターが如実に自民党復活への期待度を示しているということだ。この二つの上昇は資金調達の容易性を高め、設備投資に対する企業意欲が高まる。そうならないと中小企業も持ち上がってこないのだ。
 バブル最高時の株価が38,900円だったことを思えば、その価値は何割に落ち込んでしまったか。同じ時期、6大都市圏の不動産価値は今の約6倍以上あったのだ。これらが、銀行も含む大製造メーカーにもたらした影響は尋常ではなかった。もちろん、株や不動産に老後資金を託している多くの庶民は、とりあえずこの動向にささやかな安心を抱いているに違いない。
 まだまだ選挙戦中、この指数がどう変動するかは未知数だが、願わくは、マスコミによる揚げ足取りだけは御免こうむりたい。

No.2261 政治はそれほどなまやさしくはない

2012.11.22

 野田首相が在日企業からの献金約427万円を返金したという。小さく取り上げられた今日のニュースだ。
 実は、民主党では党を束ねる立場の議員の多くが、在日からの献金を受けている。菅、前原、枝野各氏、そして総理大臣も。前回選挙で民主党の支援組織として自治労、日教組、そして民団の存在があったというのはよく知られた話だ。 それゆえに、タニマチであるこの3者それぞれの主義主張に合わせると、いったいどういうことになるかは明白だ。
 たとえば、北朝鮮総書記の額が飾ってある朝鮮学校の授業料無償化を実現したい民主党だが、これを実現すると外交、財政、教育でどういった影響が出るか。また、日本人が日本人としての誇りを持てなくするような自虐教育の原点となっている教科書選択が行われるのはなぜか? わかりやすい例としてあげたが、これらはほんの一例なのだ。

 野田さん、党首討論と最後の演説で語気強く、感情高く、ボキャブラリー豊富にまくし立てるように話した。それで民主党の支持率が回復した。しかし、そんな簡単なものではないはずだ。意表をついたとか、野田さんの作戦勝ちとか言う向きもあるが、実際は、近いうち約束と党内クーデターに攻められた「追い込まれ解散」だったと私は感じている。
 その後の党の方針に対する「誓約書」方式は、郵政選挙時の小泉流を彷彿とさせる。世襲をとりわけ選挙戦のテーマにしたいようだが、世襲は必ずしも全否定的ではないという論理も少なくないのだ。
 野田さんは、これも意表をつきたいのかもしれないが、なぜもっと政策論を全面にだそうとしないのか?
 ともかく、強気に発言し、こっそり返却では寂しいですよ。

 私は今回の選挙戦ではすべての党に申し上げたい。それは被災地復興に関わる具体的計画がわかりにくいというか、示されていると思えない点だ。これが政権公約のトップであってもおかしくはない。東北3県を中心とする被災地の復興公共事業は待ったなしだったはずだ。まだ具体的復興計画も立てられない被災直後に、国から与えられた予算のうち2800億円も返却するという事態はおかしいと言わざるを得ない。それだけ復旧復興の道筋を甘く考えていたということだ。もっともガレキ処理ひとつとっても、国民感情に潜む嫌悪感が解消できないでいるのだから、助け合いもなにもあったものではない。
 翌年までしか繰り越せない特定交付金システムも特例措置を設けることによって出し切り交付金にクリアできないものだろうかと思う。難しい一面があるのかもしれないが、この判断は官僚の役目ということなのだろうか。
 政治は難しい!とつくづく思う。