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No.3007 ベルギー戦を見られた感動

2018.07.04

 あちらこちらで、ノウゼンカヅラが暑さにひしがれる状態を癒してくれる。それにしてもまとまった雨が恋しい。
 そんな気分ではあるのだが、悔しさ一転、サムライブルーがもたらしてくれたベルギー戦の清々しさはなんだろう。日本勢初のベスト8入りを目指したベルギー戦はサッカーの面白さを最高潮に感じさせてくれた試合ではなかったか。結果は黒星でも見る側に与えた感動は白星と言ってもよいものだった。ポーランド戦の10分にわたるパス回しに賛否両論がネットで応酬された。概ねは、監督采配を理解できるというものだったが、情けない、がっかりした、スポーツマンシップに欠ける、中にはサムライブルーの呼称は降ろした方がよいという意見まであった。結局、引き分けもしくは勝ちに行く姿勢をみせなかったのは監督が選手を信頼していないからで、負けている状況で取る戦略ではないとも。確かに、セネガル如何ではグループリーグ敗退もあったが、攻める作戦でも同じ可能性はあった。この難局でどちらが正論かはもはや議論の範疇にはない。なぜなら16入りした結果でベルギー戦があったのだから。
 そして、このベルギー戦ですべてが払拭されたのではないだろうか。スーパーゴール2本は正に世界の日本を立証したワンダフルミラクルシュートだった。さらに、後半戦の戦いぶりは世界ランク3位を相手に素晴らしい夢の時間を我々に与えてくれた。あのクリアキックミスが・・・とか、あのコーナーキックが・・・とか、選手交代のタイミングや入れ替えの内容が・・・とか、敗戦ともなるとなんやかや批判がマスコミやネットに踊る。しかし、そんなことは現場の当事者として、それこそライブで指揮を執っている監督自体が大いに悩み、迷うことであろうと思うと、おいそれとは批判出来ない世界ではないだろうか。わずかに、交代した選手二人が同点弾と決勝弾を叩き出したベルギーの監督采配は光るものがあったが、それも結果論に過ぎない。勝負の世界の采配など誰も完璧にこなせるわけがないし、最高評価は優勝監督だけが得ることの出来る名誉でよいではないか。ベルギーが優勝でもしようものなら、あの日本戦の交代戦略がベストな采配だったと評価されるかもしれない。
 スポーツの戦いとは、酷評に値する試合内容であったなら批判もやむを得ないが、あれほど興奮と感動を与えた試合であればもはや清々しさと称賛を最優先に選手たちを慰労したくなるものだ。
 別の話として、試合直後の余韻が残る中での本田が代表引退を発言したことにはいささか違和感を持った。長谷部も遅れてひと時の悔しさから感謝と慰労への雰囲気に満ち始めた翌日に引退宣言をしたが、彼はサムライブルーの司令塔として、また日本のベッケンバウアーとしてキャプテンを8年にわたり担ったサムライ中のサムライである。本田があの段階でなぜ引退を語ったのかはわからないが、試合直後のことでは、監督の選手起用など今回の大会全般にわたる不満が為せる言葉だったように感じられなくはない。長谷部への心遣いも欲しいところだった。素晴らしい選手であり、頭もきれる人物だと思うからこそ、もう少しタイミングを選んで発してほしい言葉ではなかったろうか。 
 監督交代も囁かれているが、グループリーグを再開に終わった、しかも前回優勝国のドイツ監督でも慰留されたという。いくら名選手、名監督であるクリンスマンだからといって西野監督をこの結果で降ろすのはもう少し熟慮するべきと思えてならない。
 シュミレーションという反則および類似行為が、今一つサッカーがプロ野球を凌ぐスポーツに位置付けられないのだが、今回、大会前からいろいろなことが話題になった日本サッカー、今後は少々見る目が変わるやも・・・か。