薩摩の心友からメールがきた。ブログ3000に加え、アクセス40万到達に対する祝いのメールだった。とくに政治の世界を意識して15年もブログ行脚を続けてきたわけではないので、広くいろいろな人たちにアクセスをいただくことは数字以上に感慨深いものがある。40万アクセスは有名人などでは1日で100万件に届く例もあり、ことさらに驚く数字ではないが、一介の地方の人間が書き綴った継続性という観点では自らをほめてやることとしたい。
この人生最大とも言うべき友とは毎日と言ってもよいほど会社帰りに都内各地で安酒をひっかけながら語り合ったものだ。そんなことを考えていたら、よく政治が話題にのぼったことを思い出した。しかし、二人だけでは論争、口論になった記憶がない。いやはや、人生懐古の感覚は年を取ったという証しなのだろう。
さて、児童虐待3弾目である。これまで同一テーマを3回以上続けたことは、市議時代の合併問題以外に記憶がない。
先に書いたように、上田知事がすべての虐待案件を警察が関与するシステムにすると明言したことに加え、安倍総理までもが早急な対策を講じるよう指示したことから、この虐待問題が国をあげての社会問題として前面に出てきた。それもこれも、折檻を超えた虐待を受けた結愛ちゃんの魂の叫び、心の底から発した有り得ない親への命乞いの手紙が日の目を見たことによって、涙にまみれた国民が多かったことが、今回のお上の声につながったものと思う。しかし、実際のところ対応は遅きに失したことは間違いない。問題指摘の声に対する真剣度がいつの時代でも反応が鈍いのは行政の最大の問題である。結局のところ、大きな声を上げたつもりが小さな声にもならないということだ。
県議会で虐待防止には児相と警察の連携を深めるべきだと一般質問したのは平成24年6月議会。その2ヶ月後に後藤啓二弁護士を招いて議員勉強会を行った。もちろん、誰だったかは記憶にないが執行部側でも何人かの職員はその場にいた。セミナーのタイトルは親学勉強会「子どもを虐待から救うために」というものだった。講師の後藤弁護士は、東大卒後警察庁に入庁され、内閣法制局参事官、大阪府警生活安全部長、愛知県警警務部長、内閣官房安全保障・危機管理といった要職を歴任されたいわゆるキャリア官僚の方である。平成17年に警察庁を退職され、同年弁護士登録をされ、20年に後藤コンプライアンス法律事務所を設立され、24年7月に子ども虐待・性犯罪をなくす会を設立された。
著書も多数あり、写真の2011年10月発行の、その名も「子どもを虐待から守る本」の刊行に関わっていた友人が、小生の質問内容を知って紹介してくれたことがきっかけである。こうしたつながりは特に貴重なものとして記憶に残る。セミナー時に先生自らが本から抜粋されたレジメのうちの一部を添付したが、ここで警鐘されていることが虐待を理解するうえで最も重要なポイントを言い当てていたことがわかる。安倍総理も上田知事も、議員、行政マンのすべてが読むべき虐待防止ガイド本である。今からでも遅くはない。
埼玉県ではこの後も前号に書いた事案も含めて多数の虐待が発生していたのだから、今回の上田知事の声は前述の理由から小生を心から喜ばせるものではないことが理解いただけると思う。自民党県議団が議員提案で昨年成立した児童虐待防止条例もどれほど実際の防止に身を結ぶものか注視すべきであろう。形式的に過ぎる条例がないとは言えない実態にあって、作ることが目的であってはならない代表的な条例になってほしいと願う。
ともあれ、結愛ちゃんが祈る思いで丁寧に書いたひらがなの訴えがようやく実を結んだことになんとも複雑な思いである。