橋下大阪市長および大阪維新の会について、後日またこの画面で書き込みすると約束しましたが、その前に、新たに橋下氏が新構想として興味深いテーマを2点ほど投げかけたもので、それについて。
★小中校生徒の留年制度
橋下氏が志向する改革施策の中で、教育指針はなかなか的を得ていると、自分なりに評価しているが、この留年制度はいささか危険を感じないではない。改革には痛みをともなうが、この痛みは相手が子どもなだけに取り返しのつかない痛みになりかねない。
現代日本の教育は、精神教育面でも学力向上教育においても、その質の低下は否めないというのが大方の意見だ。そして、その原因がどこにあるかの検証は為されていないままだ。ましてや、日教組に支配されたかのような民主党政権下になって、ますますその流れにはずみがついているといった観測もある。
★最低生活保障制度
これは、ベーシックインカムと呼ばれているもので、オギャーと生まれいでた赤ちゃんはもちろん、命ある国民一人当たりに同額の現金給付をしようという制度だ。額は5万円から8万円とする説が多い。これによって大方の福祉行政下の扶助費を無くすことができ、これに関わる行政コストおよび複雑なしがらみが排除できるといった構想である。
一定ラインまでは共産党的思考にもとづき、それ以上は資本主義的競争原理が働くといってもよいこの制度、社会構造の変化と過去への揺り戻しを期待することの困難さが、そうした構想の原点にあるとされる。すでにヨーロッパではこのシステムを研究するネットワークが数年前から立ち上がっている。これはギリシャ問題より前のことで、ベーシックインカム・ヨーロピアン・ネットワーク(BIEN)というものだ。
まだ、この制度を取り上げた国はない。メリットもあれば、その逆も当然あるからで、とくに国家福祉制度の根幹を変える制度となるからこそ、デメリットはどんな小さなものでも留意しなければならない。
しかし、少子高齢化という変え難い社会構造にもたらされた閉塞状況にある日本を、BIの対象として考えたならば、おおいに研究議論の余地はあるようにも感じるのだが、さて・・・・。
私見を述べるならば、現行では前者は反対、後者は慎重にと考えている。言い方を変えれば、首相公選制を実現し、さらに参議院を廃止するという橋下理論との結びつきを思うと、これらの理論は橋下政権誕生下では成立することになる。つまり、首相の独断専決に近い意思決定が出来るからだ。
ポピュリズム全盛の選挙背景にあって、政治の仕組みが変われば、教育、福祉、経済などオールラウンドで変化する可能性が高い。外交、防衛については予測不能だが、一気にお国替えをすることが良いのかどうか、すべては国民の意思表示にかかっていると言える。