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No.2975 26年ぶりの特A米

2018.03.09

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ファイル 883-1.jpgまずはこの表をご覧いただきたい。日本穀物検定協会が発表した平成29年度産米の食味ランキングで特A米に選ばれた全国の米一覧である。全品種22、産地別ブランド数は43という日本産米の精鋭の中に埼玉県県東産の「彩のきずな」が選ばれた。これは埼玉県としては26年ぶりのことで、私も市内の米作農家の方と話す機会が多いが、幸手産米は美味しいけれど特A米になかなか選ばれないという話をよく耳にしていた。
 一般的にも美味しい米というと魚沼や近隣の北川辺産という名前が出ることが多い。ところが、全国ブランドの魚沼産コシヒカリが今回は特Aランクからはずれた。昨年、スーパーで魚沼産米を量り売りしている光景を遠い沖縄で見た。それほどのものなのか!と感心したものだ。おそらく絶対キングがキングで無くなった理由は昨年の猛暑だったのではないかと推測するが専門的にはいろいろあることと思う。
 北川辺も地理的には埼玉の県東ではないと考えれば、断定は出来ないが幸手、杉戸、白岡、久喜、松伏、春日部、越谷等が地域的には含まれるのかもしれないが、幸手産のきずなが対象となったのは間違いないところである。というのは、昨年、香日向二丁目として地域初の敬老会(先輩ようこそありがとうの会)を実施した際、「彩のきずな」を抽選会の景品として企画した。総量60㌔の米の評判も良く、とても喜ばれたようで美味しいお米だったという声を多くいただいたのだ。
 この「彩のきずな」は県農林部生産振興課が農業技術研究センターで平成15年に交配し、26年に品種登録した米である。つまり、新物中の新物ということだが病害虫と高温に強い米の開発に力を入れたことが正に実ったということになる。平成22年のことだったが、県期待の星、いや米と言われた「彩のかがやき」がその年の猛暑で全滅に近い状況になった。以来、担当者たちは、米生産業者と共同で、しっかり水を吸い上げ、結果として暑さに耐えるための大きくて強い根を持つ品種の開発育成に努力を続けているとの話を聞いていた。
 

 余談だが、2015年に発売され3年連続で特A米に選ばれた青森県の「青天霹靂」。ユニークな名前で一躍その名が売れたが、この米の販促に尽力している青森県の課長さんは幸手市出身の方である。わずか3名程度の部下とともに必死の思いで「青天霹靂」を全国ブランドにのし上げた。
 それにしても、知らない米がたくさんあることに驚く。多くは通信販売で購入できるだろうから少しチャレンジしてみようか。さしずめ、近隣の「とちぎの星」それと「にこまる」「森のくまさん」などはどうだろうか。
 ところで、この一覧表に自分としては食する機会が少なくない富山県、石川県の米が選ばれていないのが不思議でならない。福井県では3つも選ばれているというのにだ。ランクは外観、香り、味、粘り、硬さとそれらの総合からの認定だそうだが、だいたい、私は何でも食するたびに美味しいと感じるし、そんな細かい繊細な部分まで判断できる自信もない。ゆえに米についても舌が肥えているとも思わないし、よほどの時は別だが、作ってくれた人のことを想うと何でも美味しく感じてしまう方である。それでよしと思っている。