記事一覧

N0.2146 GKB47

2012.02.07

 掲題の5文字、何を意味するものだと思われますか。

 昨日、参議院予算委員会で与党民主党の若手議員がおこなった質疑の対象となったこのフレーズ。
 「ゲートキーパー・ベーシック47」と訳すのだそうだが、実は自殺防止対策キャンペーンのメインキャッチに選定され、まもなくお披露目される予定になっているフレーズだという。

「あなたもGKB47宣言!」 
 つまり「元気をなくしている人や悩んでいる人を支援し、見守る人達によって自殺者の発生を防止する運動を47都道府県で実施しよう」といった主旨の内容らしく、それがレコード大賞を獲得するなど、今の芸能界でトップを走るAKB48にあやかってネーミングしたようなのだ。ところが、GKBは若者の間でゴキブリを意味する隠語で使われているらしい。

 これに対して、民主党の松浦大悟議員はこの運動の担当である岡田副総理に見直しをすべきだと思うがどうかといった質疑を繰り出した。
 ラジオで聴いていただけでも、その切実な訴えは納得できるもので、煮え切らいない答弁に場内からは自民党だけでなく与党議員からもヤジが飛び、石井委員長が何ども静止していた。その際「今松浦議員が発言している内容は、大変重たいものです。静粛に願います。またこれについては委員長の立場においても見直しができるものかどうか至急協議していただくよう求めておきます」といった例外的な発言もなされたほど。

 岡田副総理の発言からは、この政治家も従来の慣習にしばられた政党政治優先で、人道的な精神を前面に発揮する人ではないなあと感じた次第。
その発言は「松浦議員のおっしゃることは理解できるが、まずは与党内で協議するべき問題だ。事実は、すでに印刷物等々も準備態勢に入っている段階だ」と答弁。要するに、もはや修正は難しいというものだ。

 日本の政治は縦社会の激しい政党政治で、政権与党に所属する議員が国民周知のテレビ国会で総理や大臣、いわゆる親分、先輩の議員に意見するなど、およそ考えられないことだ。
 だからこそ、岡田さんは与党内で議論するべきだと主張している。しかし、この政党政治のルールを守る形で、国民が見ることのできない党内会議の場で松浦議員が意見提案したとしても、おそらくその場でつぶされるはずだ。この素晴らしい意見は陽の目を見なかっただろう。その選択をあえてしなかった松浦議員の切実さにつながる根性を見いだせるし、この松浦提案を重く受け止める姿勢なく、自らの立場保全に党議ルールを持ち出す、小さな副総理を見る。

 野田総理は「私もはじめて聞いた時、違和感を感じた。見直せるかどうか検討したい」と答弁。せいぜいこの位の答弁は欲しいところだ。
 しかし、総理も違和感を感じた時点でどうして立ち止まらせることができなかったのだろうか? そうさせない裏の力があるのならそれは何だ? 
私ならそこまで突っ込みたいが、政党に所属しているとなかなか自らの党に対する問題点を公に口することのできない難しさがある。さりとて無所属では議員としての力は発揮できないのも事実だ。こうした政治慣習に立ち向かった松浦議員はなかなかのものだ。

 時流に乗ることは、事によりいけないとは言わないが、命に関わることに対して言葉の遊びの行き過ぎは慎むべきだろう。マニフェストに実行性が失せつつある現代政治と理解はしているものの、選挙目当ての口約束程度のマニフェストが横行する状況においては、引き返すべきは引き返す政治が求められていると思えてならない。もっとも、これを有権者が見抜けなければいつまでたっても・・・なのだが。
 それはさておき、GKB47に対する謙虚な対応を望む。