福岡、大分、秋田、新潟と全国至る地で記録的豪雨による過去に記憶のない大水害が発生している。過去に記憶がないというのは被害に遭われた住民の方々が口にしていることで、想像を絶する大量の雨が集中的に降ったことを示している。床上浸水も結果的には浸水ではなく浸泥という状態で泥を掻き出す住民の姿には疲労感以上に悲壮感があふれている。発する言葉も失うほどだが、心よりお見舞い申し上げる次第です。
臨時国会(閉会中審査)を眺めていて、登場議員はおしなべてこの見舞いの言葉を前口上にするが、質疑でこの点に触れたのは自民党の青山繁晴議員と公明党の河野義博議員だけだったと思う。さらには北朝鮮問題や尖閣への中国問題等々防衛上の危機管理という最上級の課題もあるというのに、忖度問題にいつまでかまけているのか・・・・マスコミ操作に国民が感情的にのせられているのは仙台市長選や首相期待論で石破氏が安倍総理をわずかに抜いたという毎日系の報道から見てとれる。まあ、アンケートの取り方もどこまで信憑性があるのかと思えてならないのだが、この問題については今夜の各局の報道を見て、次のテーマにしようと思っている。
前段に戻ろう。八ッ場ダムは昭和22年9月のカスリーン台風を原点に起案されたものの反対運動もあって実施計画に着手したのは昭和42年のことであった。しかし、その後も吾妻川の上流域からの流水質が強酸性であるとか、温泉街の生活問題等々が全国に知れ渡る社会問題となり、紆余曲折を繰り返すこととなった。最近では投資額をめぐって国政選挙の争点にまでなり「コンクリートより人」という迷言まで生んだのはご記憶の通りである。ダムというコンクリートが人の命と財産のみならず生活を守るのは言うまでもない。八ッ場ダムの建設目的にも3つの大義がある。群馬県および下流域への潤沢な利水機能、利根川流域の洪水調節という治水機能、最大11,700キロワットの電力供給である。
左左岸 右右岸
左岸から始まった発破掘削工事は約1年半で完了し、昨年の6月からはいよいよコンクリートの打設工事が進められている。最近ではコンジットと呼ばれる常流送水管の形成工事と埋め立て工事がおこなわれているようだ。この常流送水管というのは内径たしか8mもある巨大なコンクリート性のものである。何度か視察に行ってこの管の実物を目にしたが、ダムというものは目に見える堤防部だけではない部分に人知の粋が施されているんだなあと感じながらため息をついたことを覚えている。
堤防高116m、幅290m、堤防の天端高586mという巨大な重力ダムは70年という途方もない年月を経て平成31年の竣工を迎えるところとなった。
数年前にバス7台をチャーターして見学ツァーを実施したが、行くたびに様変わりする現地には目を見張ったものだ。近々再訪したいと考えている。そう言えば、今月に入って八ッ場ダム工事事務所所長に異動があった。前任の矢崎剛吉所長が国土保全局治水課流域減災推進室長に栄転され、代わって近畿整備局姫路河川国道事務所長の朝田将さんが転任されることになった。国の転勤も大移動で引き継ぎも大変なことだろうと推察するが、新任の朝田所長が竣工に立ち合う最高責任者ということになるのだろう。しっかりと工事の采配をふっていただけるものと期待したい。
残すところ約2年、ここまでの関係者もさぞかし感無量のことだろう。