あっと言う間に日が過ぎていく・・・思わぬ体調異変を味わった身ゆえかそんな感じがしてならないが、花木の芽吹きが体調の戻りの背中を押してくれるかのような心地よい日々が続いている。
朝鮮半島の有事が今にもといった様子だが、どこまでそれを意識しているかわからないようなムードもないではない。主要地同時着弾も有り得る我が国にあって今の国会はのんきなものだ。今回、それは置いておくとして・・・
国際上では朝鮮半島危機に対する中国、ロシアの我が身を省みない対話重視論もそれだ。北朝鮮が持つ世界に向けた核軍拡をどれほど真剣に考えているかどうか。中国は東南シナ海で、ロシアはクリミアやシリアでどういった行動を起こしているか考えれば、対話重視論がアメリカ牽制の意図を隠す綺麗事でしかないのはあきらかで、平和解決を真から望んでいるものとは思えない。もちろん私とて平和的解決がいいとは思うが果たしてそれが可能かどうかはこれまでの経緯からして疑わしい。現実的に野放しにしておけばおくほど北朝鮮の核ミサイル性能が向上することは必至の状況ではないか。
まず、中国の北朝鮮制裁がどれほどのものかは信頼性に乏しい。あるいは、なぜ空母が必要なのかを問えば国防のためとは言えないはずである。海洋軍事力の向上が中國にとって不可欠なものであるのはあきらかではないか。また、アメリカによる弾道弾迎撃ミサイルTHAADの韓国配備に強い拒否感を示し、北朝鮮制裁よりも韓国制裁に意欲を見せる状況も異様ではないか。
ロシアに至っては北朝鮮国境付近に軍備を移動させている。戦車を乗せた貨車が何台も連なって動く様は異様だ。昭和20年8月のように有事の折に領土分捕りの再現でも狙っているのだろうか。つまり、対話を言いながらアメリカによる北朝鮮攻撃を意識しているのはあきらなのだ。そういう意味では国柄は相変わらずと思えてならない。クリミアを視野に入れたのも黒海に海軍拠点を設け、地中海に抜ける海洋権を強化することでの対NATOを意識したものだろう。地図をみればクリミアは間違いなくそうした重要地点に位置しているし、シリアの独裁者アサドの支援に回っているのも地中海とインド洋を結ぶスエズの存在も念頭にあるのではないだろうか。エジプトに力が無くなり、反米のリーダーであったリビアもしかりの今、過去にこれほど中近東支配に戦略展開するチャンスはアフガニスタン侵攻以来無かったことである。
このように、この身勝手な両大国の底意にある狙いは世界地図をながめるとわかりやすい。
中国はシナ海のみならず太平洋権益を得るためには日米同盟が重い存在だ。だからこそ、台湾が一つの中国で有り続けなければならないし、尖閣では飽き足らず沖縄諸島にまで覇権の目を広げているのだ。これらを手中に治めれば太平洋が有する大資源に向けて我が物顔で動き回ることが可能になるだろうし、日本列島さえも視野に入ってくるのである。沖縄の知事が売国知事と言われる所以はそうした中国に加担しているかの言動が多いからである。ついでに言えば日本列島はロシアにとっても貴重な地理的位置づけにあるのだ。
ロシアはと言えば、まずは前述のクリミア、シリアへの軍事進出は北大西洋条約機構(NATO)を強烈に意識した地政学的戦略行動をとっているのは間違いない。冷戦時代の同胞東ドイツ、ルーマニア、チェコ、ハンガリー、ユーゴ構成諸国群などがソ連邦崩壊後次々と同条約に加盟したことによる孤立感が対米意識を再燃させているのかもしれぬ。冷戦時代の再現とか第三次世界大戦というフレーズが政治専門誌に見られるのもそうした理由からであろう。
北方領土問題も、昨年12月の安倍プーチン会談で2島変換への可能性を指摘したが、地図をみればそれが甘い指摘であったことを認めざるを得ない。なぜなら、歯舞色丹の2島は国後島から見ると太平洋の前に大きく立ちはだかっているのだ。国後に軍備補強をしているロシアからしたら歯舞色丹を日本に変換するということは対米関係上やっかいな存在になるのは地政学上はっきりわかる。もちろん漁業権の意味からも歯舞色丹の面積が小さいとかではなく領海上大きな権益を失うことへの懸念もあるのではないだろうか。
中国にしてもロシアにしても地図を見る際、この国側から太平洋をのぞむ角度で見るとなるほどと思えてくる。ぜひそういった見方をしてみてください。
地図は政治的にもいろいろなことを教えてくれる。そうした観点で地図をながめると、日本はある意味なんと素晴らしい、また別の意味ではなんと厳しい地理環境に置かれているのかと思う。地図は面白い!