計画以来59年の歳月を経て、というより地元住民の複雑な思いや苦難を強いながら実現に向かっていた八ツ場ダム。
政権交代で突然中断されていたが、いよいよ建設継続が決定された。
人にはいろいろな思いがあり、このダム工事に反対の意見も存在するのは理解しているが、どちらかに決定するというのであれば、政治的マニフェストを死守したいがための、いわゆるメンツ、プライドを重んじることで、広域の安心安全および生活再建の道を閉ざしていいとはとても思えなかった。
昨日、本会議終了後の4時35分頃から県議会八ツ場ダム建設推進議員連盟臨時総会が開催され、そこに定例会終了に際し挨拶をされてまもない上田知事が出席した。22日は前田国土交通大臣が最終結論を出すということで大方の注目を集めていたが、本会議後、継続の判断をした旨の電話が前田大臣から上田知事宛に入ったそうだ。その内容をいち早く伝えたいということから議連が急遽開催されたと理解している。
前田大臣もすぐその足で群馬県に向かい大澤知事に直接これを伝えた。対応としては真摯なものに感じる。党内の強力な反対を押し切って決断を下し、地元住民には60年近い年月を精神的にも生活の上でも翻弄したことをお詫びすると発言・・・これこそが政治家の姿だろうと思う。
前原氏は中止決定に対する厳しい反対意見に配慮して再検証のスキームを設けたが、結局自らの主張に反する結論を素直に認める姿勢はなかった。それどころか、長野原町および同住民に対する生活再建策を策定すると言って置きながら、ただの一度も施策を提示することなく、地元を再訪することもなかった。私は正直この政治家に期待していたが、見込み違いを認識している。不遜かつ謙虚さと慈悲に乏しい政治家だと。
すでに各紙一面でこれを伝えているようなので詳細は省くが、感無量といった様子でここまでの経緯を語る知事は満足そうな笑みを浮かべていた。
4,600億円の総事業費のうち8割方進捗している同工事は、本体工事にようやく進むことができるが、なんとかこの2年以上に及ぶ遅れを取り戻して、当初計画通り平成27年度には完成するようにしたいものだ。