国土交通省は、昨年の鬼怒川決壊による茨城県常総市中心の洪水被害を受けて、新たな河川別洪水予測を発表している。想定の基本は、これまでに発生した最高雨量に見舞われた場合となっているが、時間等々詳細は現状不明なのだが、その数値を見て驚いた。
とにかく、それによると多摩川が対象となる京急川崎駅周辺では、これまで1.9mの浸水予測であったが、それが4.3メートルに引き上げられている。
また、荒川が対象域となるJR赤羽駅周辺では、これまでの予測がわずか88cmだったものが2.4mと大きく変わっている。
このような大幅な変更について、想定を超える自然災害は、今後ますます異常性を増す可能性を視野にいれるべきと感じるところから、けっして大げさだとは思わない。
しかしそれ以上に、熊本地震でも感じることとして書いたことだが、実際の災害対策は遅々として進んでいないことが、倒壊家屋の光景からも散見された。洪水対策にしても、いかに浸水水位が大幅に引き上げられたからと言って、その対策をどのように施せばいいのかわけがわからないというのが国民の実態ではないかと思う。
いや、はっきり言って住民にできることは限界がある。
埼玉東部に関わる洪水水位の新数値について、いわゆる江戸川、中川に関連したものは現在把握出来ていないが、わかり次第また書き込みたいとは思っている。
ところで、首都圏外郭放水路の存在と意義については、以前から声を大にし、実際に幸手市民の皆さんにもご覧いただくべく、何度も団体見学として訪れる機会を設けた。
昨今の異常雨量に対する本格的な防災対策としては、一河川ごとにあのような施設を建設することしか考えが及ばない。それでも100%ではないのだが、かなりの対策になっていることは、ここ数年の状況から理解できる。
同放水路の建設には2,300億円という巨額なコストがかかっているが、全国の主要な氾濫河川にそうした施設を建設するくらいの計画が必要ではないかと感じる今回の洪水水位の想定変更である。
国交省もわかってはいると思うが、肝心なのは予測ではなく対策なのだ。