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No.2645 学童保育で政治ビラ

2015.09.05

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 堺市の小学校の学童保育で、50歳の主任男性指導員が「アベ政治を許さない」と書かれたビラを掲示したことがニュースになっている。

 それに関して、市教委が「政治的中立性を損なう行為」として運営委託会社に対応を求めていたが、本人に対する口頭注意で事は収められたようである。
私は大いに疑問が残る対応だと感じているが、いかがなものだろうか。

 まず、学童保育というのは本年4月施行の法律改正で小学生の全学年が放課後保育の対象となったので、社会状況や大人の論理にある程度は咀嚼能力を備えている学年も含まれている。
 まあ、そうであるかないかに拘らず、学校内にこうしたビラが貼られる現象は異常としか言いようがない。政治状況は、時代時代で異なる。官庁勤めの人たちは、思想イデオロギーに関連した言動は厳に慎むこととなっているが、とくに教育者については、そうあるべきだろうと大方の人は考えているのではないだろうか。
人間が自らの成長過程でどのような志向に傾注するようになるかは、まさに自由であり、それそのものが人の歴史なのだ。少々ダジャレっぽいことになるが、志向だけでなく、思考も嗜好も指向も同様に、誰からも指図されるものではない。
 しかし、その道をこれからたどる子供に純粋な教育が求められる公立校内で、政権批判、首相批判を意味する恣意的行為がまかり通ることには、驚きを隠せない。
 実はこの問題、もっと根の深い部分にも憂慮すべきことがある。それは指定管理者制度である。たとえば、埼玉県の学童保育連絡協議会では、指定管理者制度に問題ありとして反対の意思をあきらかにしている。
 理由は単純明快である。教育現場に利潤優先の企業論理をかざした運営が適切かどうかという問題指摘である。しかし、まさかその関係者でも政治的プロパガンダビラが堂々行われるとまでは考えていなかったはずである。
 場を脇まえることもなく、個人的政治思想・信条をこうした教育職場にエキセントリックに持ち込むことを是とする困った輩の存在は、今後学童保育の指定管理者制度に新たな問題を生む可能性もある。とは言うものの、口頭注意で大団円では、なんとも首を傾げざるを得ない。

 実は、2週間ほど前のことになるが、家内がある市内の方と話した内容を耳にし驚いた。中身は聞きずてならないものだった。それは、幸手市内の小学校に通っているお孫さんの話として、ある先生が安倍総理を批判する話を授業の中でしたというのである。それを聞いてお爺ちゃんは驚いたそうだが、孫の今後を含み、政治がらみのことゆえ学校まで出向き、抗議をすることは差し控えたというのである。言ってみれば、公立小学校という教育現場で特定政治思想の煽動行為がやりたい放題ということになる。純粋な子供たちに対する卑劣なマインドコントロールが実態としてあるということだ。
 注意されないとわかるや、堰を切ったように図々しくなるのがこの手の思想集団の常である。過去にあまり記憶のないこうした事件から、教育現場の今後が懸念される。

 全国津々浦々、こうした状況が蔓延している可能性もある。はたして口頭注意だけでいいのだろうか。こうした点をマスコミが指摘することは、今のところ感じられない。危険この上ない。
 この4月から、教育システム全体における首長の権限が法的に強化されたが、新たな問題を派生しないとは言えない。指定管理者制度ひとつとっても、行政と業者の癒着の可能性がないと、誰が言い切れるだろうか。