衆議院憲法審査会で招致された弁護士3人の越権ぶりがひどいことになってきた。
形としては、招致により審査を委ねられた弁護士が、結論をどのように導こうとそれは仕方のないことであるが、自民党の憲法改正推進本部の人選責任は問われることになるのは必死であろう。
それにしても、この弁護士チームは自らの信念により審査結果をもたらしたにしても、実際のところはよくぞまあいけしゃあしゃあと言いたくなるような発表だった。こうなるように仕組まれた政治の裏側のキナ臭さを感じる出来事だった。
ところがである。さらにこの長谷部恭男早大大学院教授をリーダーとする弁護士チームが、一昨日の外国人記者クラブで、とんでもない発言をしたのだ。
なんと、「徹底的にこの法案の審議をして廃案に追い込むべきであり、それができないなら選挙で政権を打倒するしかない」といった主旨の発言をしたという。「ふざけるな!」だ。
弁護士や大学教授という肩書きに、自ら幅をきかせる人間は、こういう愚かで浅はかな面をもっていることがわかる。国会の憲法審査会に招致された人物が、他の場でそれ以上の政治に影響をもたらす決定的な自己心情を発していいはずがない。
言語のプロ、言葉のチェックを専門とする弁護士とは、とても思えない。
こういったことは、最低の常識だろうと思うのだが、この弁護士たちは、あまりにも社会的反響が大きかったことによて、さらにそれを自らの知名度アップのために利用しているとしか思えない。よりによって、選挙で政権打倒!というのは、立場的にいいことかどうか考えればわかるはずではないか。その分別もできない。国会で審査発言を出来る立場にない、市井の一般弁護士とわけが違うのである。
憲法審査会で招致発言した人間は、いかなる人物であろうとも、審査員であるのだから、結論は導くまでの責任があるのはわかるが、それ以上の政権打倒、選挙の必要性まで語る資格はないし、また社会的影響を考えたら、審査会以外での発言は控えるべきなのだ。 また、憲法審査会自体がそうした事前確約を取り付けておくべきではなかったか、と思う。
この弁護士さんたちに申し上げたい。つまり、国防的観点から平和安全法制は抑止力向上に欠かせないという理論の上にたった場合、平和安全法制が憲法違反だと言い切るなら、まさにGHQ押し付けの憲法自体を改正する必要があるということではないのか!と。
ところが、この弁護士さんたちはまったく考えが固くて、マッカーサー憲法を絶対的なものとした上で、平和安全法制との整合性を前提に咀嚼しようとしている。まして戦争をする国、とか戦争を出来る国に向かう法律というリベラル的認識が強い方々のようなので、そもそも受け付けるモノサシは持ち得ていないのである。頭の良いプレミアム有識者の中には、あえて反対論を唱えることで自己実現を図ろうとする意固地が時折いるものだが、そういった類なのかもしれない。
くりかえすが、「選挙で政権を打倒するべき」まで発言したことは、まさに越権発言であり、大問題なのだ。自民党を打倒せよ!と世に発信した事実は、逆にどの政党に日本をたくしたいのか?
幅広い思考に欠ける政治オンチな憲法学者に政治を論じてほしくはない。