人は、人が発する言葉や雰囲気で、それまでのイメージをガラッと逆転させることができる。これ自体は、良くもあり、悪くもありだが、政治がパフォーマンスやショーで終わらないためには、有権者自身がしっかり政治、政治家を見定めなければならない。
民主党が16%まで支持率が下がったものの、野田総理誕生とともに64%まで回復した。どじょう演説で民主党に期待感が膨らんだ。たしかに、野田さんの演説の妙が生きたことは間違いないし、それはまたそれで演説は政治家の力の見せ所だからよしとしよう。
ただ党の体質として、ベクトルの異なる主義理念がいくつも介在する民主党ゆえ、新しい内閣が組閣されるたびに、いろいろと考えさせられるものがある。それが、今一信頼感にまではつながらない要因なのだ・・・そう思ってまもなく、鉢呂経産相がわずか9日で辞任。これは、一人の政治家の人格、人間性に関わることとして党の問題を問うものではない。自民党でもたびたびあったことだ。ただ、松本前復興大臣もひどかったが、こういった次元の低い上から目線タイプの議員がいるのも民主党らしい。いわゆる稚拙さがぬぐえないのだ。
さて、私が本当に怒りを感じているのは前原政調会長さんだ。この鉢呂氏の発言には国民のほとんどがとんでもないと感じている状況下で、「魔がさしただけで、任命責任を問われるものではない」とのたもうた。また、これが即座の反応だから熟慮せずの短絡的対応としか考えられない。
野党がこうした発言を問題視するのは政治の常道だ。彼が民主党代表の時、偽メールをでっち上げて自らが代表の座を降りることになった永田メール事件がそれそのものだったではないか。最終的には永田議員の辞職から自殺という経緯を経た後味の悪い事件となったが、この時の前原代表は、手柄一本!といった勢いで永田さんとともに武部さんを攻め立てていたものだ。
しかし、鉢呂氏の発言のひどさは決してかばえるものではない。前原さんは、野田さんを守るために鉢呂氏発言を軽く受け流す戦略で、野党の攻勢に事前ブレーキをかけるつもりだったのだろうが、この問題発言を即座に政局対応で理解することは、そもそも被災地、被災者の感情を無視するものだ。魔がさしたなどとよく言えたものだ。この人は、八ツ場ダムでもあっけらかんと「マニフェストにあるから中止します」と発したが、八ツ場のことを熟知した上での言葉には思えなかった。期待度の高い人だっただけに私も残念でならないが、何か大切なものが欠けた政治家なのかもしれない。
もう一つ・・・党も内閣も代替わりし、菅さんができなかったことを野田さんがやります!ということで、国会が開催されるわけだが、経済問題、復興問題、そして関連する財源問題等々の議論が4日間で足りるわけがない。なぜ4日なのかまったくわからない。慣れない政権運営で、野党の協力をいただきたいと言ってるわりには、採決で強引に4日会期に持ち込むなどは謙虚さもないということか。
そもそも所信表明は美辞麗句が並び具体的方針が示されたものではなかった。
これでは野党も協力しようがない。
さあ、国民の支持率に民主党はどう応えられるのか。
変われるか民主党!