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No.3757 刑事被告人が世界のトップに

2024.11.06

 世界の目が注がれた米大統領選はトランプが勝利した。日本国内では、大方がハリス氏の当選を予測し、また期待していたと感じていたが、予測ははずれ期待は裏切られることとなった。木村太郎さんがトランプの大勝を予測し、そうなったら日本はトランプ担当大臣を配置した方が良いとまで言っていたのが印象的だった。
 それにしても、昨年計4項目の罪状で被告人となっていたトランプ氏が選挙に出られること自体異様であり、彼が口を開くたびに差別、悪口、暴言ばかりが伝わる状況だったので、この選挙戦の結果は意外としか言いようがない。彼に期待する国民が多かったということだが、それがアメリカということなのだろう。
 これからの4年はアメリカファーストが再現されることになるが、露宇戦争への対応は
「もう戦争で無駄な金を使うのはよしな! ゼレンスキーさん、アメリカはあんた(宇)への援助はほどほどにするぞ。プーチンさんよ、そんなに意地張って隣人の国を獲ろうなんてやめた方がいいよ。NATOにウクライナが入らなきゃいいんだろう。クリミア併合もしたいんだろうから、俺がそうなるようにNATOに口きいてやるよ」とでも言うのだろうか。
 中東紛争は大使館襲撃事件や核開発でイランとは決定的な対立関係にあるのでイスラエル支援を続ける可能性は高い。しかしそうなると、今回の勝利はミシガン州をはじめとするイスラム教徒の多い激戦州で、彼らが組織的に応援してくれたこともあるので難しい選択を迫られることになる。米国内のイスラム教徒にとってもイスラエルは野蛮国家としか見ていないのでややこしい。そう考えると民主党政権の片寄ったイスラエル支援が当落の分かれ道だったのかもしれない。選挙当日にネタニヤフ首相が国防相を更迭し、戦争を集結させる気が無いとみられたことはないのだろうか。おそらくトランプになっても強いキズナは変わらないとの思いがあるのかもしれない。なぜなら、イスラエルはアメリカの軍需産業にとって最大のお客様なのだから。
 東アジア、太平洋島嶼国対策はどうか。中国の海洋進出にどう対応するのか。一つの中国として奪還意欲を隠さない習近平による台湾有事が発生する可能性が高くなったと私は感じているが、シーレーンを守ることに専念するだろうか。前大統領時にTPP未加入を選択したトランプ氏にとって、最大の同盟国であるイギリスは加入したものの物資輸送に欠かせないこのシーレーンをどれほど重要に想うだろうか。これらは、原子力空母の動向をみることでトランプの意向が読み取れるかもしれない。
 ロシアに加担した北朝鮮をどうてなづけるのかも見ものだ。韓国が今は北朝鮮との折り合いが悪いという点が前回と異なるが、そのあたりどう影響するだろうか。
 国内では保護貿易対策を進めるのは間違いないと思われる。今回の選挙戦の最高の支援者を演じたイーロン・マスク氏の為に、中国のBYDなどの電気自動車には高額の関税を強いるはずだ。テスラを守るためにはトランプとしては想定内のことだろう。BRICSや一帯一路にはどう対抗していくのだろうか。
 関心は尽きないが、問題はやはり対日対策だ。防衛費の増強を求めてくるか。自動車業界は間違いなくいじめられることだろう。
 ほぼ確定段階で66選挙人の差がついたようだが、33人の逆転があれば初の女性大統領が・・・激戦州であと二つでも勝利していれば誕生していたと思うと、そちらの方の劇的勝利を見てみたかった。ちなみにハリス氏敗北のペンシルバニアとミシガンの選挙人合計が34人です。日本でも大逆転で初の女性首相誕生が阻まれたが、自由の国アメリカは2度目のチャレンジでもあったので今度こそと期待されたがつくづく選挙とはわからないものです。それにしても大統領選挙はスリル満点のワールドイベントだと感じた次第です。