日に日にウクライナ各地の無残な光景が画面に示される。戦争犯罪かどうかを問うどころではない。これが戦争犯罪でなかったら侵略兵器のみならず暴行強姦の後に命を奪われたウクライナ国民は浮かばれない。
移動式火葬車などという耳にしたことのないワードに気持ちが暗くなる。ロシアが証拠隠しのために繰り出した特殊車両だというが、そういったものが造られていることが信じられない。戦争を仕掛ける思考があるからこそ発想し得る創造物だ。死した市民の姿にはボカシを入れているものの、黒いビニールに包まれた遺体を運ぶ姿は、子どもに見せるのをためらう侵略戦争の醜悪さである。先月春休みで来ていた孫は「こういうの何度も見たくない!」と画面を換えたものだ。
G7外相会議で更なる制裁が打ち出されるなど、西側の結束をバイデン大統領は訴えたようだが、最終的に、クリミアを含めてウクライナに正常な状態が戻り、プーチンにとってウクライナ侵攻が全面的に失敗だったとなるかどうかに関心が及ぶが、その前に戦争終結が望まれるところである。
ロシアはフェイク捏造の主張を高める情報戦も展開しており、嘘を嘘だと証明する難しさは「嘘も100回言えば本当になる」という、格言になって貰いたくないような実態を深めている。特に自国の国民向けに欠かせないのだろうが、こうした不謹慎さは中国と変わらない。それは共にアメリカに対する敵意むき出しで、アメリカのみをウクライナ侵攻の原因であり、最大の敵対国として浮彫にしたいかのようだ。ロシアへの制裁をバイデン大統領が舵取りをしていることも憎悪増幅につながっているのだろうか。
ところで、林外相が「日本に有事が発生したときには、アメリカが対応してくれる」といったことを発言しているが、こんな発言を聞いたアメリカはどう思うだろうか! 他力本願の国防発言を聞いたアメリカは、政治家だけでなく国民全体が日本の甘さに憤怒するはずである。まさに、ふざけるな!の話である。自ら防衛力を高める姿勢を示さない国を助けてくれると思っているのだろうか。今回のウクライナを見ればわかる通り、第三次世界大戦を引き起こさないために武器は供与するが自らは手を出さないという理屈は現時点で明らかにされている。中国やロシアが、まして北と南から同時侵攻し、そこに北朝鮮が参戦してこようものなら・・・考えたくはないシナリオだが、絶対に無いとは言い切れない悪夢をついつい想像させる現実をウクライナで目の当たりにしている。日本を敵視している大国が日本海の向こうにあるという地勢状況はウクライナ以上に深刻な問題ではないか! 悪夢が現実になれば、子どもに見せられない光景どころではない!子どもが次々と犠牲になっていく可能性がたかいのだ。
比較するのが適切かどうかは別にして、新年度国家予算は男女共同参画費に9兆円、防衛費は4兆5億円程度で約半分である。国を守るために防衛費を増やすべきという声は、既に6割に達している。岸田総理の制裁発言は威勢がよく聞こえるが、具体的に自国防衛にはほとんど言及していない。もどかしい限りだ。