記事一覧

No.3492 立憲共産党で夢見た政権

2021.11.03

 今回の選挙戦は各種予測もバラバラだった上に、結果を言い当てていたメディアは皆無だった。NHKでさえ埼玉のある区の出口調査で、結果とは逆の棒グラフを示していた。ほぼ任期満了に近く、自民党総裁選直後に事前予測より早く前倒しで行われた選挙。これにはどの陣営も大慌てで選挙戦に突入したことだろう。
 さて、立憲民主党の枝野代表が、しきりに政権選択選挙だと気勢を上げていたが、はたして本当にそうだったのだろうか。共産党との閣外協力を唱え、政権を奪取した場合を想定すると、共産党にどういった気遣いをする政権運営になるのか? この点で多くの国民は「ちょっと待てよ」という想いになったとしても不思議なことではない。長く支持組織として存在する連合からも不安視された経緯は尋常ではないことを国民も敏感に感じたことだろう。

 共産党は、日米同盟破棄、自衛隊違憲、天皇制廃止といった国の骨格に関わる考え方で異彩を放っており、更には中国擁護、原発反対、ジェンダーフリー、夫婦別姓などを主張する左派思想の中心にある政党、加えて、志位・小池のコンビ運営が長く続くという意味で非民主政党のイメージが強い。志位さんに至っては委員長職が20年に及ぶのだ。
 それでも、地方議員の中には真面目で温厚な人柄で、地域と住民の為に活動する議員がいるのも事実だ。そういう人は党の仕事にも精励する人に違いないが、暴力革命という表現が付いて回る点もあって、現代日本で政権政党になるというのは生易しいものではないというのも間違いではないだろう。
 一方、枝野立民代表は革マル系全共闘で活躍した過去もあり、立民の中でも左派系に区分けされる政治家である。立民結党の中心人物として野党第1党を率いてきた。そこで、政権選択選挙と銘打ちその可能性を組織内に浸透させての選挙戦に臨むにあたり、なりふりかまわない状況になっていったものと思う。
 菅、野田、岡田、玄葉といった主だった保守ベテランも、共産党との結託に何も言わなかったのか言えなかったのか。逆に、小沢一郎、中村喜四郎といった自民憎し、安倍・菅憎しで、自民党打倒に変質したベテラン政治家は、共産党と組むことを推進したのではないかと思う。
 いずれにしても禁断の実に手を伸ばした結果が、自らの進退伺いから辞任へと進展するとは思ってもいなかったはずだ。福山という幹事長の辞任は、初手からその器にあらずと感じていたので特に驚きもしないが、新たな人事で巻き返しを図ることになる。
 ところが、代表候補に真っ先に名乗りを上げた議員に驚いた。立民には国会中継で時折、委員長席にダイブする議員がいる。福山、小西、石垣という人たちだが、その同類の議員がたしかその人である。要するに人材不足なのだ。
先に出た長老たちの多くは、議員でいることに満足している人たちかもしれない。底が見えた立憲民主党が政権を目指して共産党と組んだのは、まさに野合その門であり、立憲共産党として政権を獲るというのは、賢明な国民によってひと時の夢に終わったのだ。