コロナ禍の1年半。大企業、中小企業、そして個人経営者の経営実態は様々のようだ。それにしても、持ち株資産の株価高騰による好況決算には驚くばかりだ。これはアメリカでも同様で、GAFAといったIT企業のみならず、特殊なコンセプトを経営に活かしている企業の先見性に投資家の目が向けられているのだろう。私的に感じることだが、大きな枠で考えるならばSDGsを経営テーマに据えることは、未来の企業の在り方として望ましいことではないかと思う。
結果的に、経営者個人の超セレブぶりが話題となるのも当然のこととなる。銀行や保険といった金融会社や投資ファンドによる影響はもちろんだが、個人による投資熱が株に向いているということもあるようだ。なんとなく世の皮肉を感じてしまう。
ソフトバンクは4兆円超えの黒字を生み、日本企業として史上最高益という結果だとか。トヨタは中国での新車販売が好調。パナもしかりで、パナの場合は白家電のほとんどは中国で製造し、最近ではテレビの製造を中国企業に委託することが報じられた。もっとも、そういった企業は他にも目白押しの状態で、製造だけでなく、販売面でも中国依存の日本経済に変わりはない。緊急事態宣言下でも中国からの訪日客はインバウンド役として、チャイナマネーを運んでくれる対象のようだ。コロナの原点を考えるとどうにも不思議な思いがしてならない。
反面、ANAは4千億円近い赤字、東京メトロは民間化されて初の赤字決算などなど・・・問題はコロナ禍不況の構造的企業と個人経営者の実態である。持続化給付金だけでは立ち行かなくなる中小経営者が多いはずで、倒産とか事業撤退という文字を見かける機会が多くなっている。
奈良時代、天平の疫病が起こったのは735年。当時の人口は400万人ほどと考えられており、その30%ほどにあたる100万人以上が命をおとしたと言われる。政権を握っていた公家の3割が亡くなり、特に藤原四兄弟が死に、皇后による統治が急遽行われたという。原因は、疱瘡(天然痘)で、その猛威のほどは数字が示している。一度は収まりかけたものの737年に再び流行し、収束まで2年を要したそうである。
730年代になって遣唐使などが派遣され、九州を中心とした帰国者たちが多かったことから九州が発祥地と考えられているが、派遣地で感染し亡くなった人たちもいたとされる。ウィルス発生地はコロナ同様大陸だったとの想定である。
時代が時代ゆえ科学的根拠に基づく収束はあり得ないし、記録にもないようだ。考えるに、ライ病でも、結核でも隔離病棟策がとられたことを思うと、おそらく徹底した隔離政策が対処法だったのではないかと思う。事実、皇后はいくつかの専門治癒舎を設けたという記録が残っているそうだ。
この天然痘ウィルスは人類が初めて撲滅したウィルスだそうで、すでに現世には存在しない。今のコロナ禍で様々な思いがよぎるが、そろそろ2年になんなんとすることから、科学の力を有する現代でも手をこまねくウィルスではあるが、人知を持ってこの戦いに幕を閉じるしかない。
朝ドラ「おちょやん」は昨日最終幕を迎えた。もう少し幕を閉じずにいてもらいたいと涙腺をゆるくしたものだが、コロナの幕は迅速に、一刻も早く閉じたいというのが人類共通の願いのはずだ。