イギリスの総選挙は来年1月のEU離脱を決定づけた。4度に渡り議会の否定を受け、暗礁に乗り上げた国民投票の結果がようやく結実することとなった。
考えるべきは、議会制民主主義というものは、国民投票の結果をもってしても与党が過半数を確保していない限り、事の成就には困難を伴うということである。だからこそ、議会構図を変えなければとの想いでジョンソン首相は解散総選挙にうって出たのだ。そして、国民はそれを理解した。
しかし、イギリスメディアの分析にうなづく面も無くはない。それは、2016年の国民投票直前に、EU残留を訴えたある女性議員が射殺されるという卑劣な事件があった。そのせいか、今回労働党所属の女性議員の多くが立候補を取りやめたという。なんと20人近いとか。これが労働党敗北の原因だとする説はすべてではないにしても保守党が過半数を獲得できたかどうか微妙な意味合いがある。
正直なところ、小生は国民投票の再実施を唱える労働党の存在によって、ジュンソン大統領の目論見ははずれ、泥沼の上の泥沼にますます浸かっていくイギリスを予測していた。しかし、結果は国民投票以上の差がつく形の総選挙となった。プライド高いグレートブリテン気質は、やはり離脱への道を選択した。なぜ、離脱かという論争が薄れ、ボリス・ジョンソンという類いまれなパフォーマンス政治家による派手な活動が国民の心をゆさぶったということと理解している。国会論争では、派手なジェスチャーで野党議員を馬鹿だチョンだと激しく罵る国会中継を見ていて、よく裁判沙汰にならないものだと感じていたが、とうとう自らの想いと主張を現実にした。同じPでもパフォーマンスというよりはパワフルな政治姿勢で国家の行先を結論づけた。
トランプ大統領とよく似た面を報道されるが、落ち着きのない、やんちゃなパフォーマンスはロンドン紳士のイメージには程遠いが、おそらく、国も国民も疲れ切っていたのではないかと、この結果について想う。
しかし、労働党はまだしも、スコットランド民族党が35から48議席に増やした結果、独立運動が再燃し国民投票を求めてくる可能性が高い。結果スコットランドのEU復帰も有り得ると考えるとややこしい国論の再現となり、この国民投票を否定すれば異次元のカオス状態に陥ることも十分考えられる。それ以前に、来年末までのEUとの通商交渉や北アイルランド問題など課題は山積みである。現行経済も停滞しきっている。通商交渉が滞れば、企業の反発も生じることになる。雇用、消費、移民・・・パワフル・ジョンソンの手腕の発揮し処はまだまだ先が長い。イギリスの行きつく先はまだまだ未知だ。
イギリスほどの混乱はないにせよ、5万都市幸手の未来は??・・・いや、未来どころか、財政的な面から思えばスタート間もない木村市政にはいばらの道がしばらく続くのは大方の知るところであり、また妥当な見方である。とは言え、前を向いて進む! これを肝に銘じて頑張るしかない。