地域によって違いはあると思いますが、当地周辺では風よりは雨台風といった感覚で過ぎ去っていった19号。関西から東北まで広範囲で被害をもたらす記録的な台風となりました。どこの地でも「ここまでの水没は初めてのことで記憶にない」といった感想が主流で、観測史上1位という場所が多くみられたのも、この19号台風が尋常なものではなかったことがうかがわれます。おそらくカスリン台風の数倍の威力を持った台風だったのでしょう。千曲川近くにある新幹線車両基地の水没光景は目を見張るほどです。まさに驚きの光景です。
これほど多量の雨水がよくも空中に存在しているものだと、おかしなことを感じてしまうほど自然は凄いと思わずにいられません。
多摩川、千曲川、渡良瀬川、入間川といった普段は観光地あるいは抒情的イメージで慕われる大河川が、数時間のうちに暴れ川と化す光景は自然の驚異を人の心に刻みます。他にも幾多の大河川が氾濫危険域に入っています。こうした大河川が暴れ川と化すかどうかは、上流域及び支流域の雨量と堤防が決壊するかどうかで異なってきます。単なるオーバーフローと堤防決壊では被害の在り方にも差が出てくるわけですが、雨がおさまった現時点で、氾濫の可能性が指摘されている河川では、流量とともに水位が早めに下がりさえすれば危険度は低下するものと思います。ただ、上流からの流れが止まらない場合、堤防が我慢できず決壊してしまうことも考えられます。そういう意味では、まだまだ予断は許されません。
昨日、避難についてブログを二つ書きましたが、その内容に足りない部分があったのでお詫びしたいと思います。避難場所がわからないという電話に、思わず全小中学校ですと応えたことを書き、しかもご丁寧にも避難場所一覧表まで掲載しました。これで、たまたま避難勧告が出たことから実際に旧香日向小に避難した方が数人いたようで、3時半頃そのうちのお一人から電話がかかりました。
実は、避難の在り方も災害の種類によって若干異なります。地震の場合は家屋倒壊等々が心配されるので自治体指定の避難場所に向かうことが望ましいのですが、洪水対策の場合は自宅2階がまずは最適な避難場所になります。そして1階にある大切なものを2階に持ち込むなどの作業も出来ることになります。およそ氾濫被害の映像を見ても2階まで水没する例は少ないのが現実です。したがって、洪水対策として避難場所に避難する場合は、平屋の住宅とか水辺や河川の土手下近辺にある住宅、または立地面が元々低いところに建てられた住宅などが対象になります。それらを考慮して避難すべきかどうかを判断していただくことが大切だということでご理解ください。
ただ、決壊した水がどの方向、どの範囲までおよび、以降どこまで水嵩を増すかどうかはわからないわけですから、2階といっても絶対安全ということではありません。茨城県常総市の洪水被害の時は、2階に避難していた住民を防災ヘリで救助していた光景が目に焼き付いています。そこは判断の分かれ目にもなりますが、東埼玉地域においては利根川の水位状況を常に注視すべきことだろうと思います。
私は、防災アプリで一晩中利根川の加須、栗橋、関宿のライブカメラの映像をチェックしていました。時間とともに水嵩が上がってくる状況が見て取れました。これも自助の在り方だと思って、睡魔をこらえてのことでした。利根川、荒川の危険域を伝えるスマホのアラームにはビックリさせられましたが、これも防災対策として必要なことだと理解するようにしています。